「これ、誰歌っているの?」と思わず聴いてしまうデモの歌唱とは?
「このデモ、誰が歌ってるの?」
初期のスタジオのお仕事は、すべて、作家さんの曲デモのお手伝い、
または自分がつくっていたデモテープがきっかけでいただきました。
ルックスも年齢も経歴も、スタジオの現場では関係ありません。
デモのクオリティ一こそが勝負です。
いい声であることは必要条件のひとつではありますが、
歌手を志す人のほとんどが、多かれ少なかれ「いい声」であることを考えれば、
それだけでは充分ではありません。
では、デモを聞く音楽業界のプロフェッショナルたちが、
「これ、誰歌っているの?」と思わず聴いてしまうデモの歌唱とは、
どんなものなのでしょう?
(今日はアーティストのデモではなく、あくまでも、
プロ・ヴォーカリストのデモという観点でお届けします。)
さて、当たり前すぎることですが、ピッチ、リズム、カツゼツなど、
最低限、プロのレベルに達していなかったら、もちろんNGです。
音痴じゃない、音があっている、メロディがきちんと歌えている、
というだけでは、歌のじょうずなアマチュアレベルと変わりません。
プロの歌は、プロが聞いても、
細部まできっちり気持ちを通わせて歌われているものです。
さらに、「お、うまい」と思わせるポイントは・・・
1. 細かい音符までピッチを正確に歌っている
2. 16分などの音符が小気味よくハマっている
3. ビブラートが意図的に気持ちよくコントロールされている
4. フレージングが的確で、センスがいい
5. 音の長さや、間などが心地よい
6. アドリブが効いている
7. 音の終わり、ことばの語尾まできっちり、神経が行き届いている
8. ダイナミクス表現で、聞く人の気持ちを持って行ってしまう
9 . 圧倒的な声量がある
10. 英語がネイティブ並にうまい
11. ニュアンスの付け方が、的確である、または特徴的で、とても気になる
そして、
12. なんだかわからないけど、やたらカッコいい。。。
などなどでしょうか。
もちろん、ここに書いたことがすべてではありませんし、
これらをすべて網羅する必要もありません。
ただ、いい意味で、目立たなくては次のステージには上がれないということです。
ある程度の知識があれば、ピッチやリズムはちょいちょいっと直せる時代です。
ダイナミクスや音色も、加工次第でそれなりに聞こえたりもするでしょう。
しかし、人の胸を打つのは、本物のパフォーマンスだけ。
人は感動したときしか行動しません。
プロの歌を聞き慣れているプロの心を動かす。
プロを目差すなら、1曲入魂。
デモ制作には、徹底的に、真摯に取り組むしかないのです。
そして、そんな努力が自分自身のレベルを、
いつか本当のプロのレベルまで引き上げてくれるのです。
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