大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「髪の毛一本」レベルで、音の長さにこだわる。~Singer’s Tips #18~

   

歌の印象を大きく変えるポイントのひとつに、
「音の長さ」があります。

歌い出しのタイミングや、
ことばひとつひとつのビートを
気にするシンガーはたくさんいますが、
この「音の長さ」にまで、思いを馳せられている人は、
意外に少ない。

楽器を演奏するときには、
音のはじまりの「点」と、
その音が減衰しながら持続する「長さ」があります。

ピアノなら、鍵盤を打つ瞬間が「点」。
その音が消えるまでが「長さ」。

ギターなら、ピッキングした瞬間が「点」。
その音が消えるまでが「長さ」。

プレイヤーでも、
この音の「長さ」の感覚がイマイチだと、
演奏のグレードはイマイチシャキッとしません。

1つ1つの音の長さ。
1つの音から、次の音に移るまでの長さ。
フレーズの終わりの長さ。

次のことば、次の音譜、次のフレーズと、
前に前にと気持ちが行くばかりに、
フレーズの終わりがおろそかになると、
歌の印象はとても残念なものになります。

特定のオケに乗っかって歌う時、
ひとつのフレーズに対して、
気持ちいい「音の長さ」は、3通りしかない。

長め、短め、中間。
その3つは髪の毛一本ずれても、
今ひとつ、歌がシャキッとしなくなる。

私の持論です。

「髪の毛一本」レベルで、
音の長さにこだわれるようになると、
歌のグレードはぐっとアップします。

このことを念頭に、
達人と言われる人たちの歌を、
今一度、じっくり聞いてみると、
たくさんの発見があるはずですよ。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Singer's Tips, The プロフェッショナル, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

タフであること。 楽天的であること。 そして適度に鈍感であること。

少し前のこと。 とあるアーティストの子が、こんなことを言っていました。 「悪口を …

「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス

音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。   音楽家であれば、誰もが多 …

ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!〜後編〜

たくさんの反響をいただいた昨夜のブログ、 『ヴォーカリスト必読!マイクとモニター …

エネルギーのピークは本番に持っていく

「歌う当日って、どんなことを心がけたらいいですか?」 という質問をよく受けます。 …

選ばれるミュージシャンであるための3つの資質

長年、音楽業界で優れたミュージシャンたちと たくさんのお仕事をさせてもらってきて …

歌は1人で歌うものではなく、チームプレー

「歌は1人で歌うものではなく、チームプレー」 今日、週末に大きなライブをひかえた …

ピッチの悪い歌が致命的な理由

音楽はピッチ(音の高さ)という概念があるから成立するもの。 どんなにリズム感がよ …

「負の妄想」をぶっ壊せ!

一昨日のマインドセットセミナーで、 15年前の妄想日記の一部を紹介するという、 …

一生OKの出ない地獄

「あ〜、今のとこ、ちょっと音取れてないみたいなんで、 もう1回お願いします。」 …

変化は必然。

業界のお仕事が長いせいか、 はたまた海外生活を経験したせいなのか、 変化に対する …