大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

音は「楽器」じゃなくって、「人」が出すものなのです。

   

かつて、ドラムの神様と言われたスティーヴ・ガッドが来日した際のお話です。
 

ふらりとスタジオに入ってきたガッドは、
その場にあった、ごくごく普通のドラムセットを、
ちゃっちゃっちゃと、チューニングし、いきなり叩きはじめたそうです。

 

「その音は、まさに、ガッドの音だったんだよね」
とは、その場に居合わせたというミュージシャンのお言葉。

 

弘法筆を選ばずとはよく言ったもの。
 

そういえば、ふと回りを見回してみても、
名人と言われるプレイヤーたちは、
どんな楽器を弾いたって、叩いたって、
やっぱりその人の音になる。

 

実は我が家にも、
まぁ、いろんなギターがあるわけですが。
 

うちのジェフ夫さんも、一時期、
さまざまな種類のギターを集めては弾いていた時期があります。
 

彼の定番のストラト、レスポール、テレキャスは言うにおよばず、
フライイングV、アンペグのアクリルギター、ファイアーバード、
カジノ、セミアコ・・・etc.etc…
 

ギターは、ギア好き&収集癖のBoys心をかき立てる、
最高のグッズのひとつでしょう。
 

そして、ライブになると、手に入れたギターたちを、
嬉しそうに並べて、とっかえひっかえプレイする。。。
 
そういうの、やってみたいわけです。

 

 

もちろん、本人的には、
この曲をやるなら、あのギターじゃなくちゃとか、
この時代のサウンドは、このギターじゃなくちゃという、
こだわりがあるわけですが、

 

傑作なのは、ライブに来たお客さんが口をそろえて、

「いやぁ〜。さすが大槻さん。
どんなギターを弾いても、大槻さんの音になっちゃうんだよね〜。」
と言うこと。

 

ふふふ。

 

まぁ、それが、プレイヤーというもの。

 

 

結局、音は楽器じゃなくって、人が出すものなのです。

 

さて。
 

声も同じです。

 

どんなにがんばっても、
ストラトじゃレスポールの音が出ないのと同じように、

 

ビヨンセのカラダじゃなくちゃ出ない声、
スティーヴン・タイラーじゃなくちゃ出ない声、
というのは、もちろんあるでしょう。

 

 

しかし、ほとんどの人が、その域に行く前に、勝負を降りてしまうのです。

 

 

「所詮、私の声では、ここまでが限界」と言っている人で、
自分の声の限界まで出せている人には会ったことがありません。

 

私はそういう人たちを、
「フェンダー持ってる小学生」と呼んでいます。

 

神様がくれたノドという楽器は完璧です。
 

弦を変えなくても、
高いお金を払って調整しなくても、
素晴らしい音がする、唯一無二の楽器です。

 

いい音がしないのは、持ち主のせい。

 

音は、楽器じゃなくって、人が出すものなのです。

 

あなたの楽器、ちゃんとつかえていますか?

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 - The プロフェッショナル, 声のはなし

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