大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「この辺でちゃんと仕事に就こうかなと思ってるんですけど・・・」

   

「MISUMIさん、俺、この辺でちゃんと仕事に就こうかなと思ってるんですけど・・・」

 

どうしてもプロになりたい。
是が非でも認められたい。
 

練習して練習して、
バンドやって、ライブやって、デモつくって、

 

練習して、練習して、練習して、
オーディション行って、
いろんな人に聞いてもらって、

玉砕して、ぼろくそ言われて、疲弊して、
練習して、練習して・・・

 

そんな時間を5年、10年と積み重ねるうちに、
少しずつ、少しずつ認められる人もいれば、

 

たいした努力をしていた風でもないのに、
びゅんとひとっ飛びに認められ、
あれよあれよという間に一流のプロと肩を並べて、
演奏をするようになる人もいる。

 

この差は一体何なのか。

 

それが、遺伝とか、才能とかいう、
持てるものにとっては絶対的な、
持てないものにとっては絶望的なものなのか。

 

それとも、運とか、運命とかいう、
ふわっとした、制御不能なものなのか。

 

はたまた、引き寄せ力だの、ウィルパワーだのという、
音楽とは無関係のスピリチュアルなものなのか。。。。
 

そんなことをあれこれ考えたり、悩んだりしながら、
やれることは何もかもやり尽くし、
もしくはやり尽くしたと感じ、

 
最早ここまでと、あきらめてしまう人がどれほどいることでしょう。

 

実際は、音楽のプロを志す人の9割、
いや、おそらくはもっと多くの人たちが、
さまざまな事情で、音楽の道をあきらめ、離れていきます。

 

 

さて、冒頭のように、
 
自分の中では、「音楽を離れるタイミング」と、なんとなく感じているのに、
今ひとつ、最後の踏ん切りがつかない、
どうにもキッパリやめられない、という人が相談に訪れることがあります。

 

「やっぱ、これ以上、無理かなって・・・」

「生活もありますし、もう充分やったと思うんですよね。」

 

彼らは別に、引き留めて欲しいわけでも、
もちろん「そうね。無理だから、やめた方がいいね。」などということを
言われたいわけでもありません。

 

自分の決意を表明したい。

そして一押し、背中を押されたい。

新たな挑戦にエールを送られたい。
そんな気持ちでしょう。
 

どんなときも、「自分の心が感じることが正しい」が私の持論です。

 

「期待してくれてた人をがっかりさせてしまう」
「やめるなんてかっこ悪い」
「もしかして、もうちょっとがんばれば、いいことあるんじゃないか?」

 

そんな、迷いのような気持ちが訪れては消え、

「もうちょっとがんばってみよう」
「もう一日続けよう」
 
そう思えるときは、まだタイミングは先でしょう。
 

迷うときは、頭で考えています。
そんなときに動いても、まだ先には進めません。

 

心がタイミングを教えてくれるとき。
「あきらめるときかも」と、すぅっと気持ちが離れるとき。
自然にさまざまな縁が切れていくとき。

 

そんなタイミングが来れば、
それがきっと、「その時」なのでしょう。

 

無理に「サイン」を探す必要はありません。
 
そんなタイミングが一生訪れない人もいます。
 
一度、離れても、また「神の啓示」や、「運命」で
再び戻ってくる人もいる。

 

自分が正しいと感じることが正しい。

それだけです。

 

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 - Life, The プロフェッショナル

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