大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「認められたい」という思いを叶える方法

      2016/10/27

「音楽ビジネスって、社交クラブみたいなものなのよ。
一度中に入れば、そこから自然に回っていくの。
クラブに入りたかったら、とにかくドアをノックし続けることね。
ドアが開くまでノックし続ければ、いつかはドアが開くものよ。」

スタジオに、サポートにと仕事は順調なのに、
今ひとつ自分自身のシンガーとしてのキャリアがパッとしなくて、
悩んでいた頃のことです。

某自動車メーカーのCMの音楽制作で、
プロデューサーアシスタント兼通訳として、ロンドンに出張に行きました。

音楽を担当していたのは、クリスティーナという女性のシンガーソングライター。
当時の私より、少し若かったように記憶しています。

イギリス側のプロデューサーは、
世界的に著名なミュージシャンの仕掛け人、ピーター・ジェンナー。
スタジオもスタッフもミュージシャンも一流で、ため息が出るほどでした。

クリスティーナと二人きりになったとき、思わず聞きました。

「私も単なるシンガーとして仕事をするばかりではなく、
自分の書いた作品をいつか世に出したいと思っているの。
あなたのように世界的にメジャーな人たちと制作できるの、うらやましいわ」

冒頭のことばは、そのとき、クリスティーナが言ったことばです。

「ドアが開くまで、叩き続ければいい」

根性論ではありません。
これが「コミットメント」なのだと思いました。

つまり・・・

・ドアを開かせるんだと、決意すること。

・ドアが開くまで、叩き続けるんだと、覚悟すること。

・ドアはいつか開くんだと、信じること。

いつか認められたいという思いを叶える方法は、これしかないのだ。

そんな、クリスティーナの情熱的なことばを聞き、
感動すると同時に、とても不安になったのを覚えています。

コミットメントできるのは、自信があるから。

私なんかに、誰かがドアを開いてくれるわけがない・・・

このままドアを叩いているうちに、どんどん年とって、
どんどん相手にされなくなって・・・そうなったらどうしたらいいの?

ドアが開くなんて、一握りの選ばれた人だけに起きることなんじゃないの?

さまざまな疑問や不安がくびをもたげます。

その葛藤に打ち克つこともまたコミットメント。

ドアを叩き続ける勇気。
それが可能であるという、根拠のない自信。

結局そんな、目に見えない、形のない力が、
自分自身をドアの向こうに連れて行ってくれる。

あの時の、クリスティーナと私の会話に、今、加われるなら、
こう言いたい思いです。

「ドアは、誰かが開けてくれるのではない。自分で開くものよ。」

8816847_s

明日、1月9日(金)、お昼ごろメルマガを発行します。
今回のインサイドストーリーは、このときロンドンのスタジオで学んだ、ポジティブチェックの力、『Marvelous!Brilliant!Fantastic!(すごい!最高!すばらしい!)』をお届けします。

バックナンバーも読めますので、よろしければ是非こちらから登録してくださいね。

 - プロへの突破口, 夢を叶える

  関連記事

「わからない」って最強/生まれて初めてスタジオに入った日

どんなに百戦錬磨なミュージシャンにだって、「生まれて初めてスタジオに入った日」が …

「なり方」なんて、きっとない。

 「普通の人とおなじことしてたんじゃ、何者にもなれないでしょ」 ボイトレに通って …

「プロの理想」を押しつけちゃいかんのだ。

その昔、一緒に曲をつくるためよく入り浸っていた友人のギターリスト・K氏の家には、 …

「人」は最強かつ、最も恐ろしいメディア

ずいぶん前のことになります。 プロボーカリストが多数出演するセッション・イベント …

前途洋々な若者に思わずアドバイスしてしまう5つのこと

時間は年齢とともに加速する。   噂には聞いていたけど、 そして、20 …

とにかく歌う。毎日歌う。それを続ける。

生まれて初めて包丁を持つときは誰だって、 なんのことはない作業、 例えば、単に「 …

夢をかなえるためのすべて

“If you build it ,he will come&#82 …

『The ワークショップ Show』という挑戦

ヴォイス&ヴォーカルトレーナーとして、著者としての記事はB面、 ヴォーカリスト、 …

天才には、がんばらないでいただきたい。

どこからどう見ても天才という人が、 やっぱり世の中にはいるものです。 生まれなが …

人に年齢を言うのをやめてみる。

年功序列文化の日本人は、年齢をアホほど気にする。 「何才ですか?」からはじまる会 …