プロフェッショナルの徹底ピアノ調整!
2015/04/28
10月末から1週間ほど休業&家を留守にするということで、
思い切って、ピアノの一大メインテナンスを敢行することにしました。
メインテナンスをしていただいたのは、毎年調律をお願いしている小谷幸永さん。
コンサート前のグランドピアノの調律などもしている、
スゴ腕、プロ中のプロの調律師さんです。
その小谷さんが、ここ数年、調律のたびに、
「一度、一週間くらいおあずけいただけたら、
ばらついている鍵盤の高さや隙間、ハンマーの戻る速度なんかも全部ちゃんと調整できるんですけどね」
という言葉を残して、帰って行くのです。
正直、うちのピアノは演奏用に使うことはほとんどありません。
ボイトレや歌の練習に使うだけ。
爪もキラキラ伸ばしたまま、ドミソミド〜とか、ドレミレド〜 なんて、
適当に弾いているレベルの私に、
そんなデリケートな調整は無縁のもののように感じてました。
しかし、そんな私でも、最近、妙に鍵盤のばらつきが気になりはじめたのです。
なんだか、弾いていて気持ちよくない。
ちょうど調律の時期でもあるし、休業中はレッスンもないし、
長年使ってきたピアノの労をねぎらう意味も込めて、
思い切って、メインテナンスをお願いすることにしました。
さて、そのメインテナンスが、すごい!
「下見を兼ねて、ちょっと調整させてください」と、いらした小谷さん。
2時間ほどかけて、グリーンのフェルトの下に敷いてある薄〜い紙の交換をします。
その紙のせいで、鍵盤の高さが微妙に変わるとか。。。すでに深い。
そして旅立ちの日。
鍵盤も、中身の作動部分もすべてお持ち帰り。
聞けば、その日も2時間ほどかけて、
金属の棒が出ている赤いフェルトの下にも紙の交換などの
作業をしてからお帰りになったとか。
中身がからっぽのピアノです。
さて、1週間かけてしていただいた作業とは・・・。
ハンマーの戻りを助けているという細〜いワイアー、すべて交換。
鍵盤の鍵盤の左右の遊びを調整するためのフェルトを新品に交換した上に、
適度な遊びを実現するために、厚みを調整。。
そして、ここがすごいんですが。。。
ハンマーのフェルトをやすりをかけて削り、すべて新品同様にした上、
ミニチュア剣山のような道具でそのフェルトを何度も差して、
最適な硬さを実現するそうです。
「ここまでは、やる人も、やれる人も、ほとんどいません。」
キッパリと言う、マエストロ小谷さん。かっちょいい。
持ち帰った鍵盤や動作部分をはずしたり、戻したりしながら、
5〜6時間をかけて、ハンマーの当たり具合や、音色を徹底的に調整してくれます。
マエストロの七つ道具。
(七つどころじゃないけど)
そこから、さらに4時間ほどかけて、徹底的に調律です。
2時間くらい経過したところで、「途中経過をお願いします」と呼ばれ、
「音の感じはどうでしょう?」。
いやもう、正直、触った瞬間に全然別物の楽器すぎて、
気持ちよすぎて、素晴らしすぎて、私なんかには、わかりません。
「低音はどうしてもY社特有の金属的な音になってしまうんです。
高音はもう少し、この金属感をなくして、柔らかくすることもできます。」
そう言われて弾いてみると、確かに、「金属的な音」「柔らかい音」の違いが、
私でもわかります。
小谷さんのお気に召すように、とお願いして、さらに2時間。
あぁあ〜〜。別物です。別の楽器です。
こんな素敵な音がするなんて。
「後1日くらいいただけたら、さらにさらにいい音になるんですが、
これから調律のたびに、少しずつやっていきましょう」
とおっしゃる小谷さん。
下見の日に2時間、持ち帰りの日に2時間、
1週間のご自宅で作業の上に、納品日は朝9時からお弁当持ちで19時まで。
まさか、ここまでやっていただけるとは想像もしていませんでした。
というか、ピアノの調整がここまで深いとは・・・
とことん楽器の可能性を追求する、徹底したプロフェッショナルな職人の心。
小谷さんは本当にピアノを愛しているんだなぁと、
ただただ、頭が下がる想いです。
信じられないくらい、タッチが心地よく、
いい音がするようになったピアノ。
こんなピアノを伸び伸びの爪でカチャカチャ弾いたらバチがあたりそうなので、
バチバチッと断爪いたしまして・・・
久しぶりに、大好きな曲たちを弾きたくなりました。
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