大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ミュージシャンに向いている人って?

   

「ミュージシャンに向いている人ってどんな人ですか?」

そんな質問を時々受けると、私は迷いなく、
「楽天的な人!」と答えます。

人間誰しも、うまくいかないときはあります。

特に、音楽を仕事にしている人で、
「うまくいかないとき」を経験したことがない、などと言う人は、皆無でしょう。

これほど、ダイレクトに、「運気」を体感する職業も少ないのではないでしょうか?

朝から晩までスケジュールがビッチリ。
制作やら、レコーディング、プロモーション、リハーサル、ライブ・・・

休日どころか、寝る暇もない。
そんな時期に限って、
次から次へと新たなスケジュールやプライベートな所用が入って来て、
対応するだけでも激しいストレスを感じる。
「しばらく、そっとしておいて!!」と叫びたくなる時さえある。

ある日、ぱたりとスケジュールがとぎれ、
なんて幸せなんだろうと、休日を謳歌する日々。
当分、こんな平和な日々を過ごしたいなぁ・・・なんて、思っているうち、
気づけば2週間、3週間。
ウンザリするほど飛び込んで来たメールも、
ひっそりと息をひそめて・・・
「みんな、私のアドレスなくしちゃったのかな?」などと、
ひとりごとを言う頃には、不安はMAX。

や〜〜っとぽろっと仕事の電話がくれば、
たまったま、前々から決まっていた、1日限りの仕事とかぶって断らざる終えない。

・・・そんなスーパー浮き沈みの人生を笑って乗り越えられなければ、
ミュージシャン家業は無理です。

収入だって、同世代の初年度の年収を2〜3ヶ月で稼げるかと思えば、
ぱたりと仕事がなくなって、半年間無収入などということもざらです。

「よくそんな生活できるね。絶対耐えられない。」

社会人の友人は、そんな話をするたびに、あきれ顔で言ったものです。

しかし、ミュージシャンとはそういう仕事。
そうした不安定さが耐えられないほど苦痛な人には絶対に向いていないのです。

もちろん、何十年も生き残っている人たちは、単に楽天的なだけではありません。
仕事のないときに何をするか。
何を考え、どんな行動をし、誰に会うか。

時間があるときほど、そんなことに心を配り、
端からはストイックに映るほど、無駄なく時間を過ごしている。

そんな資質があるかどうかは、
しかし、ミュージシャンをはじめてみないとわからないもの。
まずは、なんと言っても・・・

なんとかなるさ。
音楽、楽しいんだよね。
意外とうまくいくんじゃない?

そんな風に脳天気に、楽天的に、考えられるかどうか。

とりあえず、やってみますか?(^^)

 

29689296_s

 - 未分類

  関連記事

あなたの呼吸、大丈夫ですか?

最近、息切れがする。 話をしてても、途中で、息苦しくなる。 年かなぁ・・・ そん …

no image
上達と進歩は一瞬でやってくる!

どんなに練習しても、ちっともうまくならない・・・ そんな時はだれだって、心が折れ …

結果を出すことの意味

音楽の仕事をはじめて、徹底的にたたき込まれたのは、 「この業界、努力賞はないから …

no image
仕事が嫌ならいつでもリセットすればいい

レコーディングの仕事に呼ばれるようになったばかりの、 駆け出しのころ。 現場の雰 …

no image
「おかあさん声」の主は・・・

昨日、近くのストアにお買い物に行ったときのとこです。 商品に見入る私の横で、親子 …

no image
話す発声と歌う発声?

「話す発声と歌う発声って違うんですよね?」 よく耳にする、不思議な疑問文です。 …

「ミュージシャン」という人生を生きる

先日マーリンズに入団が決まったイチロー選手が、 「現役最年長の野手として 開幕を …

no image
発声のためのベスト・バランス

マジカルトレーニングラボの初回カウンセリングでは、 音楽経歴とともに、必ず運動経 …

no image
変声期

昨日は12~16才の男の子ばかり、8名のボイトレを担当しました。 17才くらいか …

no image
解剖学の本から『笑筋』が消える日?

うまく笑えない子が増えている。 「にっこり笑って」と言われて、前歯をきらりと見せ …