大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

努力賞はない。そんなものはいらない。

   

「努力賞はないからね。」

音楽業界で仕事をするようになって、
一体何回このことばを聞いたでしょう。

 

「がんばらなくたって、できりゃいいの。」

「どんなにがんばったって、結果を出せなくちゃ、
なんの意味もないから。」

「プロってそういうことよ。
努力なんか全然しなくたって、できるやつはできる。
がんばってるとこ見せるの、むしろダサいんだよね。。。」

 

地を這うような思いで「がんばっている」私を尻目に、
しなやかに、軽やかに、
キャリアをトリップしていく天才たちを、
どれだけ羨ましいと思ったことか。

あんな風に生まれたら、
あんな風になれたら、
人生はどんなに楽で、楽しかろうと、
指をくわえた日々。

そんな、どちらかといえば、
いや、どちらかといわなくても、
石にかじりつく派、
石の上にも10年派の私ですが、

アーティストや、
ミュージシャン志望の子たちを指導する立場になって、
何度となく「努力賞はない」を口にしてきました。

 

努力の量と評価は関係ない。
だから、努力するなら結果の出る努力をしなくちゃ、
がんばった時間が無駄になっちゃう。

そんな激励の意味を込めてつかっています。

 

一分の才能と九分の努力。

どんな天才だって、
水面下で足をバタつかせることなしに、
結果を出すことなんて不可能だから。

「一分の才能」を持ち合わせるということが、
どれだけ特別なことかを、
知って欲しくて言うときもあります。

 

では、結果が出ないこと、
評価してもらえないことをするのは無駄なのか?

「一分の才能」を持ち合わせていないなら、
「九分の努力」は、
プールの縁につかまってバタ足をするのと同じ。
エネルギーを消耗するだけで終わるのか?

 

もちろん、答えはNOです。

がんばる時間が、新しい道を開くこともある。

がんばる姿を見てくれていた人が、
思いがけないご縁を運んでくれることもあります。

がんばり抜いた自分に、自信が芽生えることもあるでしょう。

夢中にがんばる姿は美しく、人の胸を打つものです。

 

やってみもしないことに、
才能があるかないかなんて、評価をくだせるわけがない。

努力というコップを満たして、
あふれ出した分が才能になる。

コップを満たす前に努力をやめてしまったら、
結局、なんの才能も発揮できないまま終わってしまうでしょう。

 

「努力賞はない」というのは、
「努力するのは無駄」という意味でも、
「努力なんかするな」という意味でもありません。

 

やるなら、自分で納得のいく結果が出るまでがんばれ。
努力するなら、結果の出る、評価される、くふうを重ねろ。
道が開けるまで、やり抜け。
そんな思いのこもったことばです。

 

努力賞はない。
そんなものはいらない。

どこまで自分を追い込めるか。
自分が納得できるまでやり抜けるか。

大事なのは、それだけです。

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