大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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譜面台を立てる時のチェックポイント〜本編〜

   

さて、お約束どおり、
今日は、自分のための記録の意味も込めて、
「譜面台を立てる時のチェックポイント」を、
ランダムにお届けいたします。

1.譜面台はしっかりしているか?

My譜面台を持ち歩くという人はなかなかいないと思います。

ツアーのお仕事などで、
スタッフさんがしっかりした譜面台を用意してくれている場合は別ですが、
ライブハウスなどにある譜面台は、
まいったなぁという状態のものが大多数。

折りたたみ式の軽量タイプは老朽化してグラグラしていると、
本番中がたがた動いたり、
酷いモノになると、ファイルを支えきれず、
反っくり返ってファイルごとステージ下に落ちる、
などという惨事にもなりかねません。

見た目も悪いので、
ダンボールをファイルを開いた形に切って、
黒いガムテープで補強して、
譜面台の下敷きのように立てる、
という発明品を持ち歩く人もいました。

何事も、必要は発明の母です。

どちらにしても、先に確認しておくことが必要です。

2.譜面台は邪魔じゃないか?

ライブで譜面台を立てない大きな理由の一つとして、
「ステージを動き回るのに邪魔だ」というのがあります。

ライブ中、ヴォーカリストが、
プレイヤーの譜面台をグワシャ〜ンとなぎ倒して、
大騒ぎになっているのを何度も見たことがあります。

最近ではipadを立てている人もいるので、
そんなことになったら、まさしく大惨事です。

舞台上に譜面台を置く場合は動線確保は必須です。

座ってやるライブなら、
楽器のシールド類に引っかからないかどうかのチェックも必要です。

ヤワな譜面台はシールドに引っかかっただけで、
バタンと倒れることもあるからです。

ヴォーカリストには、
テープで足下のモニターに組み込んだり、
ステージの下に置いている人もいるようです。

最近では、歌詞カードなどはスタッフ経由で、
足元のプロンプターに映してもらうという手もあるようです。

 

3.譜面台は見苦しくないか?

先日のライブではカメラマンさんに入ってもらったんですが、
私たちが座ってやっていたこともあり、
まぁ、どんなアングルからの写真も、
どれも見事に譜面台がついてくる。

これって、やっぱりかっこ悪いと思ってしまうのは、
ロック的価値観でしょうか・・・?

譜面台のせいでせっかくの衣装やギターが今ひとつよく写っていません。

いやーん。です。

譜面台自体の見栄えも大切です。

サビサビ、ボロボロ、グラグラの譜面台は、
やっぱり見た目もよろしくない。

ファイルの色が水色や黄色だと、
まぁ、悪目立ちもします。

かといって、ばさ〜っと紙が何枚も重ねられているのも、
なんだかイマイチ。。。

気にしない人は気にしないのでしょうが、
気になる人には気になるポイントですね。

 

4.譜面はちゃんと見えるのか?

これです。やっぱり大事なのは、これ。

ホールコンサートでさえ、
リハの時はばっちり見えたのに、
本番になったら、照明が微妙に変わって、
肝心のバラードで譜面が全く見えなくなって焦った、
という人がいました。

先日のライブでも、本当に困ったのはこれでした。

本番、とにかく暗かった。

私自身の視力がよくないのもあります。
お年頃で、暗いところが見えづらいもあります。
それでも、なんでも、リハの時は楽勝で見えていた譜面が、
全然見えない。

歌詞の上にコードを振ってあったのですが、
歌詞もコードも暗くて見えなくて、焦って、
本来覚えている歌詞まで吹っ飛びました。

譜面台の角度も大いに関係します。
先日のお店の譜面台は、角度がカッチャンと変わるタイプで、
上を向けるとファイルのビニールが光って見えない、
下を向けると暗くて見えない、の二重苦で、
しまいには、ファイルから譜面だけ出してみていました。

まずは「光る対策」。

最近ミュージシャン仲間がつかっているのを見かけて、
すごい!と思った、”バンドファイル”は相当よさそうです。
おまけに書き込みもできる。
これ、Mustアイテムです。

「暗い対策」は、当たり前ですが、譜面灯。
これこそ、My譜面灯を持ち歩く必要がありそうです。

特定の歌詞に蛍光ペンでマークしておくというのは、
プロがよく使う手です。

ちなみに、赤い文字は赤いライトの下では全く見えなくなります。
照明がばっちりな現場ほど、忘れてはいけないポイントです。

そして、ちゃんと見える大きさで、
太く、書く。

これが、すご〜く大事なんですねーー。

 

5.譜面は飛んでいかないか?

野外コンサートでは、洗濯ばさみはマストアイテムです。
気の利くスタッフさんなら、確実に用意しておいてくれます。

しかし、
ホールでも、ライブハウスでも、
譜面が飛んでいく危険は常にあります。

スモークを飛ばす機械や、
演出用の扇風機などで、
いきなり会場内の空気が動くと、
紙は思いがけないタイミングで飛んでいくからです。

動き回るプレイヤーやヴォーカリストのパフォーマンスで、
ごおっと風が起きて、譜面が飛んでいく、などという話も、
もちろんあります。

せっかく準備を整えても、楽器を弾いている最中に、
ファイルのページがバラバラとめくられてしまっては、
手も足も出ません。

ページが勝手にめくられないよう、
譜面が飛んでいかないよう、注意が必要です。

 

いかがでしょう?

立てるに越したことのない譜面台。

せっかく立てるからには、
きちんと仕事してもらえるように、
しっかりとセッティングをしたいものです。

何事も、1回1回の教訓をどれだけ生かせるかが勝負ですね。

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