大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「なにがしたいか」にフォーカスする!

   

はじめて、音楽制作のために買いそろえたのは、Rolandのキーボードとシーケンサー、
それに、4トラックのカセットMTRと、Shureのマイク。

4トラックカセットテープとはなんぞや?という説明を丁寧にしてくれた人、
シーケンサーでのドラムの打ち込みを教えてくれた人、
シンク信号のやりとりで、一緒にデモをつくってくれた人、
できあがった作品をあちこちに聞かせて歩いてくれた人。。。
思えば、ホントにたくさんの人のお世話になりました。

フリーターの身には、痛い出費だったし、なにがなんだかわからない機材を買い込むことは、ホントに勇気がいったけど、あのとき、えいやっとDTMの世界に飛び込んだことが、今の私をつくっている。
本当に英断だったと思います。

あれから、むにゃ十むにゃ年。

今は、音楽よりも、動画制作に取り組むことの多い日々。

あの頃の相棒は物理的に手に持てるものばかりだったけど、今や、ソフト。
いわば、ただの概念みたいなもんです。
これがもう、なんっでもできる。そして、なんでもできすぎて、なにがなんだかわからない。聞いたことのないカタカナ語を前に、怯むことしばしばですが、そんな時は、いつも初心に返ることに決めています。

「なにができるか」ではなく、「なにがしたいか」にフォーカスすること。
これは、私の人生の哲学です。

この機材には、これこれができる、と考えるのでも、
自分の能力なら、こうこうこういうことが可能だ、と考えるのでもなく、
自分は今、なにがつくりたいのか、なにがしたいのかにフォーカスして、
それを可能にする方法を模索する。

80年代90年代でもできたんだから、今の時代にできないわけはありません。
今の時代にはGoogleがあります。
検索ワードさえ適確にみつけられれば、いかなる情報もすぐに流れこんできます。

「こんなことできたらいいな」と自分が思うことは、他の誰かもたいがい考えている。
だから、必ず解決方法はあります。
数年前までできなかったことが、今はいとも簡単にできたりもします。
そういう意味では、数年前の自分にしがみついていちゃいかん。

すべてが可能なら、という発想でスタートする。
方法論を探す。
ちょっとでもこれかな?と思ったら、とりあえず、やってみる。

やってみると、自分にはなにがわからないのかが明確になってきます。
そしたら、またググる。やってみる。その繰り返しです。
すると、気づくとぐんぐんわかるようになっています。

基本、洗練されたものというのは、誰にでもわかりやすく、使いやすくできているもの。
怖れるにたらず、です。
使いにくいものは、ハズレだと思えばよい。
自分のせいじゃない。ここ、ポイント。

今、私が教えを乞うているのは先輩じゃなく、かつての、そして今の、教え子たちです。
そういうコラボも、やたら楽しい。

一生、学びです。

 - Life, クリエイト

  関連記事

ウサギとカメはどっちがすごい?

私の生涯の夢のひとつに、 「徒競走で旗の下に座りたい」というのがあります。 笑え …

声の変化と向き合う vol.2〜変化を受け入れ、味わい、楽しんだものが勝ち

「声の老化」についての第2回です。   第1回は、年齢を免罪符にせず、 …

もたもた迷っている暇はない!

「もっと歌詞の意味を考えて歌って!」 そんな風に言われたことのある人は、たくさん …

「人生変わりました」

「MISUMI先生のおかげで、人生変わりました」 先日、某会社の社長さんが、生ま …

人に年齢を言うのをやめてみる。

年功序列文化の日本人は、年齢をアホほど気にする。 「何才ですか?」からはじまる会 …

ことばの解釈に「正解はない」

高校時代の大半は、ロックとバンドとギター(そして男の子)に夢中で、 「学校の勉強 …

「できないこと」ではなく、 「今できること」に意識を向ける

うまく行かないときに、 うまく行かないところにばかりフォーカスすると、 本来でき …

はじめること 続けること やめること

なにかを始める時は直感に従うことにしています。 電気的な啓示、というか、 ビビビ …

情報じゃない。オーラに感動するんだ。

学生時代から本屋さんが大好きでした。 それは今でも全く変わらなくて、 本屋さんと …

想像力は人の痛みを知るためにある。

2002年、 ふらっと訪れた旧友たちの住むニューヨーク。 以前住んでいたアパート …