『やらなきゃいけないとわかっていても、 なかなか続けられないことを、続けるヒント』
「練習時間、なかなか取れないんですよね〜」
「こういうのって、どこで練習したらいんですか?
声出す場所って、なかなかないですよね。」
「ひとりで練習しても、ピッチあってるのかどうか、わからないんで・・・」
練習のできない人の言い訳は、いつも似たり寄ったりです。
アーティストや学生ならば、叱り飛ばすか、
「向いてないね」とそっぽを向いて反省を促すところですが、
社会人ともなるとそうも行きません。
平日は毎日、朝から晩まで仕事だし、
夜は夜で断れない付き合いがあるし、
休日は家族サービスで忙しいし、
なんにもないとぐったりしちゃうし、
ひとりの時間なんかほとんどないから、練習場所もないし、
先生のおっしゃることはよくわかってるつもりなんですが、
時間が経つとどんどんわかんなくなっちゃって・・・・etc.etc.
わかります。わかります。
練習できないのは、やる気がないせいじゃないんですよね。
いつも、「よんどころのない社会人の事情」があるからです。
しかし・・・一方で、
「毎朝、新聞はストレッチをしながら読むようにしています。」
「通勤時間に車の中で音源を聞きながらボイトレするようにしています。」
と、練習時間を上手にひねり出す人たちがいます。
「ピッチ調整のためのチューナー探してたら、新兵器見つけたんですよ!」
と、私も知らなかったボーカリストのためのピッチ矯正マシンを見せてくれた子や、
「通勤の時にボイトレの教材を聞きながら行くと、一日姿勢や呼吸を意識できるんです。」
という人がいる。
「朝、一番に出社して、掃除しながら声出してます。」
「こどもと遊ぶときは、一緒に歌ってます。」
「週末は必ず、ひとりでカラオケに行きます。」
と、練習場所の問題をクリアする人もいます。
「やる気」が本当にあれば、人は、何を犠牲にしてでも時間をつくるもの。
そこまで重たくないにしても、
やりたいことなら、疲れていても、叱られても、変人と言われても、
気にせず、夢中になってやるでしょう。
時間は「工夫」から生まれます。
そして、練習の効率も、続けるのも「工夫」次第。
さて、今日の本題、
『やらなきゃいけないとわかっていても、
なかなか続けられないことを、続けるヒント』です。
いろいろなところで書いているように、
私は歌の練習は「努力している意識」ゼロでしたから、
ここではあまり参考になりません。
ここでは、エクササイズがなかなか続けられなかった私が、
いろいろ試したあげく、みつけた継続のためのコツです。
1.一日の最初にやること。
「これをやってから」は、「これ」が長引く。
「午後一で」は、お昼時間が後ろ倒しになったり、
その時間帯に急用が入ったりする。
「帰ってから」は、その日の疲労度や、帰りの時間の変動という、
読めない要因がついてまわる。
「朝一」には、言い訳の入る余地はない。
ただし、「寒いから」「眠いから」「つらいから」は、
理由にならないのを肝に銘ずること。
2.守れるゴールを定める。
「毎朝10キロ走る」なんて、無理なゴールを設定すれば、
とんでもない覚悟と意志力が必要になる。
ゴールが大きいほど、1日でもできないと、
自分を恥じ、
恥じるばかりに、翌日も、「どうせ・・・」となり、結局、挫折する。
私的には、「2日に1回」、「週に3回」という、ゆるいゴールは、
「今日はや〜めた」ができるし、「ま、今日はがんばっとくか」もあるので、
お気に入り。
走るときも、距離や時間を定めると、走る前に心が折れるけど、
「嫌になるまで」と、テキトーに決めておくと、
平気で5キロ、6キロと距離を伸ばせた。
3.「今日は無理だから、途中でやめよう」と決めて、とりあえず、はじめる。
無理をすれば、必ず歪みが来る。
「嫌ならやらない」が鉄則だけど、
そうなると、「2日に1回」のルールが守れなくなる。
そんなときは、「とりあえず、ちょびっとだけやって、すぐにやめよう」と決める。
エクササイズDVDを、とりあえず流す。
とりあえずランニングシューズを履いて、家の外に出る。
ダンベルをクローゼットから出す。
不思議なもので、運動も、練習も、
一番きついのは「はじめる」というパート。
はじめてしまえば、必ず楽しくなる。
楽しくなれば続けられる。
続けられる自分が嬉しい。誇らしい。
そんな循環。
ただし、はじめてもやめたくなったら、その瞬間にやめる。
これも、鉄則。
いかがでしょうか?
ものすご〜く多忙で時間がなさそうな人に限って、
フルマラソン走ったり、トライアスロンしたり、
本を書いたり、
お子さんとのレクリエーションタイムを楽しんだり、
そうかと思えば、新規事業を立ち上げたり、
勉強会に通ったりしているものです。
何事も「工夫」。それに尽きます。
まだまだ、もうひとひねり、できそうですね。
関連記事
-
「髪の毛一本」レベルで、音の長さにこだわる。~Singer’s Tips #18~
歌の印象を大きく変えるポイントのひとつに、 「音の長さ」があります。 歌い出しの …
-
「軸の弱さ」をなんとかする。~Singer’s Tips #13~
高い声を出すとき、どうしても上を向いてしまう。 大きな声を出す時は、なぜかクビが …
-
英語の歌詞って、どうやって覚えるの?
「歌詞を覚える」というのは、ある種の習慣です。 何を当たり前と思うか、という気構 …
-
それで、いい声、出せますか?
先日、とある生徒さんのレッスンをしていた時のこと。 ずいぶん小柄な彼女なのに、 …
-
「練習が嫌いなんじゃない。「練習をはじめること」が嫌いなんだ。
以前、プロで活躍していたという元スポーツ選手と話していて、 「今でも、毎朝、ジョ …
-
「どうせ向いてない」を変える3つのプロセス
楽器の練習や歌の練習、パフォーマンスや創作活動がうまくいかないとき、 自分がどう …
-
本気でうまくなりたいなら、まず、黙って聴く。~Singer’s Tips #20~
シンガーを志しているという人に、 どんな練習をしているのかと聞くと、 多くの人が …
-
「練習」とは「工夫すること」
楽器や歌を習得したい。上達したい。 しかし、実際、何からはじめたら …
-
「長期記憶のゴールデンタイム」にあなたは何を記憶しますか?
「受験生といえば、まずは『でる単』」。 『でる単』、すなわち、『試験に出る英単語 …
-
実力を磨く「三位一体」
学生時代に一緒にバンドをやっていた仲間と、 3〜4年ぶりに同窓会的なライブをする …
- PREV
- 頑固な、間違ったプログラムを解除して、「声」を解放する
- NEXT
- ことばの解釈に「正解はない」