大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

憎っくき「容姿端麗組」に負けない方法

   

認めたくはないですが、
こんなこと書くのもちょっぴり悔しいですが、
ハッキリ言って、容姿端麗な人は、人生、圧倒的に得をします。

業界で若いうちに名をなしていくミュージシャンの多くは、
どう公平に見ても、やっぱり容姿端麗。
目を背けたいけど、これは圧倒的な事実です。

 

それもそのはず、自分をお客さんに置き換えて考えれば、
同じサウンドを出せる人、同じ歌を歌う人なら、
どうしたって容姿端麗な方がいい。

一緒に仕事すると考えても、性格も能力も同じなら、
やっぱり毎日素敵な人と仕事する方がいいに決まってます。

どんなにバンドのサウンドがカッコよくたって、
曲が素晴らしくたって、
ロバート・プラントがミートローフみたいなルックスだったら、
ツェッペリンは絶対の絶対に、あんなビッグなバンドになってないし、

マイケル・ジャクソンがマイク・タイソンみたいなルックスだったら、
世界のポップスの歴史は変わっていたに違いないし・・・

 

こんなこと書くと、あちこちから、

「あぁ、どうせ、どうせ、あたしなんて・・・」
「ちくしょお〜〜、どうせ俺はぁああ・・・・」

といううめき声が聞こえて来そうですが、今日のブログはここからです。

 

容姿端麗は、『ウサギとカメ』で言うなら当然ウサギさんチーム。
初速がいいから、カメさんチームを焦らせ、嫉妬させ、
ひるんでいる隙に、さらに圧倒的に差をつけていきます。

しかし、です。

 

容姿端麗で飛び出したウサギさんがちょっぴり伸び悩む頃、
じわりじわりと、その差を縮め、ついには抜き去るカメさんたちがいます。

10年後、20年後。最後に笑うのは、やっぱり、優れたカメさんなのです。

「どうせ俺は」と腐ったまま一生終わるダメカメたちにさっさと見切りをつけて、
ず〜〜んと抜きんでる優れたカメさんたちは、
いったいどんな工夫と努力をしているんでしょう?

 

1.イリュージョンを味方につける。

カッコいい、素敵、と思える周囲の人を、もう一度、よ〜〜く見てください。

あれ?意外に普通?
お。実は、そうでもない・・・?な人、いっぱいいませんか?
「私は自分の顔にものすごくコンプレックスがあるから、
めちゃくちゃメイクの研究したんです。
ものすご〜〜く化けるのうまいんですよ。
家ですっぴんでいると、弟に「おめぇ、誰だよ?ブスっ!」と
突っ込まれるくらいなんですよ。」
とは、美人歌手で有名なとある女性のことば。
こんなこともありました。

びっくりするくらい美人で、男性たちの目を釘付けにする女性と、
楽屋が一緒になって、並んで顔を洗っていたときのこと。

顔を洗って、「ふう〜」と二人で顔を上げた瞬間、驚愕しました。
誇張ではなく、本当に、
一瞬にして他の誰かと入れ替わってしまったのではないかと思うくらい、
別人の顔だったのです。
女って、恐いです(^^)
男性だってそうです。
カラダを鍛えて、日焼けして、髪型を変えるだけでも、
男性の容姿は驚くほどカッコよくなります。
ヒールの高いブーツを履いて、ぐっと身長を高く見せると、
いきなりスマートでカッコよく見える人もいます。
そうかと思えば、よく見るとキレイなのに、残念な人もたくさんいる。
10年前までものすごく美人だったのに、劣化が著しくて誰だかわからない、
というような人もいる。

かつて、めちゃくちゃあこがれた超ハンサムな男性に、
10年ぶりに再会して、いきなり声をかけられたときは、
その変貌ぶりに、青春のはかなさを思い知らされたものです。

結局、見た目の印象は、努力次第と言えます。

2.味で勝負する。

痩せているばかりが魅力的とは限りません。
以前、とあるアーティストのサポートで、
長年レギュラーで歌っているコーラスの女性の代わりに、
1ツアーだけ回らせていただいたことがあります。

その時に言われたのは、
「MISUMIはアーティストの傍らで立っているときの存在感が薄い」でした。
いつもレギュラーでステージに立っているのは80キロにおよぶかという女性。
大きな身体に派手なステージ衣装が映えました。
もちろん、歌も声も素晴らしかったのですが、
よく動き、ステージで立っている姿も本当にカッコよかったのを覚えています。

 

身長の小さな男性でも、そのコンプレックスを逆手にとって、
女性サイズの服や、小柄だからこそ、似合う個性的なファッションで、
めちゃくちゃお洒落に決めて、キラキラ目立っている人がたくさんいます。
女性でも、男性でも、人前に出るときは必ずウィッグで決める人もいるし、
メディアに出るときは、必ずサングラスで目を隠すという人もいる。
自分のスタイルを極めている人はやっぱり素敵。
カッコいい。

生まれ持った容姿に溺れて、成長が止まってしまう人より、
絶対カッコいい。
(ことばの端々にコンプレックスの匂いがするのはご勘弁(^^))
3. 有無を言わさぬ実力を身につける。

これこそ、カメの正統な戦い方でもあります。

初速がいい分、準備が追いつかずに世の中に出てしまう容姿端麗たちに対し、

なかなか見出してもらえないリアル組は、
それはもう、時間をかけて、じっくり準備に取りかかれます。

最後は実力です。
ルックスで勝負できるのは、最初の10年。

どんどん若手で容姿端麗な人たちが登場するのに、
いつまでも、そこにしがみつくしかなければ、当然息切れしてしまいます。

そんなとき、ぐ〜〜んと台頭するのが、有無を言わさぬ実力を蓄えた優れたカメ。

本当の勝負は、そこからです。
いかがですか?
鏡を見てため息をつくのは、もうおしまい。

まだまだ、やれることは山のようにあるはず。

カメさんたちよ。共にがんばりましょ〜!

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 - Life, プロへの突破口

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