「プロになりたい」
あれは大学卒業を間近にひかえた頃だったか。
プロということばに、もう、とにかく憧れて、
「いつかすごいプロに認められるプロになるんだ」と、
心に固く誓いました。
ホントに憧れてたのは、
ビートルズだったり、ボブディランだったり、
ツェッペリンだったり、ジェフベックだったりしたわけですが、
その頃、アーティストなんてことばはなくって、
プロかアマチュアか、みたいなことばしかなくって、
だから、あたしは、
中学時代「ビートルズになる」とか言い張っていたのと変わらない無邪気さで、
「プロになりたい」と、考えていたのだと思います。
なにかで「ジミーペイジは元々セッションミュージシャンで」と読んだのだったか、
「有名スタジオミュージシャン特集」というのを雑誌で読んだのだったか、
とにかく、実力を認められてプロになるってことは、
まずは、そのセッションミュージシャンとかスタジオミュージシャンとか、
そういうのになるってことなんだ。きっと。
と、漠然と思っていたわけですが、
実力ゼロ。コネゼロ。
なにがなんだか、まったくわかっていなかった私。
世の中の人は、
「プロ?キミさ、その顔で、テレビ出られるとでも思ってるの?」だの、
「そんなのできるの、ごくごく一握りの才能ある人でしょ?
さっさと目を覚まして就職活動しなさい」だの、
「スタジオミュージシャンってさ、カラオケつくるんだぜ。
おまえ、そんなのやりたいの?」だの、
「プロって・・・バーとかで歌う歌手にでもなるっての?」だの、
とにかく、言いたい放題でした。
言われるほどに、
「プロってなんだろう?」って、どんどんわからなくなりました。
セッションミュージシャンって、何する人?
スタジオミュージシャンって、なにやるんだろう?
え?歌謡曲のバックバンドもセッションミュージシャン?
コーラスのおねえさん??
おそらくは、当時のあたしと同じくらい、
泣きたいくらいプロになりたくて、
認められたくて、
でも、どうしていいかわからなくって、
それでもプロをあきらめられなくって、
という若者が、世の中にはたくさんいるに違いない。
そんな若者に、今、私が振り返って言えることを、
今日は熱く語ってみます。
1. 情報と人が集まるところへ出入りする
私は、学生バンドをやめて、プロが先生をやっている音楽学校に入りました。
ちなみに、学校はなんにもしてくれません。チャンスも転がっていません。
学校の宣伝文句を真に受けて学校に通うだけなら、行かない方がいいです。
でも、そこには情報がころがっています。
みんな必死だから、いろんな情報が飛び交っている。
そこで友達をつくる。バンドをつくる。ライブをやる。
いろんなレベルの人と会う。どんどん前に出ていく。
学校に行くのは、その糸口をつかむためです。
2. どこを目指しているのかを、明確にする
テレビに出たいわけじゃない。歌謡曲をやりたいわけじゃない。
歌詞は書けないから、曲を書いて歌詞を書いてくれる人を探す。
アレンジャーがいないとダメだ・・・
そんな風に自分にできること、できないこと。やりたいこと、やりたくないことを、
明確にするほど、アンテナが立ってきます。出会いも広がります。
あ、あとね、回り道とか、時間がかかることとか、絶対に怖れないこと。
ハッキリ言って、10年なんか、すぐ経っちゃいます。がむしゃらにやってても経つ。
なんにもやらなくても経つ。だったらやれ、ってことです。
3. 発信する
今の時代ほど「発信」が簡単な時代はないのに、
みんな、なんでもっとがんばらないんだろうと、残念になることしばしばです。
死ぬほどデモテープつくった。テープですよ。テープの時代。
聞いてくださいと教えを乞うた。
ぼろくそに言われて、何回もつくりなおした。
ちょっとでもいいものつくろうって、いろんなこといっぱい勉強した。
今は、インターネットがあります。
調べればどんな答えも転がってる。どんな場所ともつながってる。
だまって誰かが自分のSNSクリックしてくれるのを待つんじゃなくって、
もっともっとできることあるよね?
4. どんどん自己投資をする。
バンド活動にお金を使うこともあると思う。
バイト、大変だろうな、とも思う。
でも、お金つかうべきは、飲み代じゃなくって、ライブ代。レッスン代。
洋服買えなくても、ライブにいくお金はケチらない。
臨時収入は機材買ったり、CD買ったり、英語習ったり。
できれば旅もいっぱいする。借金しても、自己投資は絶対する。
なんでだろう。投資したものは、何倍にもなってかえってくる。
いや、人間ってケチだから、絶対元取ってやるって真剣になるのかもしれない。
5. 今の自分が信じられないなら、未来の自分を信じる。
結局、みんな、自分が信じられないから、がんばれないんだよなって、
本当に思います。
あたし自身、本当に苦しかったのは、
自分を信じられる材料がなんにもなかったから。
それでも続けたのは「できない気がしない」っていう変な感覚に賭けたからです。
それってきっと、未来の自分を信じる力になったんだと思う。
全力で自分を信じる。
今の自分を信じられないなら、未来の自分を信じる。
信じる力こそが、限界を突破する力になる。
今でもそう信じて、毎日がんばっています。
なんだかホントに熱く語ってしまいました。
あたしも毎日、自分の限界と向き合っています。
エネルギーは無限じゃない。時間だって、無限じゃない。
だけど、信じる力が限り、
どこへだって行ってやると覚悟を決める限り、
明日の扉は絶対開くんです。
がんばろう。
あたしも、がんばる。
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