「好きなことやれよ」
「好きなことやれよ。
好きなことのない人生なんて、つまんねーぞ。」
私の人生にもっとも影響を与えた、
父の思想の象徴とも言えることばです。
10代のはじめ頃から音楽にどっぷりだった私。
「なに言ってんの?
嫌いなことやる人間なんていないでしょ。」と、
ティーンエイジャーらしい相づちを打っていたものですが、
父から見たら、まだハンパだったようで・・・。
あれは高校2年生だったか、
試験前に部屋にこもって勉強をしていたら、
コンコンと、父が部屋をノックするのです。
「おまえ、今日はギターの練習はどした?」
「は?試験前じゃん。」
「おまえはギターの練習と、試験勉強とどっちが大事なんだ?」
(親の言うセリフか!?)
「なに言ってんの?今は試験勉強に決まってんじゃない!」
「へー」
父は意外そうにそう言うとそっとドアを閉め、
「俺の娘が、試験の方が大事だっていうかねー」と、
ひとりごとだか、なんだかわからない、
おどけた調子でつぶやきながら、
階段を上っていきました。
その少し前に、担任との面談で、
「お前は学力テストは学年トップクラスなのに、
定期試験は下から数えた方が早いだろ?
なんでもっと勉強しないんだ?」と言われ、
「私がやりたいのは音楽です。
高校時代、やらなくちゃいけないのは、
勉強なんかじゃないんです!」
なーんて、
超生意気なことを言い放ったくせに、
「さすがに赤点は嫌だなぁ」と、
勉強していたとような記憶があります。
ハンパであります。
好きなことをやり続けようとすれば、
さまざまな困難に出会います。
でも苦しいから、
どこかで逃げ道をつくる。
「できない」と思いたくないから、
「やれない」理由を考える。
いろんな”MUST”を勝手に背負い込んで、
肝心の「好きなこと」「やりたいこと」を、
どんどん閉め出してしまう。
自分の日常を”MUST”で埋め尽くして、
それを人生の本筋に据えてしまう。
でも、です。
“MUST”という価値観がぜんぶ崩壊して、
人生がリセットされたとき、
自分の心の中に深く残る、
「大切なもの」「好きなこと」こそが、
自分自身の本質なのではないか?
仕事とか、学校とか、勉強とか、経済とか、
そんな価値観がリセットされても、
好きなことはなにか?
大事なものはなにか?
やりたいことはなにか?
コロナ自粛を経て、
そんな人生の本質に気づかされた気がする今日この頃。
「好きなことやれよ」
ティーンエイジャーの自分から、
老い先短い(?)未来の自分に、
ちょいと活を入れられた気分で、
このことばを心の中で繰り返しています。
◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。
関連記事
-
酒とタバコと断崖絶壁
学生時代からバンドをやって、 学祭やライブなどで歌ったり、演奏したりしていた、 …
-
やりたいことを、「はじめるコツ」
人は「はじめられない」生き物です。 何かをはじめるということは、自 …
-
学ぶ姿勢
誰かから何かを学ぶときは、 ひととき自我のスイッチを切り、 その人の言うことを、 …
-
憧れを現実に変える力
中学に入学して、 生まれて初めて部活動というものをはじめた時、 同じ部活の高校生 …
-
オーディションに失敗したくらいで、いちいち落ち込んでる暇なんかないのだ。
長年業界におりますが、 いわゆる「オーディション」を受けたのは2回だけ。 2度と …
-
ちょっと「なんか」言われたぐらいでって言いますけど。
大人というのは「なんか」言うものです。 親や教育熱心な先生のように …
-
逃した「チャンス」は本物の「チャンス」なんかじゃない。
「チャンスが来たのに、生かせなかった」と感じたことはありますか? …
-
他人の作品を「表現する」ということ。
ケン・ソゴルという名前を聞いて、 「おぉ、懐かしい」と思う人は、 どれくらいいる …
-
文化は「オタク」と「変態」、そして「ドM」がつくる
忙しがる人は好きじゃないのですが、 最近、自分もそんな、自分が好きじゃない類の人 …
-
集客ってどうします?
SNSどころかインターネットもなかった時代、 バンドの集客って、一体全体、 みん …
- PREV
- 「なんで電話番号わかったんですか?」
- NEXT
- 「クリエイトすること」そのものに愛情を持てるか。