「本番の女神」はベストを尽くした者だけに微笑む
「本番に突然、今まで出なかった高音が、ぽーんと出た。」
「思いがけないカッコいいアドリブが自分の口から飛び出して、驚いた。」
「会場全体の空気が、ある瞬間、ぱきんと重なりあって、
信じられないエネルギーを感じた。」
そんな経験があるでしょうか?
それらはすべて「本番の女神」の仕業。
ベストを尽くした、
やりきった人たちだけがもらえる、特別なご褒美。
そんな風に考えています。
もちろん、広い世界のどこかには、
な〜んの準備もしなくても、女神様に愛されて、
いついかなるときも、
「ぽーん」や「どかん」や「ぱきーん」を起こせる人というのはいるでしょう。
私は違う。
そして、私が知るアーティストたちも違う。
女神様に振り向いてもらって、目をかけてもらうためには、
自分の中の「?」(クエスチョンマーク)を、
ひとつ残らず、徹底的に退治して、
一切悔いの残らない準備をしなくてはダメなのです。
「ま、こんなもんでいいか」もなければ、
「たぶん、大丈夫」もない。
「よっしゃ。これで完璧だ。これ以上の準備はもう無理だ。」
そう言い切った瞬間に、はじめて女神様に、声が、想いが、届く。
1.自分をどこまで追い込めるか。
2.なにも考えないでも、カラダが反応するレベルまで、繰り返し練習できたか。
3.本番中、はっとシラフに戻ってしまうような、見過ごしているポイントはないか。
4.完璧にはできなかったとしても、悔いの残らない準備をできたか。
5.やりきった安らかさで本番を迎えられるか。
6.体調は万全か?疲れは残ってないか?
7.メンバーやスタッフ全員と、いいエネルギーの連携をつくれているか。
…etc.etc….
もちろん、毎回、完璧にできるわけではありません。
さまざまな事情で、練習や準備に時間が取れないことも、
どうしても気持ちが向かないときもあるでしょう。
要は、なにが自分にとってスタンダードか。
つねに「こんなものか」というレベルの準備しかしない人に、
自分自身は超えられません。
自分のスタンダードは、自分自身の生き方が決めるのです。
ただし、自分を追い込む感覚に中毒するばかりに、
あれもこれもと欲張れば、ひとつひとつの精度は落ちて行きます。
無理は禁物です。
本番は一期一会。
ベストを尽くす。
ベストを尽くせる自分をつくる。
明日もまた、女神様が微笑みますように。
そう祈りながら、日々を紡ぐのです。
関連記事
-
-
歌の構成要素を分解する〜ラララで歌う〜
大好きな曲を、オリジナルを歌っている歌手と一緒に歌う。 何度も、何度も、繰り返し …
-
-
歌っている自分を直視できますか?
自分が歌っている姿を鏡で見ながら、 練習やリハーサルをしたことはありますか? こ …
-
-
リズムをカラダで感じるための初歩練習~Singer’s Tips#28~
音楽にあわせて足踏みをする。 手を叩く。 小さなこどもが音楽教室に入って、 一番 …
-
-
抜本的に、根本的に、ミュージシャンは、まず、そこ!
一定のレベル以上のミュージシャンになると、 そこから上の実力の差は、 一般の人の …
-
-
「一音」にこだわる
「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …
-
-
「たった1曲しか歌うチャンスをもらえないとしたら、 なにを歌う?」
「たった1曲しか歌うチャンスをもらえないとしたら、 なにを歌う?」 アーティスト …
-
-
ピッチをよくする練習。
「ピッチ悪いね」 歌を志す人が投げ掛けられる苦言で、 これほど辛く、 途方に暮れ …
-
-
基礎を忘れるために、基礎を学ぶのだ!
ボイトレが一番チカラを発揮するのは、すべてを忘れて、表現に没頭するとき。 フォー …
-
-
「はい、はい。わかった、わかった。」
「あんた、あんたって、、、んん〜〜っもう、ったくぅ〜〜。 く・・・くやしいぃいい …
-
-
練習するのは、全てを忘れるため
「テクニックなんかどうでもいいんですよ、歌は。」 ピッチだ、リズムだ、表現力だと …
- PREV
- 「自分だったらどうか」という視点で考える
- NEXT
- 耳で聞くのではない。脳で聞くのだよ、明智くん。