「完コピ」と「ゆるコピ」と「なんちゃって」を間違えちゃいかん。
「完コピ300曲以上やったよ」ってあちこちに書いてますが、手元に残ってた歌詞カードから、完コピで歌える曲数をさっくり数えて出した数字なんで、実際のところはもっとありそうな気がしてます。
アルバム丸っぽ完コピしてるとすると、30枚程度だから、300曲なんて、言うほどたいした数字じゃないしね。
「ゆるコピ」まで入れると、軽くその2〜3倍(いや、もっと?)やっています。
「ゆるコピ」というのは、とりあえず、その曲を譜割通り、声の音色や歌詞の雰囲気もつかんで歌えるっていうレベルのコピー。
これは、どんな曲をもらっても、歌う前は必ず1度はやります。
その曲を歌って欲しいと言ってくれた人の意図をくみ取るためでもあるし、楽曲とパフォーマンスをフラットに感じるためでもある。
コピーしてみたら、いいのは曲じゃなくてパフォーマンスだった!なんてこともあるし、その逆もあります。
一旦、完全に理解してからフラットに戻して、そこから自分の表現を構築する。
これが、私のスタイルなんで、「ゆるコピ」は、いわば、仕事の準備です。
一方、完コピは、その歌い手が好きでたまんないとか、めちゃくちゃカッコいいとか、なんだかよくわかんないけどものすごい!などと感動して、その魅力の秘密を知りたい!その人みたいに歌えるようになりたい!あんな技やこんな技を手に入れたい!という猛烈なパッションでいきなりはじめてしまう、そうねー、情熱的な趣味みたいなもん。
完コピは、フェイクの端々から、強弱のつけ方、音色までそっくりに歌えるようになるまでやること。
ピタリと合うと、オリジナルの歌が聞こえなくなって、それが快感なんですね。
今でも、実家のステレオの前に歌詞カードを手に立っては、何回も何回も、針を戻しながら(針ですよ、お客さん!針!)ダイアナのこの音色が出ない!チャカのこの高い声が出ない!アレサのここのタイミングと合わない!と、超スーパーオタッキーに歌い続けていた時のことが、鮮明に思い出されます。
とにかく、ぴたっといかないと気持ち悪い。
なんか、負けた気がする。
だから、何回でもやる。
ね?若者がゲームに興じるのとおんなじです。
先日、レーシングカーのシミュレーションゲームに夢中になった若者が、最後は本物のレースに出場する『グランツーリスモ』っていう映画見たけど、なんか、あれとおんなじだなぁと。
だから、「完コピしました」なんて言う学生の「なんちゃって」なコピーを聞くと、「顔洗って出直してらっしゃい」っていう反応しちゃうわけです。
「学ぶ」は「まねぶ」なんで、そこを越えてくことが芸なんだよね、と話したり、モノマネと完コピの違いを力説したりしても、
「やっぱ、真似しなきゃダメですか?」と拒否反応を示す子には、
「いやいや。完コピしなくても、オリジナルよりもカッコよく演ってくれるんなら、ぜんぜんいいよ。」と言っております。
そこで、なんか言い返してくる子はいません。
そりゃそうだ。
全然違うこと書こうと思ってたんだけど、完コピを語り出したらあまりに楽しくなっちゃったので、今日はこの辺にしよっと。つづく。

関連記事
-
-
「所詮同じ人間」という前提に立つ。
誰かにできて、自分にできないことを、 生まれや育ちの違いのせいにしてしまうのは、 …
-
-
多感なこどもたちにジョークは通用しない
小学生の音楽の授業のときの話です。 「ではこの曲を、誰かに歌ってもらいましょう。 …
-
-
「ジャストフィット」を探せ!
初めて手に入れたギターは、ピアノのおまけにと、 お店の人がサービスでつけてくれた …
-
-
譜面台を立てる時のチェックポイント〜本編〜
さて、お約束どおり、 今日は、自分のための記録の意味も込めて、 「譜面台を立てる …
-
-
楽器店に貼り付けられたメン募に電話した日
インスピレーションか、衝動か、はたまた「魔が差す」というのか。 気になったらその …
-
-
折り紙と「完コピ」。
腎臓病という病気は何にも食べられない。蛋白も塩気もいけないのだ。これは子供の身に …
-
-
『The ワークショップ Show』という挑戦
ヴォイス&ヴォーカルトレーナーとして、著者としての記事はB面、 ヴォーカリスト、 …
-
-
「空気読め」とか、違くないか?
生まれて初めてアルバイト情報雑誌を買って、 バイトを探した時は、 一体みんな、何 …
-
-
「才能」ってなんだ?
若かりし頃から、 「恵まれた人」に対する強烈なコンプレックスを抱えて生きて来まし …
-
-
「ツボ」をはずした練習は、単なる自己満足であり、時間の無駄。
実は私、とっても足が遅いのです。 いきなり、しかもB面で何を言い出 …
- PREV
- 「とにかく、ゆっくり」から、はじめよう。
- NEXT
- 「人に頼れない」という「あかん」を返上するのだ!
