大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「作品」は、鮮度の高いうちに世に出す

      2015/12/20

食べるものに鮮度があるように、
人がクリエイトするものにも鮮度があります。

どれだけいい曲だと思っていても、
創ったときに感じる鮮度を、いつまでも感じ続けられることは非常にまれ。

本やブログのネタにしようと、キープしていた文章は、
90%以上の確率で、そのままお蔵入りになります。

単に聞き飽きるとか、読み飽きるとか、そういうこととは違う。
宿っていたはずのオーラが消えてしまうかのようです。

歌も、歌詞も同じです。
あれだけ「いいでき」と思っていたはずなのに、
寝かせているうちに、不思議なくらい、魅力を感じられなくなってしまう。

クリエイトしているときに、支配していた「場」の空気が変わるからなのか。

それとも、時間が経つことで、そこに宿っていたはずのエネルギーが、
何らかの形で変質してしまうのか。

はたまた、単純に、時と共に、新しい情報を吸収した自分の感性が変化したのか。

いろいろな意見はあるでしょうが、個人的には、
だから、クリエイトしたものは、そのパッションが覚めないうちに、
作品として世に出してしまうのが正しい、と考えています。

作品という形として世に出ると、
そこに、いろいろな人たちのいろいろなエネルギーや想いが乗っかってきます。

創ったまま放置しておくと、消滅、腐敗しかねない作品のエネルギー。
他の人のエネルギーが乗ることで、新たな輝きを放つのです。

「作品」の価値は、人に問うて、初めて生まれます。

「詞はね、書いて、レコーディングするまでは自分のもの。
でも、作品として発売されたら、もうファンのものだからね。」

かつて一緒にバンドで歌っていたボーカリスト・山田信夫氏のことばです。

クリエイターの中には、自分の作品は絶対に聞かない、という人もいます。
産み落としてしまったものは、最早自分のものではない。というのです。

しかし、中には、繰り返し、自分の作品に触れ、
思いを新たにしたり、
その作品がもたらしてくれたものを振り返るという人もいる。
どちらが正解かは、そのクリエイターが決めること。

いずれにしても、

Real artist ships.

どんどん、世に出して行きたいものです。

28590211_s

 - The プロフェッショナル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

  関連記事

歌を歌って音楽の世界で活躍したい人に必要な3つの資質

歌を歌って、音楽の世界で活躍したいという人にとって、 必要な資質はなんでしょう? …

「圧倒的な安心感」をくれるプレイヤーの条件

魅力的なプレイヤーたちとのパフォーマンスはドキドキ感の連続です。 心地よい音色と …

「想像力の限界」を認める

「ある程度、想像がつくこと」と「想像を越えること」の間には、 「経験」という決定 …

Myマイク派 vs. Anyマイク派

最近、レッスン、ライブ、リハーサルなどに、 自分のマイク、いわゆる「Myマイク」 …

視点を変えれば、感動は無数に生まれる。

1990年代に一世風靡したロックバンド、 オアシスのノエル・ギャラガーが、 どん …

いつも初演のつもりで準備して、 初舞台のように、パフォーマンスすること

「いや〜、感動しました!!次も楽しみにしています!」   オーディエン …

「才能の超回復」を繰り返して、人は成長するのである。

「超回復」ということばを聞いたことがあるでしょうか? 筋トレで傷ついた筋肉は、 …

「飲みニケーション」は死んだのか?

ここ数年、若手バンドマンたちの「クリーン」ぶりに、 驚かされるシーンに何度も出会 …

「カッコいいやつ」が「カッコいいやつ」と呼ばれる5つの理由

「なんにもしなくてもカッコいいやつっているんだよ。 こればっかりは、どうしようも …

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜

人前に立って、パフォーマンスしたり、話したりする機会を与えられるということは、 …