大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

だって、そう聞こえるんだもん。

   

MTLワークショップの資料作り、
予想通りというか、予想を超えて難航しました。

題材は今をときめく『ボヘミアンラプソディ』。

流行に乗っかっちゃおうというのもありますが、
何より、20年ほど前に一度、
Jam For Joyというイベントで、
ヴォーカリスト10数名と一緒にこの曲を再現、
ヴォーカルをやらせてもらった時の快感が忘れられなくて・・・

とにもかくにも受講生のみなさんに、
少しでも楽しく学んでいただけるよう、
4声+ヴォーカルというシンプルな(シンプルじゃないけど)
構成にし直して、レコーディングして、
譜面とオンリー音源と共にみなさんにお送りしよう。

そんな風に思い、レッスンのお休みを利用して、
気軽にスタートしたんですが。

これねーー。
とんでもなく大変でした。

ビートルズなんかもそうなんですが、
これだけコーラスが入っていると、
メロディラインの解釈が人によって違う。

私としても、何しろ10代から聞いている曲で、
ずぅ〜っと聞き、歌っているメロディというのがあり、
もうそこばっかりが、くっきり聞こえてくるわけです。

いざレコーディングの段階になって、
私が歌い出すなり、ジェフ夫さんからクレームの嵐です。

「それ、主メロじゃないよ」
「そんなメロディ、不自然でしょ」
「いやいや、そんな音は入ってないよ」

そんな風に言われても、
私にはそう聞こえるわけで・・・

「いやいやいやいや。こう歌ってるって!」
「へ?この音、聞こえないの?」

そこから、
あれこれYoutubeのカバーバージョン見て検証したり、
「こちとら何年この曲聴いてると思ってるんだ?」
という謎の年齢自慢があり、
そもそも買い求めた譜面が違ってるとか、
なんでそう聞こえるのか理解に苦しむとか・・・

まぁ、モメました(^^)

人間の耳というのは本当に不思議なものです。
だって、そう聞こえるんだもん。

自分にとって聞こえるものがすべてじゃないのか。

それが自分にとって気持ちいいメロディだから、
そう歌いたいんだから、それが正解じゃないのか。

・・・とまあ、言いたいところですが、
教える側としては正解を伝えなくちゃいけない。

そんなんで、自分的には結構気持ちの悪いメロディを
歌うことになってしまいました。

だって、みんなにはそれがメロディに聞こえるらしいんだもん。

自分自身を例に取れば、
曲をつくるときって、
頭の中にいろんなメロディが同時に鳴っていて、
それをひとつひとつ取り出して、音にしていく。

で、人にデモを聴かせると、
「これってどっちがメロディ?」
と言われたり、

リハなどで歌うと、
「それってコーラスパートでしょ?」
などと言われたりするわけです。

まぁ、自分の曲なんで、歌いたい方を歌う。
私がメロと言ったら、それがメロなんですが。

世のアーティスたちは、みんなそんなに、
「これが主メロ」とか、
「これはハーモニー」なんて思いながら曲をつくるんでしょうか?

そういえば、昔、キーボードの中村建治さんが、
「ビートルズの曲で、
みんながメロって思ってるのって、
多くが、ポールがつけたハモなんですよ。」
って言ってたっけ。

どっちでもい〜んじゃない?
極論すればさ。

聴きたいように聴く。
歌いたいように歌う。

とりあえず、私はそっち派でいこっと。

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 - イケてないシリーズ, ボイストレーナーという仕事

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