大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

まだやれるから悔しい。 まだ行けるから苦しい。

   

音楽で食べていかれるかどうか。
そんなことを本気で心配し始めるのは、
大学や音楽学校、
もしくは高校の卒業が目の前に見えてからでしょうか。

このままフリーターになっていいのだろうか?
人並みに就職すべきじゃないか?

自分には才能があるのか?
運はあるのか?

バンドがうまくいって勢いがある時や、
曲がりなりにも音楽の仕事が舞い込んで、
多少なりともお金をつくれる時は、
前向きな気持ちにもなれます。

しかし、なかなかそうはならないから悩みは尽きないわけです。

実力的にも十分プロになる得ると思っていた先輩や、
事務所などから一度ならず声がかかった人、
才能あるなぁと一目置いていたような人たちが、
あっさり就職を決めたりすると、なおさら焦りが出てきます。

一方で、
たいしたことないとあなどっていた人が、
いきなりデビューしたり、
自分と同じ場所にいると思っていた仲間に、
突然お仕事が決まったりすると、
思いきり自己嫌悪に陥ったり、
なんで自分にだけ、特別なことが起きないのだと、
腐ったりもする。

 

それでも、なんでも、やめられないから、苦しいのですね。

 

しかし、そんな苦しさや悔しさに背を向けてはいけない。

私は、どんなことに対しても、
「ちくしょうっ!今に見てろよ!」と思えるうちは、
まだまだエネルギーもポテンシャルもある証拠だと信じています。

まだやれるから悔しい。
まだ行けるから苦しい。

その苦しさや悔しさから逃げ出すなら、
自分自身はそこまでだと言うこと。

それならそれで、さっさと次の、
もっと情熱を傾けられることに進めばいいのです。

苦しさと向き合って、
悔しさに耳を傾けて、

じゃあどうしようと、
自分はどこへ向かっていけばいいのかと、

頭が痛くなるほど考えて、
穴に入りたいような恥ずかしさや、
心臓がきゅっとなるような緊張感を乗り越えて、
どんどん行動する。

匍匐前進でもいい。
砂を噛むような思いをしながら、
重い重い、自分という荷物を持てあましながら、
とにもかくにも前に進む。

そのうちに、
きっと、きっと、違う景色が見えてくる。
あれ?と言うようなことが自分に起きる。
苦しかったことがウソのように報われるときもくる。

もしくは・・・
憑きものが落ちたかのように、
音楽に対する執着がすぅっと消えて、
信じられないくらい楽になるときが来る。

 

どちらが自分に起きるのか、それは誰にもわかりません。

いずれにしても、その時こそが、
次のステージに向かうとき。

その日が来るまで、ただひたすら進む。

自分にできることは、それしかないから、
ただ、進む。

 

人生はがっかりするほど短いくせに、
苦しい時間はウンザリするほど長いもの。

ただ、進む。
負けずに進む。

それだけです。

◆歌や声に関する不安や疑問の答えがみつかる、【メルマガ365】。
「バックナンバーまとめ読み」がお勧めです!ご登録はこちらから。【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!

 - 夢を叶える

  関連記事

「どうせ私の声は人に届かない、私の歌なんか聴いてもらえない」(ビデオレターのご感想から)

ビデオレターにて取り組んでいただいている課題から。 今日もDay1の課題「自分の …

天才には、がんばらないでいただきたい。

どこからどう見ても天才という人が、 やっぱり世の中にはいるものです。 生まれなが …

この子、「化ける」かもしれません。

歌が本格的にお仕事になる前、 CMや映画などの音楽プロデューサーのアシスタントを …

準備せよ。そして、待て。

「準備せよ。そして、待て。」 仕事も人間関係もうまくいかなくて、ひどく落ち込んだ …

文化は「オタク」と「変態」、そして「ドM」がつくる

忙しがる人は好きじゃないのですが、 最近、自分もそんな、自分が好きじゃない類の人 …

「もっとうまくなってから」と言う『完璧主義のぐず』

バンド、どうして組まないの? 「もうちょっと、うまくなってからメンバー探そうと思 …

「できたらいいな」と思うことと「本当に好きなこと」の決定的な違い

書くことが好きです。 ほっといても書く。 学生時代など、授業中に全く授業聞かずに …

「変」なのか?才能なのか?

先日、とある会社にお勤めの、 才能あふれる、知的な若者とごはんしていた時のこと。 …

スタートを切る

いつも「空想」に成り下がる 私の思考 私の思想 人に甘え 時代に溺れ 平凡な日々 …

自分のリソースを「棚卸し」してみる

前か、後ろか、はたまた上か・・・ 先が見えなくて、身動きが取れないときは、 自分 …