「型」か?没個性か?
日本の幼稚園の先生たちは、
「さぁ、みんなでブランコに乗りましょう。」
「次はお砂場ね」という具合に、
生徒たちを一緒に遊ばせようとするのに、
海外では、多くの幼稚園の先生たちが、
こどもたちがひとつの場所にかたまらないように、
それぞれ、思い思いの遊具に誘導する傾向がある、
という話を、ずいぶん前に何かの本で読みました。
日本人は、みんなで一緒に行動すると安心する。
同じように装い、
同じようなことばを話し、
同じような価値観を持つことは、
「日本のマナー」の基本。
そんな日本の「型」は、
海外の人たちの目には、
時にユニークに、
時に異様に映るようです。
NY時代に訪れた、とあるジャズクラブで、
一番目立っていたのは、
洒落たドレスの女性でも、
フロアで踊っているカップルでもなく、
日本人観光客のグループでした。
一番前のテーブルに陣取ったその人たちは、
目の前にウィスキーグラスを並べ、
一様に腕組みをし、首を傾けて、
じーっと演奏に聴き入っています。
やがて、誰かのソロが終わると、
同じタイミングで腕組みを説いて、
「イエイ」とかけ声をかけながら、惜しげもない拍手を送る。
ひとしきり拍手すると、また腕組みをして聴き入る。
次のソリストの演奏が終わると、また「イェイ」です。
日本のジャズバーでも、よく見かけた、この光景。
これこそが、当時の日本の
「ジャズ鑑賞の型」だったのかもしれません。
思い思いおしゃべりやダンスをしながら、
演奏を楽しんでいる本場・ニューヨークの人たちの中で、
異様な雰囲気を醸し出している、
その礼儀正しいスーツ姿の日本人グループに、
同じ日本人として、
妙な恥ずかしさを覚えたものです。
日本という国に生まれ、
日本の教育を受けてきた私たちは、
不安になると「型」を追いかけます。
あたしだって、
いろんな「型」をなぞってきました。
自信が揺らぐたび、
人に何かを言われるたびに、
誰かのマネをしたり、
雑誌を読んだり、
誰かのアドバイスを聞いたりして、
髪型を変え、
化粧を変え、
ファッションを変え、
でまた、
いろんな人にあれこれ言われ、
また凹んで、別の「型」を試す。
「型」は特定の社会や、
クラスに属しているという安心感をくれます。
自らを演出したいときや、
誰かを欺きたいときの「隠れ蓑」としても、
一役買ってくれます。
しかし、個性やクラス、
自らのブランドを演出しようと、
「型」を追いかければ、
自分のアイデンティティは
型抜きされて、削り取られてしまいます。
誰かの「型」をなぞれば、
その人の哲学や匂いまでも、
身にまとうことになります。
日本という社会の「右向け右」的な窮屈さにウンザリしながら、
なぜまた、わかりやすい「型」に飛びついてしまうのか?
そんな自分の弱さにガッカリしながらも、学んできたこと。
「これが正しい」という平均化された価値観ではなく、
誰かに押しつけられる「型」でもなく、
自らが心から求める「型」を探す。
その「型」を極めて、
やがてそれが洗練されて、
自分自身の「型」となるまで、磨き上げる。
結局、自分自分の個性は、価値は、
そうやって磨いていくしかないんですね。
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