あなたのパフォーマンス、「政治家の謝罪会見」や「大根役者」になってませんか?
声の表現力について説明するとき、必ずやって見せる、
「政治家の謝罪会見」と「大根役者」というボイトレパフォーマンスがあります。
(あ、こう書くと、まるで芸人さんのネタ公開みたいですが、
あくまでも、わかりやすい事例としてお見せするだけです。)
人は心にもないことを言うとき、声に感情がこもりません。
どんなに心をこめた「ふり」をしてもダメなんです。
たとえば、「政治家の謝罪会見」。
「こうした事態に対し、甚だ遺憾に思うところでございます。。。」
などと深々と頭を下げている映像をニュースなどで目にするのですが、
多くの場合、その声はひどく嘘くさい。
絶対に悪いなんて思ってないわよね。。。
と感じてしまうことしばしばです。
心から悪いと思って謝っているのか、
謝らなくちゃいけなくて仕方なく謝るふりをしているのかは、
こどもが聞いたって、わかるもの。
そういえば、大きな賞を受賞して、嬉しくて泣き声を出しているのに、
涙が一粒もこぼれないという、伝説のアイドルがいたっけ。。。
人間は本能的に相手のウソを見破るのです。
その本能に直接作用して、ジャッジの決め手となるのが「声」。
だから、本当は幸せじゃないのに、幸せな歌を歌ったり、
悲しくないのに、この世の終わりほど悲しい感情を表現したりする必要のある、
ヴォーカリストや役者たちにとって、
今現在の意識の上では感じていない感情を、
カラダの中、心の中から、取り出す、
すなわち「演じる」修行は必要不可欠なのです。
ところが、この「演じる」過程で、
もうひとつ、イケてないことをやってしまう人が多々います。
それが、「大根役者」。
表現力がない、伝わらないパフォーマー、ヴォーカリストほど、
表現をオーバーに、大げさにしてしまいがちです。
「お父様ぁ!今日は、な〜んて星がキレイなのかしら〜!??」
星を見上げて、大げさに手を広げて、
目をうるうる、きらきらさせて、
思いきり声に抑揚をつけ、感動を演出する女優さん。
「おぉ〜。本当だ!星、きれいだ〜」
突然、星に気がついたかのように空を見上げて、
いきなり感動しながら、ため息をつくお父さん。
このト書きを読んだだけでも、「イケてない」のがおわかりでしょう。
そうです。
表現はオーバーにすれば、伝わるというものでもない。
形ばかりをどんなに模倣しても、そこに感情や感動が乗らなければ、
人の心を動かすことはできません。
心の底から感じること。
自分の経験した、あらゆる事柄から、
その時に体験した心の動きを取りだし、増幅し、
声に乗せて、過不足なく伝えること。
ヴォイストレーニングを越えた、歌やパフォーマンスの肝は、
ここにあると言えます。
今一度、自分自身の歌やパフォーマンスを、
「政治家の謝罪会見」や「大根役者」になっていないか、
チェックしてみてくださいね。
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