大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自意識の暴走を屈服させる

   

ボーカリストも、ミュージシャンも、役者も、ダンサーも、
おそらくはパフォーマーと言われるすべての人が、

自意識と常に向き合い、共に歩き、あるときは距離を置き、しながら、
親密に、大切に付き合っています。

 

自分自身のあり方を意識、分析することなしに、
パフォーマーとしての表現も進歩もありません。

高い自意識があるからこそ、
自己管理をし、肉体を研ぎ澄まし、テクニックを磨き、
いつ人から見られてもいいような、自分自身を生み出すことができる。

そして、だからこそ、自然体でいながらにして、
カリスマ性や魅力を失わないパフォーマーになれるのです。
自意識は、実に大切な友といえます。

しかし、この「自意識」。
うまくコントロールできずに暴走させてしまうと、これほどやっかいな敵はいません。

 

人に気にして欲しい。
誉められたい。
誰よりうまくやりたい。

という、気持ちが先行したり、

うまくできなかったらどうしよう?
人は自分をどう思っているんだろう?
どうせ私なんか・・・。

などという、ネガティブな思いがどんどん湧いてきたり。

その結果、パフォーマンスがしどろもどろになり、
顔が真っ赤になり、
恥ずかしさにいてもたってもいられなくなり、
しまいには涙まで出てきます。
ティーンエイジャーの頃の

好きな子に意地悪をしてしまったり、
好きな子の前に出るとしゃべれなくなったり、
反対に、くだらない馬鹿話をして、笑いばかり取ってしまったり・・・

そんなメンタリティを、いつまでも卒業できずに抱えているかのようです。

 

さて、自意識の暴走を、どうしたら止められるか。
大切なことは、視点と発想の転換、そして行動です。

 

まずは、人は自分ほどには自分のことを気にしていない。と気づくこと。
誰もが同じくらい、自分のことに一所懸命で、
ああでもない、こうでもないと他人の揚げ足を取るほど暇じゃないのです。

同じパフォーマーやミュージシャン同士なら、
みんな、それぞれが同様に自意識を研ぎ澄ましてその場にいる。

他人のことどころじゃなく、今の自分と同じくらい、
泣きたい思いでそこにいる人もいるでしょう。
では、オーディエンスなら?
オーディエンスとして自分がその場にいたらどうか?、と想像してみてください。

「なんだ、こいつ、ださい!」といちいち、揚げ足をとりますか?
その場にいるのは、楽しみたいから、応援したいからではないですか?

楽しみたい、応援したいと言う気持ちのない人は、
所詮、どんなに素晴らしいパフォーマンスにでもケチをつけます。
そんな輩は端から相手にしないで、放っておけばいいのです。

そうやって、発想と視点を変えてみた上で、
もうひとつ大切なこと。

そんな自意識の暴走を屈服させるくらい、
徹底的に準備して、がむしゃらに臨むことです。

がむしゃらに準備して、ひたむきに行動すれば、
暴走気味の強い自意識と、
準備によって得た自信が、ふと折り合う瞬間を体験できます。

その瞬間が、自意識を敵のまま放置するか、味方につけられるかの分岐点。

結局は、そこまで自分を追い込んで行かれるかどうかの勝負なのです。

7323295_s

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

誰かに「習う」前にやるべきこと、できること。

楽器や歌をはじめたいと思うと、 「とりあえず、スクールや個人の先生を探さなくちゃ …

「一生に一度しかヴォイストレーニングを受けられない人に、 3時間で歌が上達するためのすべてを伝える」

MTLのメイン講座、 『MTL ヴォイス&ヴォーカル Lesson 12』(MT …

リズムが悪いのは「背骨が硬い」から?

音楽学校などでバンド・アンサンブルの指導をしていると、 一所懸命演奏する若者たち …

no image
話を聞かない生徒 話をさせない先生

「これは、こんな風に歌うのよ」と、 お手本を聴かせるためにこちらが歌い出した瞬間 …

「限界ギリギリの定番曲」をいきなり歌う。

練習はルーティンからはじめる、というのは、 どんなスポーツでもおなじではないでし …

50分の2の法則

「世の中の“おもしろいヤツ”、“デキるヤツ”の存在確率は50分の2である。」 高 …

毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない

「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか? おそらく、ほとんどの人は、 …

やっぱ、英語なんだよなぁ。

日本語の歌を歌っているとめちゃくちゃカッコいいのに、 英語の歌になったとたんに、 …

「自分のことば」になってない歌詞は歌えない!

役者さんがしばしばつかうことばに「セリフを入れる」というのがあります。 この「入 …

ストライク率を限りなく100%に近づける

こどもの頃からずっと謎に思っていることのひとつに、 「ボーリングって、なぜゲーム …