大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ロック?メタル?ハードロック? (1)

   

ニューヨーク時代、久々にダイアナ・ロスが聴きたくなって、
タワーレコードへ出かけた時のこと。

はて、ダイアナ・ロスはなんのカテゴリーにあるのだろうと、迷いました。
 

ずいぶん前のことなので、なんのカテゴリーだったか覚えていないのだけど、
(例えば、ソウル、R&B、ブラックコンテンポラリーのような・・・)
日本のCDショップでは当たり前にあるような、
カテゴリーの棚がいくつか存在すらしてなくて、

しかも、かろうじてあった、それらのカテゴリーの中にも、
もちろん、ポップスの中にも、
ダイアナ・ロスのコーナーはなくて・・・
 

心の中でひそかに、
まさかの、ダイアナ・ロス、本国アメリカでは不人気で、
タワーにさえ、棚がない・・・?疑惑まで浮上したころ、
 

なんと、ジャズの棚の中に、ダイアナ・ロスを見つけて、
ひっくり返りそうになったことを記憶しています。
 
そもそも、音楽のカテゴリーって、どうやって決めているのでしょう?

 

ちなみに、書籍の場合は、
置かれる棚によってずいぶん売り上げが変わってくるので、
カテゴリーを非常に意識して、タイトルや帯をつくることも多いとか。
 
音楽もある程度、送り手の側が仕掛けているところはあるでしょう。
 

最近では、itunesなどで売られるのもあって、
前もって、自己申告制でカテゴリー分けをしているようです。
 

とはいえ、書籍も音楽も、そのカテゴリーは、
最後は受け手の主観。
 

カテゴリーなんて、なんだっていいじゃんという人も多い一方で、
「このジャンルにだけは間違えて欲しくない!」という送り手もいます。

少し前、とあるインストバンドの有名ギターリストに、

「フュージョンの方って、みなさん、本当によく練習しますよね!」と言ったら、
「フュージョンって言うのだけはやめてくれる?!オレはクロスオーバーだから」
と叱られたこともありました。

 

たとえば、ひとくちに「ロック」といっても、
パンクロック、フォークロック、ハードロック、ヘヴィーメタル、
ウェストコーストロック、アートロック、ニューロックなどなど、
なんだかいろんなジャンルがあって、
 

「80年代ロック」、「商業ロック」、「ジャパメタ」などと、
線引きをきっちりしたがる人もいたりして・・・

 

そうそう。
学生時代にロック好きが集まると話題になった、

「ツェッペリン派?パープル派?」
なんて質問を、話の種にと先輩ロッカーにした瞬間に、
 
「そういうくだらないことをいうヤツとは口をききたくない」
等と、いきなり会話を打ち切られて閉口したこともあります。
 

学生時代は、そこそこ音楽好きで、詳しいつもりでいましたが、
まわりに、音楽好きが高じてプロになって、
早うん十年なんて人たちに囲まれて生きているせいで、
 

最早、私自身は、「音楽愛好家」といえるほど、
音楽を聴いてきてもいないし、知識もないんだなぁと感じている昨今。

 

個人的には、結局、ジャンルもカテゴリーも、なんだってよくて、
これまた、「好きか嫌いか」に尽きるのよね、と思ったりしています。
 

長くなっちゃったので、たまにはつづくもいいですか・・・?(^^)

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 - 音楽

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