げに不安定な音を奏でる、完全なる楽器?
歌に真剣に取り組むほどに、
人間のカラダという楽器の奏でる音の不安定さに、
気が滅入りそうになることが多々あります。
きちんと調律されたピアノなら、
鍵盤をポンと叩けば必ず期待通りの音が出ます。
よれない、ぶれない、がさつかない。
変なビブラートもかからない。
叩けば必ず、叩いた強さで音が出る。
狙った音を確実に出すことも、
同じ音を繰り返し出すことも、
音量や音色を安定させることも容易ではない、
人間のカラダと比べると、
ピアノって、なんて頼りになる楽器なんだろうと、
思ってしまうこと、しばしばです。
しかし、安定した音が出せないということと、
表現メディアとして、
楽器として不完全であるということは別ものです。
カラダほど「今の自分」を的確に、完璧に、
表現してくれるメディアはありません。
不安定なのは、楽器そのものではなくて、それを演奏する人の心なんですね。
歌と向き合うことは、自分自身と向き合うこと。
安定感のある、力強い声を出したかったら、
自信を育み、確信を持って歌うしかないんです。
カラダにはこの瞬間、どんなことも可能です。
練習をするのって、
自分を信じる力をつけるためなんですよね。

◆(ほぼ)毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。メルマガのお便りフォームから、ヴォーカリストの質問、疑問にお答えもしています。バックナンバーも読めますよ。
関連記事
-
-
「適正」って、「恋すること」なんだ。
「私は、ロックが好きなんですけど、 歌の先生に、キミにはそういう音楽は向いてない …
-
-
酒とタバコと断崖絶壁
学生時代からバンドをやって、 学祭やライブなどで歌ったり、演奏したりしていた、 …
-
-
カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜
ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …
-
-
選ばれるミュージシャンであるための3つの資質
長年、音楽業界で優れたミュージシャンたちと たくさんのお仕事をさせてもらってきて …
-
-
「カッコいいもの」と、それ以外
音楽学校などで、 「この曲を練習してきて」と課題曲を渡すと、 「この通り歌わなく …
-
-
「できないこと」ではなく、 「今できること」に意識を向ける
うまく行かないときに、 うまく行かないところにばかりフォーカスすると、 本来でき …
-
-
声が自分の顔になる。
小学校の高学年の時、流行の「深夜放送」というのを聞いてみたくて、 ゲルマラジオと …
-
-
「ストリートミュージシャン」というお仕事
欧米では、 街角や地下鉄の通路などで、 音楽を演奏するミュージシャンに、 しばし …
-
-
「大きい音」を扱うのって、テクニックがいることなんですぞ。
「ラウドな音楽をやっている」と言うと、 デリカシーのない、 雑な演奏をしていると …
-
-
「変わってる」って、なんだよ?
自分は何に、どんなことに、反応する体質なのか。 自分のアンテナは何に反応し、どん …
- PREV
- Proud.〜第2期MTLネクストが終了しました〜
- NEXT
- 「なんじゃそれ?」こそ、上達の秘訣
