「上手そうに歌うな」
2017/05/26
シンガーの卵たちに必ず言うことばのひとつに、
「上手そうに歌うな」があります。
本当にテクニックのある人、上手い人の歌というのは、
「上手そうに」聞こえないもの。
ただただ、声の素晴らしさや迫力、表現に感動して聞いていた歌手の歌を、
よくよく聞いて、マネしようとして、
はじめて、そのテクニックの巧みさに愕然とする。
テクニックって、そんなのが理想なのではないか。
上手さやテクニックで人を感動させられる人は世界的にみても本当にひと握り。
そこまで行っているわけもないのに、
「上手いですね」と言われるのは、聞き手が左脳で聞いてしまうから。
つまり、感動していないから。
だから「上手いですね、としか言われなくなったら、歌はやめた方がいい。」
と、いつも言っています。
もちろん、「プロは上手くて当たり前」。
音程やリズムの秩序がなかったら、
ヴォーカリストはみな、ただの「叫ぶ詩人」になってしまう。
だからこそ、バランスが難しいのです。
つねに、表現したいこと、伝えたいことが、
テクニックよりも少しだけ上回っている状態を追いかけて、
自分自身の人間力に磨きをかけ、
それを過不足なく伝えられるテクニックを磨く。。。
もちろん、口で言うほど簡単なことではありません。
感情が先走って、テクニックがついてこなかったり、
難解なフレーズを的確に再現することにばかり気を取られて、
ついつい気持ちを表現することがおろそかになってしまうことは日常茶飯事。
パフォーマンスのたびに、反省すること満載です。
それこそが修行なのかもしれません。
さて、「上手いとしかいわれない歌」より、もっといけないのは、
「上手そうに歌われる歌」。
わかる人が聞けば、本当に上手いのか、なんちゃってなのかはすぐわかります。
やたらとビブラートをかけてみたり、
ダイナミクスを大げさにつけたり、
太い声にしようとしすぎて、フラットしていたり。
ピッチやリズムの悪いアドリブをやたらとしたがるのもこのタイプ。
残念ながら、このタイプの人のほとんどが
自分自身のやっていることを的確にジャッジできず、
酔ってしまっているため、残念な結果に陥りがちです。
こうした、テクニックは、最低限のベーシックなスキルの上になり立つもの。
上級テクニックの練習にいそしむ前に、
徹底的に基本を磨く、耳とセンスを磨く・・・etc…
やらなくちゃいけないことは、まだまだありそうです。
修行は一生続くのです。
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Comment
メルマガ登録したいのですが、アドレスが何故か途中までしか入らず登録ができません
だからなんなのでしょうか?
下手歌うなという感想でしょうか?
上手い、下手という概念は聞き手のが感じる事であり、
歌っている人にとってはどっちだっていいのではないでしょうか?
下手な方は排除したいのですか?
テクニック云々、掴みとるまでにも
歌いたい事を色々工夫して、少しでも綺麗に届けたいといった願望は誰にもあるではないですか?
>長縄麻文美さん
すみません。こちらから登録してみてくださいませ。
よろしくお願いします。
http://magicaltraininglab.com/information/1578/
>匿名さん
はい。聞き手を意識しないというのであれば、やりたいことをやる、というのでいいのだと、私も思います。
また、この記事では、「下手」というレベルのことは一言も言及していません。
今一度、ゆっくり読んでいただけるとありがたいです。
私、中学生の頃かLIVEで唄い始めて、30年目にして初めて、この記事にある「上手そうに」歌っている事に気付きました。
あまり関わって無かったジャンルの曲を歌う事があり、何とも自分のシンガーとしての未熟さを思い知らされました。
皆に上手いと言われて調子に乗っていました。
声を張る部分や安定して出せる音階は上手く聴かせる事が出来ていても、苦手な音階や、不安定になりがちな部分はシャクったり、泣きを入れたりして誤魔化していました。
私は可能な限りシンガーでいたいと思ってます。たとえインディーズやP盤であっても、もっと上手くなりたい…
とは言え、自分だけで矯正するのには限界がある…
…と言うわけで、来月からボーカルスクールに行って参ります(笑)
コメントありがとうございます。
練習するほどに陥りやすいことだと考え、自戒を込めて書きました。
私自身も、時折、自分のパフォーマンスに、そんな匂いを感じてしまうことがあります。
かといって練習しないで、下手でいいというわけではない。。。行きつ戻りつ、ですね。