歌詞が覚えられない?~Singer’s Tips #22~
「歌詞なんか、よく覚えられるね。」
と言う人がいます。
「そこまで真面目にやる必要ある?」
「外タレだって、プロンプター置いてるよ。」
「1回しか歌わない歌の歌詞なんか、覚える意味ないでしょ?」
「歌詞を思いだそうとすると、かえって集中できないから。」
こちらから、何か言ったわけでもないのに、
自分が歌詞を覚えられないことの言い訳をはじめる人もいれば、
歌詞を覚られるなんて、特殊で、
くそ真面目な人だけだと言いたげな人、
歌詞なんか覚えなくていいものだと説得にかかる人もいて。
結局、みんな、
自分が歌詞を覚えないで歌うことを、
少なからず引け目に感じているのでしょう。
歌詞を覚える目的はひとつだけです。
すべてを忘れてパフォーマンスに集中するため。
レコーディングのように、
歌詞を目で追う方が無心になれる現場もありますから、
椅子に座って歌うスタイルの人や、
楽器を弾きながら歌うスタイルの人は、
この限りではないでしょう。
しかし、ロックやポップスのライブで、
歌詞を目で追っていたら、
バンドの音やオーディエンスのエネルギーを全身で感じられない。
自由に動けないし、音楽の世界観に入り込めない。
歌詞がカラダに入っていれば、
どこまでも自由に歌の世界を楽しむことができます。
歌い手が楽しんでいない、
世界にのめり込んでいないのに、
オーディエンスが楽しめるわけはない。
少なくとも、私は、そう感じています。
そもそも、
歌詞カードを追わなければ歌えないレベルの準備しかできていないのに、
プロとして人前で歌う度胸がある人は、むしろ尊敬に値します。
英語なんか覚えられないという人もいますが、
覚えられないくらい、
意味のわからないことばを歌えるのか。
そんな風に言う人は、
日本語の歌詞でも覚えられないものです。
ただし、この件に関しては、
流派もいろいろあるでしょう。
哲学もあるでしょう。
だから、正解は自分が決めればよいのです。
信念を持ってやるなら、言い訳はいりません。
少なくとも私は、
台本を片手に名演技をする俳優を見たことがないし、
一流の歌詞が歌詞カードをガン見で、
パフォーマンスをするのを見たこともない。
どんなに小さなステージで歌う時も、
一流のレベルを目指す人が、
少しずつステージを大きくしていかれるものだと、
信じてやまない。
それだけです。
「覚えるのが大変」
「歌詞を見ないでステージに立つのが怖い」のは、
みんな、一緒ですよ。

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