口コミしたくなる仕事をするのだ
2016/10/27
ミュージシャンでも、著者でも、セミナー講師でも、
フリーランスとして仕事をする人にとって、
仕事がうまくいくか否かは、口コミがすべてです。
いや、フリーランスに限らず、
お客さんを相手に仕事をする人はみな同じではないでしょうか。
SNSやWEB、メーリングサービスなど最新のものから、
チラシ、DMなどのようなアナログなものまで、
宣伝ツール、自分のブランドを高めるためのアイテムや、
お客さんをあつめるテクニックなどが次々と編み出されている時代です。
しかし、結局、人を動かすのは、ツールやテクニックではなく、
「真の感動」なのです。
仕事やサービスにお金を払った、いわばお客さんが、
誰かにしゃべりたくなるほどの、「何か」を与えられるかどうか。
それはテクニックや仕掛けではなく、
純粋な自分のこだわりや、受け手へ精一杯の思いやり。
それに尽きると考えています。
先日、母を連れて、1泊旅行に出かけました。
車の運転が苦手な私と、最近、あまり歩きたがらない母。
電車での旅は、なんだかんだ移動が大変で気が重い。。。
そんなとき、とあるリゾート型ホテルを見つけました。
都内の主要駅とホテルをつなぐ直行バスがあるというだけでも、
素晴らしいアイディアだと思いましたが、
そのホテルには、口コミを起こしたくなる仕掛けが満載でした。
大きなプールやさまざまなレストラン、
3店舗ものリラクゼーション施設や、カラオケ、ゲームなどの施設という、
大型ホテルならではの施設はもちろんのこと、
経験したことないほどバラエティ豊かで、
思わず人にしゃべりたくなるほど楽しい、美味しいバイキング。
心地よく滞在するための工夫の凝らされた客室。
ゆったりとした、気持ちのいい露天風呂。
各種サイズのそろった部屋着、
ワンコインで参加出来る3〜5時間のさまざまな観光ツアー。
食後のひとときを楽しむカクテル付きのフリーコンサート。
道の駅にも匹敵するほどの立派なおみやげ物店。。。
それでいて価格はリーズナブル。
年配の人たちやこども連れの若い家族には絶対に勧めたくなるホテルでした。
やはり、大変な人気ホテルらしく、
稼働率やリピーター率もトップクラスとのこと。
「口コミしたくなる」ってこういうことなのだと、
しみじみ、思ったのでした。
「提示されたギャラが少ないから」
「このお客さんからはたいしてお金を取れないから」
「自分のキャリアにならない仕事だから」
そんな理由で、なんとなく仕事を甘く見る人がいます。
「この値段なら、このくらいの労力」とばかり、
自然に手を抜く。
チェックを怠る。
適当なところで、「まいっか」と納品する。
正直、そういう仕事を見ると、いつも「またか」とウンザリします。
手を抜かないと納得できないような仕事なら、
最初から引き受けなければよろしい。
ギャラがどんなに安くても一所懸命仕事をしろ、
などと言っているのではありません。
引き受けた仕事は、全力でやるべきだと言っているんです。
ギャラが安くて、手を抜きたくなるなら、最初からやらない。
それが、自分のため、仕事を頼んでくるお客さんのためです。
人は、必ず見ています。
口コミが起きるのは、
受け手やお客さんが「ここまでやるか」と感動するから。
期待した以上、いや、何倍もの仕事をしてくれるから。
出かけたパーティーで会費を遙かに上回るサービスを受ければ、
必ずその会場を使おう、人に紹介しようと思うでしょう。
スタジオやライブに呼んだミュージシャンが、
支払うギャラを大きく上回る働きをしてくれたり、
素晴らしいアイディアを次々出してくれたら、
また、必ずその人を呼ぼうと思います。
期待した以上の存在感を放ってくれたり、
驚くほど熱いパフォーマンスをしてくれれば、
もちろん、人にしゃべりたくなります。
価格に見合う情報やサービスでは、口コミは起きないのです。
お得感。
予想を遙かに超えた感動。
狙ってやるのではダメです。
仕事に対する、お客さんに対する誠意。敬意。愛情。
最後に問われるのは、そこなのです。
【Day-to-day】
いよいよ『MTLヴォイス&ヴォーカル レッスン12』の予約受付がはじまります。
6月27日(月)メルマガ読者様、およびダイジェスト版ご参加の方の先行予約スタート。
一般予約は29日(水)スタートです。今回も定員はタイトです。ご興味のある方はお早めに。
メルマガの登録はこちらから。
関連記事
-
BPM1目盛りの職人芸
BPMということばが普通に使われるようになったのは、 いつの頃からかわかりません …
-
「テキトー」を「見る価値のある演奏」にする達人の技
音楽は実に奥が深いもの。 クラシックのように、 きっちりとフルにアレンジされた曲 …
-
あなたはシンガー?ボーカリスト?
シンガー(Singer/歌手)と ボーカリスト(Vocalist)。   …
-
「プロ」「アマ」という線引きは、 もうそろそろ卒業したい。
「俺なんか、ただのセミアマだからさー」。 高校時代に、 一緒にバンドをやっていた …
-
「人前で歌うとき」の理想的な状態
人前で歌うとき、パフォーマンスするときに、 重要だと考えていることは3つあります …
-
ちゃんと鳴らす。ちゃんと歌う。そしたら自然にハモるのだ。
いつもはそれなりに元気よく、 いい声で歌っているのに、 誰かのコーラスをやるとな …
-
バッファーをとる
ビジネス用語として最近よく使われる、「バッファー」ということば。 「緩衝」つまり …
-
「飲みニケーション」は死んだのか?
ここ数年、若手バンドマンたちの「クリーン」ぶりに、 驚かされるシーンに何度も出会 …
-
そのパフォーマンスはレコーディングに耐えうるか?
レコーディング・クオリティというと、 通常、録音のクオリティを差すことが多いので …
-
100万人と繋がる小さな部屋で。
デビュー前からヴォイトレを担当している、 アーティストのライブに行ってきました。 …
- PREV
- バイブレーション
- NEXT
- 表現者には、いつだって、責任がともなうもの