ロックは、そこ、外しちゃダメなんです!
ジャズ系の人が、スタンダードやカバー曲を演奏しているのを聞いていると、
元のコード進行とかが全然なくなっちゃってて、
メロディが出てくるまで、一体何の曲なのかわからない、
なんてことがよくあります。
そういうサプライズもジャズのスリルのうち。
メロが出てきて、「おぉおお、そう来るのか」と、
聞く人をびっくりさせる仕掛けです。
ジャズの人って、リハーサルと同じことをやるのは味気ないとか、
誰かのマネをするのはダサイとかいう向きがあるらしい。
(門外漢なので、あくまでも又聞きです)
一方でブルース系の音楽は、基本、コード進行が全部おんなじ。
時々「サビだけコード進行が違う曲」とか
「大サビ的な進行がある曲」などがありますが、
大体は「例のあれ」。
その「例のあれ」の気持ちよさの中で、
いかにアイデンティティを出すか、
情熱や感動を伝えるかが、腕の見せ所というわけです。
しかし、ロックって、ちょっとそういうのとは違う。
絶対出てこなくちゃいけないリフとか、
「そうそう、ドラム、そうこなくっちゃ!」みたいな、
その曲がその曲であるために、外しちゃいけない、
いや、お願いだから外さないで、みたいなポイントが、
そこかしこにあるんですね。
音楽の楽しみ方は人それぞれなんで、
そんな「外さないで」なポイントを、
わざわざ外すことを楽しむ人たちもいるのだけれど、
やっぱり多くのロックファンは、
「くるぞくるぞ」とワクワクし、
「きたぁあああああ」とコブシを振り上げて、
全身にアドレナリンが駆け巡る快感を楽しむようなところがある。
ロック系のカバーをやる人が「完コピ」を大事にするのは、
この「外しちゃいけない大事なポイント」で、
あれ?と聞く人の首をかしげさせたくない、
いや、期待通りコブシを振り上げていただきたい、
なんなら自分もその瞬間、心の中でちっちゃくガッツポーズを決めたい。
そんな思いからなのではないか。
しかし、この「外しちゃいけない大事なポイント」を、
聴く人に心の底から「うぉおおお」とコブシを振り上げてもらえるレベルにするには、
単に音が間違っていなければいいとか、
リズムのハマリが決まればいいとか、
おんなじようにディストーションがかかればいいとか、
そういうことでもありません。
たとえば、聞く側になったとき、
そのフレーズのどこに、何に、
「うぉおおお」と震えているのかを、掘って掘って掘りまくる。
それは、ゴーンという音圧だったり、
ぱきーんというテンション感だったり、
思わずカラダが動き出してしまうグルーヴだったり。
ほんっとに深い深いところに、
たくさんの仕掛けがあるわけです。
そんな大事な仕掛けの数々を拾えないまま、
のっぺらぼうのようにリフだけコピーしても、
コブシを振り上げてもらえる仕上がりにはなりません。
「コピーバンドじゃなくって、カバーバンドだから」
「別にオリジナル通りやりたくないんで」
それは、ほんっとにごもっともです。
でもね、それならオリジナルとおなじくらい、
いや、そのオリジナルを越えるくらいの、
「うぉおおお」という精度に、
自分たちのバージョンを昇華しなくっちゃ。
単に劣化コピーになるなら、
その曲をやる意味がなくなっちゃうんですよね。
いや、ほんっとに、いつもながら、
自分で書いていて、耳が痛い。
一生修行。
音楽って、ロックって、本当に深いものですね。

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