いつもベストな状態でパフォーマンスしたいなら
2016/12/05
声の調子が悪いというと、のど飴をなめる。
目の調子が悪いといえば、目薬をつける。
鼻が悪けりゃ点鼻薬するし、肩が痛いと湿布をする。
人は自分のカラダをバラバラの部品の寄せ集めと考えているようで、
部品の調子が悪くなったら、
その部品のひとつひとつのメンテすれば事足りると思っている。
しかしです。
胃や腸のツボが、足先や指先に集まっていたり、
足の指の骨一本骨折しただけなのに、高熱が出たり、
背中に鍼を打っただけで、ひじの痛みが治ってみたり・・・
人間のカラダは、
その一部だけ単独で存在しているところはひとつもありません。
一部が全部であり、全部が一部なのです。
ノドの調子が悪いときは、
寝不足だったり、風邪をひいていたりと、全身が病んでいる。
姿勢の衰えから来る呼吸フォームの乱れかもしれないし、
過労による血行不良やリンパの流れの滞り、
飲み過ぎによるむくみかもしれない。
だからこそ、ヴォーカリストは、プレイヤー、パフォーマーは、
いつでも自分の全身の状態に敏感でいなくてはいけないのです。
こんなことがありました。
まだまだ若かりし、サポートで全国ツアーを回っていた頃。
コンサートが終わって、楽屋に戻ると、なんだかお腹が張って、痛い。
かといって、いわゆる「腹具合が悪い」という状態なわけでもなく、
いわゆる女性の日というのでもなく、他はいたって元気。
そこで、相方と2人で土地の小さな飲み屋さんで、
「きっと冷えたんだよ」なんて言いながら、
温かい焼酎とか、お鍋とかをもらいました。
しかし・・・
翌朝、全身猛烈な悪寒と、熱っぽさで目が覚めたのです。
風邪でした・・・。
お腹が痛い。
それがその風邪が、唯一私に送ってくれた「警告」だったわけですが、
私は耳を傾けることなく、
というか、それが「警告」だと知ることもなく、
呑気におしゃべりを楽しんでいたわけです。
もしもあの時、「お腹」だけのせいにせず、
全身の調子を確認していたら。
「もしかしたら」と、大事を取って風邪薬でも飲んでいたら、
翌日、あれほど具合が悪くなることも、
舞台スタッフに迷惑をかけたり、
連れて行かれた診療所で失神して点滴されるようなことも、
おそらくなかったのではないか・・・
カラダは、カラダの一部の具合を悪くすることで、
「警告」を送ってくれるだけかもしれない。
もっと気づいて欲しいことは他にあるのかもしれない。
木を見て森を見ず。
それではパフォーマンスの平均的精度はあがりません。
いつもいつもいいプレイをしたいなら。
どんなときも、いい歌を歌いたいなら。
どうしたら自分のベストな状態を維持できるのか、
研究し、取り組み、
ときにストイックなほどに、自分のカラダをいたわるしかないのです。
カラダは消耗品だといいます。
若いからこそ、自分のカラダと向き合う。
年齢を経たら、なおさら、細部に敏感になる。
小さな努力が、やがて大差を生むのです。
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