大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「誰かにまかせるなら100%その人を信頼すること」

   

愛犬の病気と死を通じて、さまざまなことを学びました。

昨年9月、悪性リンパ腫と診断された愛犬デイジー。
治療にあたって、獣医師の弟から「この先生ならば」と、
弟の先輩である、先進医療を扱う病院の先生を紹介されました。

基本、私の考えは、
「誰かにまかせるなら100%その人を信頼すること」。

誰かを信頼するとは、そういうことだと考えているからです。

もちろん、信頼できなくなった時点で、
まかせる人を変える、と言う選択肢も、
この考えの中に入っています。

困っているとき、
悩んでいるとき、
人は疑心暗鬼になります。
不安になります。

これで正しいのか?
この人でいいのか?
もしかして、もっとよい選択肢があるのではないか?

そうした疑問が浮かぶことは人間ならばむしろ当然。

闇雲に、誰かに言われるままに、
なんでもかんでもやればいいということではない。

しかし、です。

情報があふれかえっている世の中。
ちょっとググれば、
ガセや、噂や、与太話や、
誰かの主観、感想、想像であふれかえっています。

そのひとつひとつに、
過剰反応して、迷って、
あの手この手と手法を変えていたのでは、
結局どこにもたどり着けない。

なにひとつ納得できる結果が出せないまま、
右往左往するだけです。

何を信じるか。
何を選ぶか。
誰についていくのか。

それこそが人生における最大のコミットメントであり、
その結果を人は「運命」と呼ぶのではないのか。

 

情報を得ることは、間違いではないと信じます。

自分たちの選択肢を常に広げることは、
どんな状況であれ、絶対的に意味のあることです。

まかせている人に疑問をぶつけるのも、
意見するのもいいでしょう。

ただし、誰かを信じると決めたら、徹底的に信じる。

あの人の言う「ここ」はいいと思うけど、
この人の言う「こっち」の方がいい気もする。
ついでにその人の言う「あそこ」も取り入れたら、
ばっちりなんじゃないかしらン?

・・・などというご都合主義的な考え方、
「いいとこ取り」のように見えて、
結局、スピリットも哲学もない、
場当たり的な行動を取る人に限って、

うまくいかなかったときに、
あの人が悪い、この人が悪いと文句を言うものです。

誰かにまかせるなら100%その人を信頼すること。
その人を信頼すると決めたら、
すべての結果は自分が選んだと腹をくくること。
そうした決断をした自分自身をリスペクトすること。

そうやって決意を固めて行動するとき、
自分たちの思いや、考え、
自分たちが積極的に集める情報以外は、
すべてノイズであると捉える勇気も、時に必要です。

 

この半年足らずの間、さまざまな葛藤や、
迷い、苦しみがありました。

それでも、なんでも、
自分たちの信じると決めたことを、ひたすら信じ続ける。
勇気を持って、前に進み続ける。
絶対に後ろを振り向かない勇気を持つ。

そんな人間の本質的な強さと、
人と人との絆の大切さとを、
最期にデイジーに教えてもらった気がします。

◆プロからアマチュアまで声と歌に興味のある方必見のマニアックな情報を365日間毎朝配信中のメルマガ、ご登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!

 - Life

  関連記事

臨界点を突破する

「どんなに練習しても、高い声が出ない」 「毎日ボイトレしているのに、声量が上がっ …

「アイデンティティ」と向き合う 〜from USA①〜

週明けから10日ほどの予定でニューヨークに来ています。 ニューヨークは1992年 …

ネガティブな面にばかり焦点があうのは、あなたの思考のクセです。

物事には、いい面があれば、必ず悪い面があります。 フォーカスする角度やポイントが …

全集中のコツ

練習や修行が続かない、 はじめたことを最後までやり遂げられない、 がんばっても成 …

ねつ造できない感動が、人の心を動かす。

How じゃなく、Why。 このブログでも幾度となく取り上げてきているこの命題は …

ミュージシャンに、定石も王道もない!

「MISUMIさんは、何才から歌っているんですか?」 「やっぱり楽譜が読めないと …

なにをハンディとするか、 なにをチャンスと考えるか。

「やっぱなぁ〜。東北人は、生まれながらにハンデ背負ってんだなぁ〜」 カツゼツとビ …

「東京って、やっぱりすごいんですか?」

週1回ほど京都の音楽学校で教えていた頃。 よく顔を見るギター科の学生と エレベー …

「たった5分」に情熱を傾けるのは不毛ですか?

高校時代のお話です。 文化祭前に来る日も来る日も練習に明け暮れる私に、 同級生の …

「やりたい」と「できる」と「やる」

「音大目指すなんて、今からじゃ無理よ」 中学2年の時に、 とある音楽教室の先生に …