大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「風邪の予防にマスク」は本当に有効か?

   

ピンポ〜ン♫

呼び鈴が鳴って、応答すると、
インターフォンのモニターに映る顔は、
ほぼみんな、例の白いマスクをしています。

大学に行っても同じ。
レッスン室に入って来る学生たちも、
一部を除いてみんなマスク着用です。

 

果たして、20代そこそこの若者たちが、
四六時中マスクしてなくちゃいけないくらい、
日本ってウィルス蔓延大国なのでしょうか?

お年寄りでさえ、よほど具合が悪いのでもない限り、
マスクをしないで歩いているのに、
免疫力が強いはずの、健康そのものの若者が、
年がら年中マスクして歩いているのは、
何だか解せません。

 

余談ですが、
日本の若者がマスクをする理由は、
風邪の予防だけではないそうで・・・

●お肌の保湿
●日焼け防止
●ノーメイクでも気にしないで済む
●人に気づかれないように、話しかけられないように
●防寒

・・・不思議の国ニッポンですね。

さて。

ミシガン大学で行われた研究です。

1000人あまりの寮住まいの学生を、
マスク使用、
マスク使用と手の消毒、
どちらもしない、
の3組に分けて調査したところ、
なんと、マスク使用と手洗い併用組の感染リスクが
他の組に対し75%も少なかったといいます。

マスクを使用しただけの組では、
なにもしなかった組との感染リスクの違いはなかったとか。。

あれ?
ってことは、大事なのは手洗いの方??

 

インフルエンザは飛沫感染。
1~2メートルの至近距離で飛沫を受けることで感染するのだそうです。

飛沫感染とは、
「咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することを言います。」(wikiedia)

ところが、
インフルエンザウィルスの大きさは0.1マイクロメートルなのに対し、
一般的なマスクの穴は0.5マイクロメートル。
インフルのウィルスは普通のマスクでは防げないというデータがあります。

例えマスクをしていても、
ウィルスは目の粘膜に付着することもあるとか。
これでは、ゴーグルでも併用しない限り、
完全にウィルスを防ぐことは無理のようです。

また、人混みなどでマスクを着用すると、
病原体を含んだ飛沫がマスク自体に付着するため、
そのマスクを触った手で自分の鼻、口、目を触ることでも感染するとか。

人混みに出るときは、ウィルス対策のされたマスクで、
顔とのすき間ができないよう、鼻まできちんと覆う。
目はできるかぎりつぶっている(??)
こまめに手指を消毒する。
マスクは常に使い捨てにする。

どうせやるなら、そのくらい徹底してやらなければ、
ウィルスから身を守ることは難しそうです。

ちなみに、とあるアメリカのサイトでは、
「ウィルス対策にはなんと言ってもN95がお勧めである」
と書かれていました。

さすがにここまで行くと、
どんな伝染病が蔓延しているんだ?という感じです・・・。

 

感染している人がマスクをすれば、
咳などの飛沫がそのマスクに引っかかるため、
外部にウィルスを飛び散らせることを防止できるそうです。

風邪やインフルエンザに感染している人の、
マスク着用、手指の消毒は、
見知らぬ人たちの間にウィルスをまき散らさないための、
最低限のエチケットです。

 

マスクはノドや鼻の保湿にも有効です。
自分自身の呼吸に含まれる蒸気で、口や鼻を潤すことができるからです。

とはいえ、基本的に鼻呼吸をしているなら、
鼻を通過するときに吸気は十分な湿り気を帯びるはず。

また、飴をなめることでも、口の中の唾液は増し、
ノドを乾燥から守れます。

マスクをしていないとノドが乾燥するという人は、
口呼吸を直す努力も必要かもしれません。

また、睡眠中は免疫細胞が活発に働けない、
唾液の分泌量も少なくなる、などの理由から、
マスクをすることは乾燥対策や風邪の予防に役立つとも言われます。

 

いずれにしても、
ウィルスを完全にシャットアウトして生きていくことは不可能です。

ばい菌やウィルスに神経質になりすぎると、
なかなか免疫力はつきません。

マスクはTPOに応じて使い、
不必要に自分のカラダを甘やかさないこと。

なんと言っても、免疫力を高めること。

ちょっとやそっとのウィルスに負けない、
健康で丈夫な身体を作ることが、何よりも大切なのですね。

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 - カラダとノドのお話

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