大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

居心地のいい場所では一生学べないことをアウェイは一瞬で教えてくれる

   

「一般の人向けの本を出版したいんなら、
一般向けセミナーくらいやらなくちゃダメでしょ?」

当時の出版関係のメンターにそう言われたときは、正直途方に暮れました。

 

今だから言うけど、
そう言われて即座に「セミナー」をググったくらい、
私にとって、何もかもがアウェイなスタートでした。

 

だってね。

スタジオやライブハウスなら、いくらでも借りたことあったけど、
セミナールームなんてものの存在すら知らなかったわけですからね。
 

そうして、最初は自分のため、すべて持ち出しで、
出版セミナーの同期の仲間たちにモニターとして来てもらって、

「きっとこんなのがボイトレセミナー」というイメージを
必死に形にした、手作りのセミナーをやったわけです。

 

2009年の11月のことでした。

 

生まれて初めて「レジメ」をつくり、
生まれて初めて「パワポ」をつかい、
生まれて初めてスーツ姿の人たち相手に、
新調した(ビジネスイメージの)ワンピースで、
 
ワンフレーズも歌わない、
もう100%アウェイな「セミナー」というものをいたしました。

 

とにかく、つかめなかった。

ツボも、グルーブも、つかめない、
「YES感」もないままに、人前に立つことの恐ろしさ。

生まれて初めてのツアーのお仕事で、横浜スタジアムのステージに立たされたときの、
「いや〜ん」感に似ていました。

 

「なにやってんのかな?あたし?」

 

そもそも、おとなしく(いや、おとなしくなく)、
マイク持ってシャウトしてりゃあいいのに、

何を好き好んで(この年になって)、
完全アウェイの、右も左もわからない世界に入り込んで、
いろんな人にいろんなこと言われて、
胃とか頭とか心とか、いろんなとこが痛くなって、
 
あげく、1円にもならないどころか、
お金、持ち出しで・・・

 

それでもなんでも・・・やっぱりやるんですね。

・・・

売られたケンカは買うおんなだから。

「できない気がしない」を消せないから。

そして、とにかく、納得したかった、着地点が欲しかったから。

 

そんなモニター・セミナーを、
温かい友人たちに励まされながら、とにもかくにも2回やって、

「後1回くらい、モニターセミナーやったら、
いよいよ本格的にお客さん募集して、セミナー講師デビューかな?」

と考えていたとき、
今度はブログの師匠にこう言われました。

「そんな甘いこと言ってちゃだめだなぁ。
お金取らなかったら、いつまでも前に進めませんよ。」

 

う・・・・・・

 

わかってる。わかってる。
お金を取れないのは自信がないから。
そして、こうやってコミットメントを先延ばししていたら、
そんな自信は一生わかないんだ・・・

 

頭痛くなるほど企画を考えて、
当時、始めて間もなかったブログに告知分を書きました。

ちなみに、ライブ以外の告知分を書いたのも、
もちろん生まれて初めてでした。

 

ところが、です。

お申し込み開始して、1日、2日、3日と過ぎ、
やがて1週間、2週間・・・・

 

なんと、ただのひとりからも、お申し込みがありません。。。

 

毎日、具合悪くなりながらメールチェック。

ライブの本番時間が近づいてるのに、
客席にお客さんが1人もいない・・・みたいなのが、
2週間続いたと思ってみてください。

ね?具合悪くなるでしょ?

 

今考えてみれば当たり前の話で、
fbもtwitterもほとんどやっていなかったし、
ブログの読者さんと言えば、せいぜい20〜30人程度。
後は手刷りのだっさいチラシをセミナー仲間などに配ったくらい。

 

一体全体どこからお客さんが来ると思っていたのか?

 

『フィールド・オブ・ドリームス』みたいに、
なんかはじめさえすれば、
お客さんは湧いて出てくるとでも思っていたのか・・・???

 

もちろん、ミュージシャン仲間なんか誘えるはずもありません。

当時の私は、そんなアウェイなことをやっている自分を、
ミュージシャン仲間はどんな風に思うだろう?と想像するだけで、
ちょっと憂鬱になったりしていたのですから。

 

結局、本番2日前まで、
受講のお申し込みはただの1人からも来ませんでした。

PCの前で号泣し、
「もう無理!やめる!セミナーキャンセルって、告知する〜!!」
と、やさぐれたとき、電話が突然鳴りました。

「あの、直前ですみません。お申し込み、まだ間に合うでしょうか?」

 

あまりの嬉しさに、「もちろん大丈夫です!!!」と即答して、
電話を切った次の瞬間・・・

 

あ。。。

 

たった1人のお客さんを相手に、
あんなに立派な会場で5時間しゃべる。。。そんなこと、できるのか?

しかも、その人は自分1人だなんて思わないで来るのに、
恥ずかしいじゃないか・・・・

 

そんな、猛烈な挫折感にうちひしがれていたとき、
当時、また別の場所でお世話になっていた、
オーディオブックの会社を運営する方からご連絡をいただき、
事情をお話したら、一気に、定員分の受講生を、
(結局、無料ではありましたが)集めてくださって・・・

 

その時に、ただひとり、お電話して参加してくださった方が、
第2回の受講生の大半をお誘いくださって・・・
 

そうやって、いろんな方に、アドバイスしていただいたり、
助けていただいたりしながら・・・

facebookやら、twitterやら、メルマガやら、
いろんな方法を試しながら・・・

 

やがて、お席はじょじょに、じょじょに埋まるようになりました。

 

この経験を通して私が一番学んだこと、感じたことはなにか?

 

それは、
「音楽の世界で、私はこれだけ聞いてもらう努力をしただろうか?」
ということ。

 

20代そこそこでプロの世界で仕事をするようになり、
幸いにも次から次へとお仕事に恵まれ、
気がつけば、華やかなステージなどにも立たせてもらって。

 

それでも、自分のバンドの集客をするために、
自分の作品を人に聴いてもらうために、
こんな風な努力をしたことがあっただろうか?

 

それができなかったから、
私はアーティストとして結果を出せないまま来たのじゃないか?

そんな方法論すら探すことをしなかったのは、
自分の怠惰だったのではないか?

それとも、音楽は私にとって「仕事」じゃなさすぎて、
甘えていたのじゃないか・・・?

 

「製品として作品を売ってこそ 本物のアーティストである」
スティーブ・ジョブズのことばです。

 

音楽の世界にだけいたのでは一生学べなかったであろうことを、
アウェイの世界は教えてくれました。
“Real Artist Ships.”

今朝10時にお申し込みを開始したセミナー、
2時間半で満席をいただきました。

 

まだまだ、駆け抜けます。

 

あなたはどんなチャレンジをしていますか?

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 - Life, My History

Comment

  1. TAKA より:

    これは本当に良い話!!!

    また、単なる「ラッキーだった」話じゃなく、たった一人の「自分の意思で申し込んでくれたお客さん」を失望させないだけのことを提供して、それが次へとつながっていったってことですね。

    学ぶべきことの多い体験談ですね。

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