「こちとら何年やってると思ってんのよ!」
2023/06/06
「こちとら何年やってると思ってんだっ!?」
誰かに自分の専門分野を誉められた時に、
半分照れ隠しのように、ジョークっぽくつかわれる時の、
このことばの語感が好きです。
一方で、大まじめにこんなことを言って、
若者に偉ぶるおじさんを見かけると、
結果が出せてないからって、年齢を振りかざすなんて、だっさー
・・・と、なるのが常です。
先日、MTL12のDay6、パフォーマンスレッスンをやったときのこと。
受講生に、私のパフォーマンス経験を紹介しようと、
お客さんよりメンバーの方が多いようなライブハウスから、
中野サンプラザや厚生年金クラス、
サポートのお仕事だと、横浜スタジアムや武道館も経験した、と話したら、
いきなり「すっげー」と感嘆の声を漏らす人がいて。
思わず、
「いやいやいやいや、こちとら何年やってると思ってんのよ。
ミュージシャン長くやってりゃ、そこそこ経歴あるの、当たり前なんだから。」
と言ってから「ところで」と、
その彼の年齢をたずねたら、なんと、私の仕事歴よりお若い。。。
まいったなぁ、年ばれるじゃないのとばかり、
「ね?あたしゃ、キミが生まれる前から、プロやってんだわ」と言うと、
さらに「いや、すっげー。まじですげーわ」と連呼されて、
年寄り自慢をした自分が妙に恥ずかしくなりました。
それで、ふと思ったわけです。
芸歴、むにゃ十むにゃ年。
積み重ねてきた時間は、確かに重い。
立ってきたステージの数、
歌って来た曲の数、
参加してきたレコーディングの数、
残してきた作品の数、
共演してきたミュージシャンの数、
歌を聴いてくれたお客さんたちの数、、、
一つ一つの数字に、音があって、顔があって、匂いがあって。
意味があるのは「数」じゃない。
積み重ねること、そのものが、財産なのだなと。
そう思うと、あの「年の功おじさん」のことばにも、
ちょっぴりだけど、共感できるというものです。
ひとつ、またひとつと、自分の日常を積み重ねてきただけで、
「すっげー」に値するキャリアがあるかどうかは、自分ではわからないけれど、
少なくとも、しこたま積み上げてきたことだけは間違いない。
積み石の高さが高くなるほどに、上に積むのが怖くなる。
これが最後のひとつになるんじゃないかとか、
この石を積んだら、もろとも崩れ落ちてしまうんじゃないだろうかとか、
そんな風に、躊躇したりする。
けどさ、
所詮、ひとつひとつはただの石ころ。
積み石の高さより、「積み重ねる」という行動にこそ、意味がある。
大袈裟なこと、がんばらなくていいのよね。
石ころひとつ。またひとつ。
肩の力抜いて、いこう。
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