大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「正しい演奏」と「いい演奏」とは、全然違うことなんだ

   

こどもの頃、「音大生」というものに、
本気で憧れていました。

少女漫画の読み過ぎというか、
エリートコンプレックスというか、

とにかく、

深窓のお嬢様

おうちにグランドピアノ

3才からおけいこ

音楽の英才教育

絶対音感

音大生

クラシックの演奏家

という、無限ループのような空想の世界があって、
それらすべての醸し出す、
なんとも言えない「名門感」みたいなものに、
やたら憧れたわけです。

(あぁ、ロックじゃない。。。)

 

この空想の元になっているのは、
こどもの頃見た、映画『愛情物語』や、
2台のグランドピアノを向かい合わせに演奏していた、
ラベック姉妹のライブのようす。

名家には必ず、グランドピアノがあって、
ときには、それが2台あって、
家族で演奏会を楽しんでいる。。。

名家の令嬢は、みな、音楽の英才教育を受ける。

3才から英才教育を受けたこどもたちは、
みな、クラシックの演奏家になる・・・。

 

一体全体どこでこんなことを思い込んだのか。

今となっては笑い話にしかなりませんが、
当時の私は、そんなことを本気で信じて、
「あー、どうしてあたしは・・・」と、
得意の下向きスパイラルにはまっていったものです。

 

さて、本日の本題。

3才から18才までピアノを習って、
音楽大学や音楽学校に入学し、
毎日のようにピアノを弾いていれば、
誰だって、それなりの腕前になります。

ピアノだけではありません。

こどもの頃から、
普通のこどもたちが外で遊んだり、
ゲームをしたり、勉強をしたりしている時間、
ずっと楽器を触っていたり、
歌を歌っていたりすれば、
うまくなるのは当たり前です。

(そんな環境にいながら、
一向に上達しないという子も、実はたくさんいますが、
それはまた別の問題です。)

 

譜面が読める。
正確に弾ける。歌える。
ピッチもリズムも狂わない。
ミスもしない。
ダイナミクスもそこそこつけられる。

あぁ、それなのに。

音楽わかってないなぁ・・・という人、
一体どれだけいることでしょう。

 

なんで、そのメロディを、そう弾くんだろう?

どうして、そこで、そういう音を出すんだろう?

なんだって、そんなに、おもしろくも何ともないんだろう?

 

へたな子や、練習をしない子に指導をするのは簡単です。
ダメなところを指摘して、
練習のためのアドバイスをすればよろしい。

しかし、正しい演奏をしながら、

「なんでそうなっちゃうのかなーー??」という子に、
指導することばは、簡単にはみつかりません。

 

反対に、へたくそで、不真面目なんだけど、
「なんか、いい」という子もいます。

たいして練習しているわけじゃなさそうなのに、
ぐっとくる演奏をする、歌を歌う、という子がいます。

 

「それがセンスってもんなんだよね。」

「ま、センスは教えられるもんじゃないから」

そう言い放ってしまったら、それでおしまい。

一所懸命練習しているのに、
「センスないな」と言われ、
絶望感に苛まれている子こそ、
本気でアドバイスを必要としているのです。

 

では、どうしたらいいか・・・。

明日は、そんな子たちへのアドバイスをシェアします!

【メルマガ『声出していこうっ!me.』にて”ヴォイトレ365″ をスタート】
これまで私を、MTLを支えてくれたブログ読者さん、メルマガ読者さんたちへの感謝を込めて、2017年12月1日から365日間、声とヴォイトレを語り倒す”ヴォイトレ365″をお届けします。
私と一緒に365日、走りませんか?
メルマガ登録がまだの方で、「一緒に走るっ!」という方はこちらから。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

歌は、習っても、習わなくてもいいのだ。

歌だって、楽器だって、誰かに習う必要なんか、もちろんありません。 立派な学校に通 …

そんなこと、 何年やってても、絶対にうまくなりません。

プレイヤー目指して、 日夜がんばっていたにもかかわらず、 てんで上達しなかった自 …

歌がうまくなりたいなら、そろえるべきアプリ10選!

今日はヴォーカリストやトレーナー、歌がうまくなりたい人が持っていると便利なお勧め …

どうして私はがんばれない?

「なんか、最近、がんばれないんですよ〜。   がんばらなきゃいけないの …

無限大に見える作業量を前に、ひるんだら負けだ!

洋楽のカバーを歌う、英語の苦手な学生たちに、 英語の発音指導をすることがあります …

うまくならない子の思考

「うーん。先週とちっとも変わってないんだけど、練習したの?」 前の週に指摘した間 …

ちゃんと元取れっ!

けして質素なタイプというわけではありませんが、ことコスパに関しては誰より厳しいと …

「自分の声の地図」を描く

「あなたの音域はどこから、どこまで?」 「え?」 「高い方はどこまで出るの?下は …

理解できない相手がクソなのか、させられない自分がダメなのか。

誰にも歌を認めてもらえず、 今日辞めようか、 明日ちゃんとした就職先を探そうかと …

焦燥感や無力感が、 明日の自分をつくるエネルギー

もしも、人間のカラダに、 「歌がうまくなるスイッチ」というものがついているなら、 …