大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「売れてるミュージシャンに見せる方法」?

      2016/10/27

今日は、若かりし頃、先輩ミュージシャン、業界の人たちから教わった、
「売れてるミュージシャンに見せる方法」をお届けします。

ミュージシャンの売れ方は化粧品と似ています。

メジャーなお仕事のキャリアはもちろん必要ですが、

○ギャラの高い人の方がすごいと思われる。
(値段の高い化粧品の方が売れる)

○本当にすごい人より、すごそうに見える人の方が仕事を頼まれる。
(実際に効く化粧品より、「効きそうに見える」方が売れる)

○忙しくて、なかなかスケジュールを押さえられない人の方が、
ありがたがられる。
(限定品や、売り切れ続出のものほど売れる)

そんな業界の定説を裏付けるかのように、
お仕事をはじめた当初、先輩たちに教わった、ちょっとしたtips、3連発!

1. ミュージシャンたるもの、名刺など持つな。

売れてるミュージシャンなら、名前を言っただけで、相手にわかるのが当たり前。
名刺が必要だということは売れてないということ。

名刺を出すなんて、「仕事ください」って言ってるようなもの。
忙しいやつは、連絡先なんか人に言う必要がない。

本当に連絡取りたかったら、どこかで調べて連絡してくるよ。

・・・そんな風に先輩たちに教わりました。

というわけで、業界で仕事して20数年。
会社を立ち上げるまで、
一度たりとも名刺というものを持ったことがありませんでした。

確かに、名刺交換から生まれるビジネスチャンスなんか、業界にはない。

こんな時代なら、なおさら、興味があれば、必ず連絡くれるでしょうね。

とはいえ、名前を覚えてもらう意味でも、
あぁ、こんな人いたなぁって、思い出してもらうためにも、
今さらですが、名刺を持つのもありだなぁとも思っています。

2. 売れてるミュージシャン(or 業界人)に見せたかったら、
靴と時計、それから車だけは、絶対に安物を持つな。

これは、当時の超売れっ子プロデューサーに教わったことです。

ジーンズ、Tシャツなどのラフな服装が基本のミュージシャン。
他の人とひと味違う「リッチ感」を演出するには、
当時流行だったブランドもののスーツなどは、
あまりにわかりやすすぎて、ださい。

さりげなく、わかる人だけがわかる高級品を身につける余裕が、
いかにも、売れてるミュージシャンのテイストということなのでしょう。

そういえば、以前バンド時代に曲を提供していただいた、
Jロックのスーパースターはフランク・ミューラーをしていたっけ。

すべてがブランドモノである必要はありません。
ただ、こだわっている雰囲気が出ること。

靴や車や時計を、安いからという理由で選んでいるのではないという、
センスの良さや、余裕が感じられることがポイントでしょうか?

3. 本番中に間違えても、絶対に「間違えた」という顔をするな。

「プロの条件は、絶対に間違えたってばれないことだよ」

日本を代表する某ドラマーのことばです。

ときに、お客さんも、「あれ?」と思うかも知れない。
でも、何気なく演奏を続ければ、帳尻があって、たいがいは忘れられてしまう。
本当に間違えたどうかなんて、バンドメンバーくらいにしかわからない。
わざわざ、間違えましたって顔をして、お客さんに気づかせることこそ、
失礼だ。それは、プロのやるべきことではない。

自分さえも騙せるくらい、ポーカーフェイスができることこそ、
一流に見せる条件だ。

おかげさまで、実は、ライブでも仕事でも、結構やらかす私ですが、
お客さんに悟られることは、まぁ、めったにありません(^^)

いかがでしょうか?

マネをするのものよし、
今度、売れてるミュージシャンに会ったら、さりげなくチェックするのもよし。
話のネタに使っていただくのもよし。

今日は、業界、「あるある!」ネタでした〜。

19382774_s

明日、お昼ごろ発行予定のメルマガ。
インサイドストーリーでは、昨日のブログでちょっとだけご紹介した、
私の人生を変えることになった、「楽器店に無断で貼ってあったメンバー募集のチラシ」について書いちゃいます。

バックナンバーも読めますので、よろしければ是非こちらから登録してくださいね。

 - The プロフェッショナル

Comment

  1. TAKA より:

    「価値とは創るもの」って思います。

    典型的な例は、ジャニーズとかAKBとか・・・・・・デビューしたてのときって、素人に芸能界の皮を被せたに過ぎないわけで、世の中に認められたものは何もないのだし、キャーキャー騒いだりする根拠がない。
    「○○賞受賞」とか、他所から与えられた看板があればそれが価値になるけれど、そういうものが無いなら、自分で創っていくしかない。

    最近「ごり押し」なんて言葉が出てきますけど、ごり押しだろうとなんだろうと、あらゆる努力によって「価値」を創っていく。それが成功すれば、やがて本当の価値が生まれてくる。SMAPなんてその大成功例でしょう。
    芸能界で生きていくなら、真剣にやらないといけないんじゃないでしょうかね。

    tips3連発・・・・・貴重なノウハウですね。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『コーラスをするときにこだわる10のこと』

今日の夜は明後日のライブに向けてのコーラスのリハーサルでした。 みっちり4時間か …

「あなた、ジャズを勉強したこと、あるの?」

ニューヨークにある音楽学校、マンハッタンスクールオブミュージックの、 奨学金試験 …

バンド・メンバーの選び方と、 そのメリットデメリット

友達と意気投合して、生まれて初めて組んだバンドが、 どかんと売れて、人気もバンド …

プロ、セミプロ、セミアマ?ミュージシャンの働き方

高校時代、一緒にバンドをやっていた仲間のひとりに、 フリーターをしながら、あちこ …

「なんか好きじゃない曲」を歌わなくちゃいけない時のヒント

バンドをやってると、 「なんか好きじゃないな」という曲を 歌わなくちゃいけない時 …

「プロ」「アマ」という線引きは、 もうそろそろ卒業したい。

「俺なんか、ただのセミアマだからさー」。 高校時代に、 一緒にバンドをやっていた …

エネルギーのピークは本番に持っていく

「歌う当日って、どんなことを心がけたらいいですか?」 という質問をよく受けます。 …

音色の決め手は「箱」なんじゃ。

昨日、「音」はプレイヤーの命であるというお話をしました。 声は持って生まれるもの …

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜

人前に立って、パフォーマンスしたり、話したりする機会を与えられるということは、 …

上澄みをすくい取って「わかった気」にならない。~Singer’s Tips#21~

ちょっと昨日のブログの続編的なお話です。 ひとつの曲が生まれて、 受け手の手元に …