大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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音楽と生きるのか?音楽で生きるのか?

      2022/12/25

かつて、日本には、洋楽至上主義と言っても過言ではないほど、
「やっぱ洋楽なんだよね」というミュージシャンや音楽通がたくさんいました。

私自身、洋楽以外にはまったく興味が持てない、
いや、むしろ、流行のJ-popなどには、
思いきり拒否反応まで起こしてしまうほど、
洋楽一辺倒な学生時代を過ごしました。

食わず嫌いと言われようが、
勉強不足と言われようが、
こればっかりは仕方がありません。
ドキドキしないもんは、ドキドキしない。
居心地悪いもんは、居心地悪い。

だから、いきなり、
J-popアーティストのバックコーラスをやらないか?
というお仕事が来たときは、
正直、もんのすごい葛藤を覚えたものです。

こんなことをやりたくて、音楽やってきたわけじゃない。
プロになりたいってがんばってきたのは、こんなことをするためじゃない。

思えば罰当たりなお話ですが、
真剣にそんなことを悩みました。

そもそも、まだアマチュアレベルの仕事しかできないのに、
そんな迷いがあれば、
仕事場でボロボロになって、イジメにあうのも、
当然と言えば当然です。
・・・まぁ、このお話は、今日の論旨とは関係ないので、
ちょっと置いておいて。

そんなこんなで、
なんだかなぁと思いながら全国ツアーを回っていたある日、

早めに会場に着いたので、
ホールの客席に座って、
スタッフさんの仕込みを見ていました。

音響さん、照明さん、舞台さん、警備の人たち、
何の気なしに、
忙しく立ち働くスタッフさんの人数を数えていたら、

今さらのように、
あぁ、ど真ん中でこれだけの人を動かすって、
やっぱりすごいことなんだよなぁと、
突然、リスペクトがあふれてきたのです。

そんなあたり前のことが、その瞬間までわからなかったのだから、
いやー、どアマチュア。

この規模の会場を全国津々浦々で埋め尽くすことができるということは、
それだけたくさんの人に愛され、求められているということ。

テレビの力とか、宣伝効果とか、売れ線だとか、
もちろん、さまざまな理由があるにせよ、

そのど真ん中ですべてをまわすエネルギーって、
やっぱりもの凄いんだなぁと。

舞台の端っこで、コーラスをしている自分なんか、
歯車の一個にしか過ぎない、ちっぽけな存在で。

そんなちっぽけな人間にも、
ちゃんとお仕事としてギャラを払ってくれる、
それが自分に対するリスペクトでなくてなんだろうと。

そんなエネルギーを動かせる人間になりたい。

その時、はじめて、
心の底から、音楽業界で生きていきたいと思ったのでした。

自分の音楽を追究するということと、
音楽業界で仕事をして生きていくということ。

この2つがいつかイコールになるときは来るのだろうかと、
生涯意識し続けることになる大きな壁にぶち当たった瞬間でもあります。

 

はなから、この2つがイコールである人は恵まれた人。
妥協点を見付けるのか。
妥協するくらいなら、音楽は仕事にならなくてもいいやと思えるか。
はたまた2つのランデブーポイントを探し続けるのか。

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