大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「らしさ」の延長にしか、成功はない

   

歌の道でプロを目指そうと心に決めたのは、たぶん、20才くらいの時。

ピアノもダメ、ギターもダメ、キーボードもダメ。
気づけば歌でばかり、あちこちのバンドに誘われるようになっていて、
「音楽のプロとして食べて行くには歌しかなさそうだ」と、心を固めました。

先日、そんなことをレッスンに来たヴォーカリストに話していて、
「練習しなかったのに、歌は上手だったってことですか?」
と聞かれ、はて?と胸に手をあてました。

そういえば、
ピアノやギターは、
時間をこじ開けて、音楽室に閉じこもって、
そりゃもう必死に練習していたわけだけど、
歌は、物心ついた頃から、自然に歌っていたなぁと。

幼稚園のバス旅行で、卒園会で、
当時の流行歌をたった一人で、
マイク片手に、気持ちよく歌っていたことが思い出されます。

中学に入ってからは、とにかく楽器を弾く人に憧れて、
練習に明け暮れるわけですが、

練習していない時、何をしていたかと言えば、
暇さえあれば歌詞カードを片手に
レコードと一緒に歌いまくること。(レコードです!)

当時の私にとって、それは、あまりにも自然な、
「レコード鑑賞」のスタイルで。

ビートルズ、ボブディラン、ツェッペリン、ジェフベックグループ…
曲間の長さに至るまで、同じように歌えないと嫌で、何回も聞き直したり。

つまり、シンガーを目指して完コピをはじめる何年も前から、
無意識に、完コピをしていたわけです。

練習をはじめる前に、練習の合間に、寝る前のクールダウンに、
ただ好きで、あまりにも自然にやっていたこと。
だから、「練習」として認識されていなかったのです。

そういえば、プロのプレイヤーは異口同音に、
「気が付いたらドラム叩いてた」とか、
「あの曲のギターがかっこよくって、頭から離れなくって何回も聞いた」
というようなことを言います。

ただ大好きで、時間を忘れてやれること。
無意識に、気づけばやっているようなこと。

それが結局、本当の自分の力、アイデンティティとなる。

 

一所懸命がんばっていると、
肝心の「アイデンティティ」が見えなくなります。

そして、「本来の自分」と乖離した
「こうでありたい自分」になろうと、必死になる。

しかし、本質と違うことをがんばっても、やっぱりうまくいきません。
「らしさ」の延長にしか、成功はない。
だから、とことん、「らしさ」を極めるしかないのです。

 

自分の本質を掘り起こすには、
小学校高学年〜中学時代の自分と向き合うのが一番と感じています。

自意識が芽ばえる年頃であり、
社会的な制約や制限、
オトナたちの押しつけようとする理想像などで、
自分本来の姿を「変えなくちゃ」という意識が働き出す前の段階。

10才〜15才くらいの自分自身が、
たくさんのことに気づかせてくれます。

あなたの本質、「らしさ」ってなんですか?

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 - Life, My History

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