大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

残念な人

   

ずいぶん前にちょっとだけ一緒にやったことのある、
かなり腕のいいドラマーがいました。

音もいい。
タイム感もグルーヴもいい。
センスもいい。

演奏中にプレイヤーの間で起きていることを、
きちんと俯瞰、把握している。

的確に反応し、みんなをリードすることもできる。

さぞかし売れっ子なんだろうと話を聞いてみたら、
・・・そうでもない・・・。

これは意外でした。

いいドラマーというのは本当に少ないもので、
だから、腕がいい人は
どんどん売れっ子、引っぱりだこになっていくもの。

なぜだろう?と不思議に思っていたのですが、
しばらくして、その疑問が解消しました。
彼は、いわゆる「ゆるい人」だったのです。

 

リハに遅れてくる。
約束していた本番をドタキャンする。

それなりの言い訳はあったのでしょうが、
言い訳が通用する世界ではありません。

聞けば、若い頃はもっと酷かったようで、
まぁ、いろいろ悪癖もあって、
仕事があったことを完全に忘れてすっぽかしたことや、
連絡が入ってきても全部シカトして家にいたこともあったとか。

 

業界では、いや、社会人として、
1回でもやったらアウトなことばかりです。

業界は学校ではありませんから、
「以後気をつけろ」なんて、注意をしてくれる親切な人はいません。

「あいつ、ダメだね」で、終了です。

 

どんなに才能があっても、腕がよくても、
決められた時間に、
現場に来るかどうかわからないミュージシャンに、
仕事をくれる人はいないんです。

 

さて。

学生にも、そんな「残念な人」が時々紛れ込んでいます。

本来、ゆるい人は歌や楽器は上達しないものですから、
「できなくてゆるい人」というのは、ごろごろいます。
そういう人たちは「残念な人」にカウントされません。

 

ここで言う「残念な人」は、
腕がある、センスがある、才能がある、
つまり、他の子より頭一つ抜けている、
優れたシンガー、プレイヤーになる可能性があるのに、
先生の間で、仲間たちの間で、
「あいつはゆるいから」と噂になっているような人。

連絡が悪かったり、
授業やリハにこなかったり、
準備が悪かったり、と、
とにかく、一事が万事、人として、ゆるい。

それこそ、「残念な人」です。

 

学校は教育をするところですから、
学生の間は、先生たちも辛抱強く、
お前はそういうところがダメなんだ、
そんなんじゃ、社会に出て相手にされなくなるぞと、
叱ってくれます。

しかしね、

大学生、専門学校生くらいになっても、
まだそんなこと言われているような子は、
なにを言われても、
そう簡単には、ビシッとできません。

 

一時的にちょっとがんばる。

でも、気がついたら、また「残念な人」に戻っている。

 

そういう「残念な人」たちが本当に残念なのは、
自分がダメなことをよくわかっているのに、
それを変えられないところです。

「がんばりたいんですよ。
でも、なんか、やっぱり、どうしてもぉ・・・・」

家庭教育なのか?
それとも、生まれつきの性質なのか?

「ゆるさ」は、3つ子の魂百までなのでしょうか?

 

しかし、一念発起して、
そんな、ゆるい自分を180度変えた子もいます。

もう、二度と遅刻しないと誓いを立て、
以降、一度も欠席も遅刻もしなくなった子もいます。

音楽の道をすぱっとあきらめ、
別の道を歩き始めたとたんに、
急激にきちんとできるようになったという子もいます。

 

そもそも、「俺ってゆるいから」と言っている時点で、
それは甘えです。

 

ゆるいから、「残念な人」で終わっても仕方ないのか。

一生ゆるいまま、誰にも相手にされずに生きていくのか。
っていうか、生きていけるのか。

ゆるいのは持って生まれた宿命で、
変えられない自分は可哀想なヤツなのか。

 

そんな、「残念な自分」が嫌なら、
今すぐ、変えると決心して、
行動パターンのすべてを見直すしか方法はありません。

 

一度ついた評判はそう簡単には払拭できませんが、
時間をかけて、誠意を持って、
変わった自分をアピールし続ければ、
まわりも少しずつ受け入れてくれるものです。

そうやって、一現場一現場、
信用を積み重ねていけば、

「あいつ、変わったよね」と言ってもらえることも、
夢ではありません。
 

胸に手を当てて、未来を見据えて。

決意と行動をするか否かは自分次第です。

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