「500円玉大の打点」を求めて、今日も声出していこうっ。
先日、よくご一緒する、某有名ドラマーの楽器の前に座らせてもらう機会がありました。
まぁ、以前から、薄々気がついてはいたのですが、
今回、彼のセットをまじまじと見て確信したこと。
あのね。
スネアのヘッドがめっちゃキレイなんです。
高校時代からスタジオというものに出入りして、
それなりにいろんなドラムセットを見て来ましたが、
そして、プロといわれる方のドラムも、
それなりに拝見してきましたが、
その方のスネアのヘッドのキレイさ、ピカイチです。
どうキレイなのかというと、
打点がめちゃくちゃ狭い。
そうですね、500円玉大くらいしか、汚れてない、
すり減っていないのです。
つまり、どういうことかと言うと、
どんなに速い曲でも、
どんなに音量の大きな曲でも、
常に、的確に、その500円玉の中をヒットしているということ。
だから音色が均一で、動きにも全く無駄がない。
余計なブレが出ないから、音がスコンと抜けてくる。
名人だからこそ、できる技です。
ヴォーカリストたちに常日頃、
「100回歌っても、100回同じクオリティの声を出せるのがプロ。」
と言っています。
もちろん理想論です。
実際にはその確率はもっとずっと低いでしょう。
しかし、プロと呼ばれるなら、
限りなくこの確率を100%に近づける努力は続けたい。
さっきはいい声出てたのに、
ごはん食べたら急に声が曇っちゃった。
昨日はパキンと高音抜けたのに、
今日は全然出ない。。。
そんな人に安心して仕事をまかせられません。
まして、この確率が低ければ、
自分自身、歌う事自体が不安この上ないでしょう。
出るのか出ないのか、出してみないとわからない。
不安定で、行き当たりばったりの声しか出ない。。。
そんな不安定さをなくすには、
声の打点を定めて、常に同じクオリティの声を出す練習は不可欠です。
同じ音を同じクオリティで何度も出す、という地味な練習。
自分の声が響くポイントを変えないように、
声が揺れないように、
音色が変わらないように、
ピッチがよれないように、
たったひとつの、「500円玉大の打点」を求めて、
何度も声を出してみる。
そんな地味で、オタッキーな練習を、
飽きず、腐らず、あきらめず続けた人だけが、
名人と呼ばれるようになるのですね。
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