15分間の名声(15 minutes of fame)
「誰もが知っている有名人」は、
自分が有名であるという認識こそ、もちろんあるけれど
その「有名さ」と自然に付き合っているというか、
気負いもないし、誇示もありません。
その人たちが周囲に対し、
ごく普通に接し、語りかけるようすに、
身構えたり、緊張したりしてしまうこちらの方が、
思わず、恥ずかしく感じられさえします。
それでいて、確実に、
「有名人のオーラ」のようなものを
全身から発していて、思わず目を奪われる。
「有名人のオーラ」って、
自分で自分が有名だと「知っている」、
みんな、自分のことが気になると「わかっている」、
そんな人が醸し出す空気感なのかもしれません。
とはいえ、「誰もが知っている有名人」でも、
あらゆるメディアと無関係な生活をしている人にとっては、
単なる「人間」にすぎません。
日本で「国民的」と言われるレベルの人でも、
ひとたび海外に出れば、やはり「ただの人」。
そう考えると「有名」とは、
実に曖昧で不思議な定義でもあります。
さて。
「有名人」は、この「誰もが知っている」レベル以外にも、
ある時期ちょっとだけ、の「にわか有名人」、
そういえば知ってる気がする「地味系有名人」
その筋のマニアの間では有名な「知る人ぞ知る有名人」、
あるコミュニティだけで有名な「プチ有名人」などなど・・・
さまざまな形で存在しています。
「有名」であるかどうか、
どんなレベルの「有名人」なのかは、
自分ではなく、周りの人が決めること。
ある時期、周囲からちやほやされることがあったり、
特定のコミュニティでもてはやされたりしても、
それは、その時、その場のマジックのようなものですから、
いつもおなじ状況を期待しても、
なかなか期待通りにはいかないもの。
「誰でも知っている」レベルの有名人、
もしくは、かつて、そういう存在だった人ほど、
そういうことをよくわかっている。
むしろ、「あぁ、この人は自分のこと、知らないんだな」と、
ほっとすることさえある。
だから、自然に振る舞えるのかも知れません。
ところが、「そうでもない」レベルの有名人ほど、
周囲の対応に過剰反応しがちです。
自分はすごいんだということをわからせたい。
周囲が自分のことをちゃんと認めているかどうかが気になる。
遠回しに、時にダイレクトに、
自分のすごさを相手にアピールする。
相手に自分が期待するような扱いをされないと、
苛立ったり、不機嫌になったりする・・・etc.etc.
自分を大きく見せるパフォーマンスほど、
無意味でむなしいものはありません。
めんどうくさい人と思われたり、
痛々しい印象を与えたり、
かえって「小者感」を漂わせてしまうことさえあります。
誰からも「有名人」として扱われたかったら、
「誰でも知っている有名人」になるしかないのです。
人にはそれぞれの居場所があります。
ステータスもポジションも、
今、自分がいる場所に、他人が勝手に名前をつけるだけ。
自分の居場所と役割を正しく理解して、
そこでベストを尽くすこと。
そうして、その居場所を少しずつ、
上に上に押し上げる。、広げていく努力をすること。
それこそが、
15minutes of fame(15分間の名声)にこだわるよりも、
たぶんずっとずっと大切なこと。
そうやってがんばっているうちに、
まわりの認識が変わったり、
本当に「有名」になったり、
するものなのかもしれませんね。

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