歌がうまくなる人は、やっぱ「どM」。
うまく歌えない時は、誰だって、自分の歌を録音して聞き返すのは苦痛です。
失敗したライブのビデオを見せられるくらいなら、死んだ方がマシと思うし、
自分の歌のプレイバックを聞かされながら、あーでもないこーでもないとこき下ろされるのは、もう、何年やってたって、絶対の絶対にイヤで、そのたびに、本気で歌なんかやめてやると心に固く誓うものです。
そうです。
そんなことは、いくつになったって、どんなキャリアがあったって、なくならないし、そのたびに、ばかやろー、ちくしょう、死んでやる、やめてやると暴れます。
で、そのたびに、また不死鳥のように蘇っては、今に見ていろばかやろーとばかり、こっそり練習したりする。
もうこの繰り返しです。
そんな「自分の歌を聴く」という、がまの油を出すような行為が、だんだん、当たり前になる。
重箱の隅をつつくように、自分の歌を分析しては、もう一回、もう一回と試行錯誤したり、歌い直したりできるようになる。
文章を書くのと同じです。
自分の歌を何度も推敲する。
すると、だんだん、ツボというか、コツというか、そういうのがわかるようになってくる。
何十回も、何百回もそんなことを繰り返していると、あるときふと、「あ。これ、かっこいい」って、自分の歌のいいところを見つけられるようになって。
そのうちに、何回も聞きたくなるくらい、気持ちよく歌える曲が出てきたりして。
気づいたら、まわりの評価が上がっている、という具合です。
とはいえ、そんな幸せはほんの瞬間なのが芸の道。
当然ながら、評価が上がれば、まわりの人の期待値も上がる。
関わってくる人の数が増えるほどに、厳しい人も増える。
で、また、ばかやろー、ちくしょー、死んでやる、の繰り返しです。
果てしない。
けどさ、この果てしなさが、歌の醍醐味です。
みんなちょっと「どM」。
だからうまくなるんですよね。
昔、父が言ってたっけ。
「MISUMIなぁ、人になんか言ってもらえるうちが華だぞ。
なんも言ってもらえなくなったら、お前よりすごいヤツがいなくなったか、これ以上伸びないと思われたかどっちかだぞ。
どっちも怖いぞ」。
幸か不幸か、かなり身近なやつが、相変わらずうるさいので、バカヤロー、ちくしょーは継続しております。
ありがたいと思うように心がける努力はしています。(だいぶ遠い)
■歌がうまくなるコツをリアルに学ぶ。「歌いたい!」を「歌える!」に変える。
MTLシンガーズLab. いよいよ9月スタート!
■無料メルマガ『声出していこうっ!』。
ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。バックナンバーも読めますのでぜひ。ご購読はこちらから。
関連記事
-
-
同じ音を、同じ音色、同じ音圧で、 100発100中で出す
人間のカラダは「まったく同じ音」を2回以上出すことはできない楽器。 そんなことを …
-
-
「曲の可能性」をありったけ取り出す
大好きで、よく引用することばに、 世紀の名ピアニスト・ホロヴィッツの 「楽譜は紙 …
-
-
「曲が降ってくる時」?
世の中にはたくさんの優れた作品を残しているアーティストがいます。 …
-
-
「自分のことば」になってない歌詞は歌えない!
役者さんがしばしばつかうことばに「セリフを入れる」というのがあります。 この「入 …
-
-
「なんでも歌える」と言わない勇気
「どんなの歌ってるんですか?」 どんなちっちゃなご縁も仕事に繋げようと躍起になっ …
-
-
「この歌、いいなぁ」には必ず理由がある!
「売れる曲には、必ず理由がある」 あるヒットメーカーが教えてくれたことばです。 …
-
-
知っていること vs. わかること vs. できること
知っていることと、わかっていることの間には、大きな溝があります。 …
-
-
関係性がつくれないから上達しない。
ここ数年、芸能事務所や音楽事務所の 新人育成ワークショップを担当させていただく機 …
-
-
「なり方」なんて、きっとない。
「普通の人とおなじことしてたんじゃ、何者にもなれないでしょ」 ボイトレに通って …
-
-
レッスンでは、トレーナーの「アーティスト性」は無用どころか、邪魔なんだ。
レッスンの折には、多かれ少なかれ、 生徒たちに、歌を歌って聞かせるシーンというの …
- PREV
- 「誰に学ぶか?」vs.「誰が学ぶか?」
- NEXT
- コミュニケーションは、あきらめたら負け。