大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

もたもた迷っている暇はない!

   

「もっと歌詞の意味を考えて歌って!」

そんな風に言われたことのある人は、たくさんいることでしょう。

 

そもそも意味のわからない外国語の歌詞はもちろん、
中には日本語の歌詞でさえ、まともに意味も考えず、
おまじないのように自動的に歌っている人が、
いったいどれだけいることか・・・

 

 

自分が理解できないことは表現できない。
表現できないことは伝わらない。
当たり前のことです。

 

さて、しかし・・・

 

意味を理解しようにも、まったく体験したことがないことは、
どうしたらいいでしょう?

真夜中のハイウェイをワイルドにぶっ飛ばしたことがないのに、
そんなロックな気分を味わいようがないですし、

恋すらしたことがないのに、
恋の切なさや燃え上がるような熱い想いは、やっぱり理解できない。

世界を旅する自由な気持ちを歌いたくたって、
自分の生まれた土地から、
せいぜい100キロ圏内くらいしか出たことがなければ、
その果てしないスケールを表現するのは難しいでしょう。

 

だからこそ、ヴォーカリストは、
可能な限り、自分の世界を広げる努力をしたいのです。

 

かつて、
「人生のいいことも、悪いことも、
全部味わって、初めて本当にいい歌が歌える」などと言われ、

「神様、どうか私に艱難辛苦をお与えください」なんて、
人に聞いたお祈りもどきをしてしまったことがあって、

何年にもわたり、
それはそれは、もう筆舌に尽くしがたい、
艱難辛苦の数々をいただいてしまった私としては、
人生の負の部分をわざわざ望む必要なんかないと、ハッキリ言いたい。

 

しかし、それでも、
可能な限り、旅をし、
たくさんの、さまざまな人と出会い、
できれば外国語を話し、
いろんな文化圏の、いろんな価値観を持った人々と、
いろんな、いろんな思いを共有して、

 

ひとりひとりの人を、ひとつひとつの出来事を、
一方からだけでなく、さまざまな角度から見つめ、
理解し、もしくは理解しようと努力し、

 

いろいろな仕事をする、いろいろな人々と、
利害関係を持ったり、
利害の無い関係を持ったりして、

 

友情や、愛情や、憎悪や、嫉妬や、羨望や、
憧れや、憐憫や、誇りや、挫折や、希望や・・・

そんなたくさんの、たくさんの思いを味わうことは、

 

やっぱり、やっぱり、意味のあることなのだと、
年を重ねるごとに、しみじみ、しみじみ、感じるのです。

 

 

もちろん、何もかもを体験することなんてできません。

本をたくさん読んで、
人間の最大の財産のひとつである、
「想像力」を研ぎ澄まさなくてはいけないことも、山ほどあります。

 

 

若かりし頃、永遠に、無限に思えた時間は、
実は、びっくりするほど限られていて、

指のすき間からこぼれ落ちるように、さらさらと流れていってしまうもの。

 

もたもた迷っている暇は、ないんですぞ。若者よ。

19537176_s

 

 

 - Life

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

ロックへの反逆

「お前なんかロックじゃねぇよ。オレは認めね〜ぜ。」 少し前のこと。 ロック的なサ …

「最高の一瞬」を刻むのだ!

人と時間ってのは不思議なもので、 好ましい現時点から、それが終わりとなる未来のあ …

自分の行動には自分で責任を持つ。

コロナウィルス問題、 本当に大変なことになっていますね。 影響を受けている方、対 …

まず、「やれます」と言ってみる。

「なんで英語で歌詞がかけるんですか?」と、 よく質問されます。 私はいわゆる帰国 …

「ありのまま」ということばを免罪符にしない。

作品でも、パフォーマンスでも、 作り込むより、パッションが大事とか、 ありのまま …

直感にしたがえば、思いがけない未来と出会える!

「なんだか気になる人は、実は、自分が今、求めている情報を持っている人。」 『聖な …

起きてみる夢 寝てみる夢

「うちの子、声優になりたいって言ってるんですよ、先生」 そんなお母さんの相談を受 …

“Be present.” (今、この瞬間を味わって)

昨夜、往年のセクスィー男優リチャード・ギア主演の、 『嘘はフィクサーのはじまり』 …

「続けること」のチカラ

今、どうしても叶えたいことがあったとして、 それがこの先10年間、 コツコツ何か …

よき時代のよきものを、 いい形で後世に伝える方法

高校時代、何が嫌いって「古文」の授業くらい 嫌いな授業はありませんでした。 使わ …