「僕、ミュージシャンでやっていけるでしょうか?」
2017/10/10
「僕(私)、ミュージシャンでやっていけるでしょうか?」
という質問に、即座に「もちろん!絶対大丈夫。」
などと太鼓判を押すような人がいたら、
むしろ警戒した方がいいでしょう。
音楽業界でやっていけるかどうか、
という質問は、
ラーメン屋やって成功するかどうか、
という質問と限りなく似ています。
最低限のスキルとセンスが必要なのは当たり前ですが、
それ以外の要素はあまりに不確定過ぎて、
誰にも予想がつきません。
当人のメンタルの強さとか、根本的な頭のよさとか、
目覚めていないポテンシャルとか、
そういう不確定要素の他に、
運とか縁とか時代性とか、
そういう、誰にも予想のつかない、
流動的な要素が結果を大きく左右します。
どんなに美味しいラーメンをつくるお店だって、
店主のマーケティングが下手だったり、
ラーメンに興味のない土地柄や、
ラーメン店が乱立している土地で開店したりすれば、
そう簡単にお客さんは来ません。
そうかと思えば、平凡なラーメンでも、
通りがかりの有名人がつぶやいたおかげで大繁盛する可能性もある。
バイトでつかった子が、思わぬSNSセンスがあって、
口コミでブレイクする可能性もある。
結局、成功するかどうかは、
やってみなくちゃ誰にもわからないんです。
しかし、やってみなくても、
「うまく行かないだろうな」という予想は概ね立ちます。
そして、それに関する意見は
誰に聞いても、8割方おなじ答えになります。
まずは極端にスキル面、センス面、
ビジュアル面などがレベルに達していない人。
これに関しては言うまでもありません。
そもそも「ミュージシャンでやっていく」には、
それ相応の思い入れがなければ無理。
思い入ればっかりで、
スキルもセンスもビジュアルも磨けていないのは、
単なる妄想です。
それから極端に理解力やコミュニケーション能力がない人。
ミュージシャンは人との関わり合いで成り立つお仕事です。
これはどんな仕事でもおなじでしょうが、
なにもかもたったひとりでこなせてしまう、
または、本人が何にもしなくても、手伝ってくれる人が自然発生的に出てくるような、天才か、カリスマでもない限り、
いや、おそらく、そんな人たちだって、
人と関わらずにお仕事をするのは不可能です。
どれだけ才能があっても、
コミュニケーションスキルがない人は、
やっぱり難しい世界です。
打たれ弱い人も向きません。
そもそも、音楽業界なんてところにいる人は、
なんか言いたいもんです。
しかも、10人いれば、10人が違う事を言う。
そんなことで、いちいちめげていたのでは、
やってられません。
仕事が軌道に乗る前に心を病んでしまうのが関の山です。
そして、何よりも、
経済的に安定していないと不安でたまらない、
というような人は絶対に向いていません。
どんなに売れっ子だって、
仕事がない時期を経験しない人はいないと言います。
売れっ子ほど金銭感覚も、生活レベルも違いますから、
仕事がなくなると、いきなり困窮します。
1年前まで節税に頭を悩ませて、
お金を使いまくっていた人が、
平気で、いきなり収入が3分の1になる。
そんな世界です。
そういう生活が無理な人は、
もう絶対にミュージシャンは向いていない。
そもそも「不安」が動機では、いい仕事はできません。
音楽の仕事は「欲求」とか「欲望」とか、
そういう前向きなエネルギーが必要なもの。
優先順位がお金や生活の人は、
やっぱり音楽は趣味でやっておく方が無難です。
さて。
いろいろ書いてきましたが、
適正があろうがなかろうが、
「音楽のことしか考えられないから、他に選択肢はない」
という人こそが、ミュージシャンとなるもの。
だからね。
結局、向いているとか、向いていないとか、
人になにを言われようと、
こんなブログになにが書いてあろうと、
「関係ねーや」と思えるうちは、
まだまだ突き進め、ということなんですよね。
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