共通言語としての「定番曲」をマスターする
2015/12/20
ミュージシャンの知り合いを増やしたい、
もっとたくさんの人に評価されたい、
そんな風に思っている人は多いと思います。
以前『業界人やプロと出会うためにやるべきこと』というポストで書いたように、
それには、「行動」あるのみ。
出会うべき人たちに、出会うためには、
さまざまな場所に足を運んで、地道に知り合いを増やしてゆくのが一番です。
しかし、「私、ボーカリストなんです」「ぼく、ギターリストなんです」と、
自己紹介した瞬間に、
「おぉ、じゃあ歌ってみてよ」「なんか弾いてよ」
などと言ってもらえる可能性は、非常に低い。
だからこそ、「へぇ、今度聞かせてよ」と言ってもらったときに、
手渡せるCDなどや、ライブのチラシ&ご招待チケットなどを持っていることは、
とても大切なのでした。
しか〜し、
滅多にないけど、必ずある、「じゃあ、ちょっと歌ってみてよ」
「お。なんか弾いてみてよ」のチャンス。
その時、あなたは準備OKでしょうか?
アウェイの場所でもらえた、
「ちょっとなんか」のチャンスを、生かせれば、
そこで一気に人脈が広がります。
「なかなかやるなぁ。」と思ってもらえれば、
人々の心に存在をばっちりインプットでき、
口コミで、知り合いが増えていくからです。
こんなとき、もっとも優位なのは、
弾き語りが得意なボーカリストや、
アコギが得意なギターリスト、ピアノが得意なキーボーディスト。
ギター一本、ピアノ一台あれば、どこでも自分の得意なスタイルでパフォーマンスができる。
アカペラで充分聴かせられるボーカリスト、というのも、いいですね。
一番、不利なのは、やはり、ドラマー、ベーシストなど、
「何気なく楽器が転がっている」という状態の少ない楽器のプレイヤーでしょう。
さあ、そのとき、あなたは、何を演奏しますか?
その曲は、自分のベストパフォーマンスでなくてはいけない。
インパクトがなくてはいけない。
完璧に自分のものになっていなくてはいけない。
そんな曲を、何曲持っていますか?
演奏が素晴らしければ、アンコールがくるかもしれません。
1曲で終わり、ではもったいない。
少なくとも3〜4曲は、いつでも、どこでも、誰に聴かせてもOK!
という曲を持っていたいものです。
そして、もちろん、
たとえ弾き語りで自分をアピールできる!と言う人も、
セッションで歌える、演奏できる、定番曲を準備しておくのはMUSTです。
ベテランのミュージシャンたちには、
こうした、共通言語のような「定番曲」がたくさんあります。
誰かがイントロを弾き出しただけで、みんなが、その演奏に次々と参加できるような曲。
そして、その曲の中で、それぞれの個性が火花を散らすのです。
残念ながら、音楽の趣味が多様化している現代の若者ミュージシャンたちには、
こうした、共通言語が著しく不足しているように見えます。
譜面がなければ弾けないような複雑な曲や、
一部の人しか聴いたことがないマニアックな曲では、セッションは成立しません。
そんな共通言語が不足しているから、
若者ミュージシャンは今ひとつ、横の繋がりが希薄なのかもしれません。
オリジナル曲も、弾き語りもいいですが、
人と人とを繋げてくれるのは、やはり一緒に演奏すること。
まずは、いわゆるブルース進行や、ワンコード、ツーコードといわれる、
曲を知らなくてもなんとなくできてしまう曲を中心に、
レパートリーづくりにはげむことからはじめてみましょう。
カバー曲はどうも。。。なんて、馬鹿にするなかれ。
共通言語が増えれば、音楽の可能性がどんどん広がりますよ。
関連記事
-
-
ミュージシャンに、定石も王道もない!
「MISUMIさんは、何才から歌っているんですか?」 「やっぱり楽譜が読めないと …
-
-
「結局、誰よりも渇望した人間が・・・」
「なんで歌の学校なんか行くの? 歌なんか、習うもんじゃないでしょ?」 大学4年の …
-
-
やっぱ、近道はないのよね
「おとうさんの知り合いにレコード会社の人がいるんだけど、会ってみる?」 「仕事関 …
-
-
いわゆる「事務所」ってなにしてくれるの?
ミュージシャン志望の若者たちと話していると、 「事務所」ということばが頻繁に登場 …
-
-
「ちょっと歌ってみる?」・・・売られたケンカは必ず買うのだ。
「はじめまして!私、Y子と言います!うた、歌ってます! どうぞよろしくお願いしま …
-
-
鍵盤楽器を買おう!
ボーカリストで、楽器をほとんど弾けないという人は多いと思います。 楽器が弾けない …
-
-
「なぜ創るか」、「何を造るか」と同じくらい、「どう魅せるか」にこだわる
名曲といわれる歌は、 それを演じていた歌手たちのイメージやパフォーマンスと共に蘇 …
-
-
サポートミュージシャンを目差す人が取り組むべき、最も大事なトレーニング
一流のアーティストたちと大きなホールをツアーして回る、 いわゆる、サポートミュー …
-
-
歌がうまくなる“地獄聴き”のススメ
歌がうまくなりたくて、がんばっているのに──どうにも伸び悩んでいる気がする──。 …
-
-
無責任なコメントに心乱されない
まだ学生の頃だったか。 たまたま通りがかった野外ステージで、公開オーディションの …
- PREV
- 「作品」は、鮮度の高いうちに世に出す
- NEXT
- 自分の意見を口に出すことを恐れない

