ひっぱたかれても納得できないことはやらない!
まだ幼稚園に通っていた頃。
つまりとんでもなく昔のお話ですが。
私が脱ぎ捨てた幼稚園のガウンをみつけた母が、
「ハンガーにかけなさい」と言いだしました。
こんなとき、私の返答はいつだって、
「はい」ではなく「なぜ?」。
素直じゃないと言われてもなんでも、
すべての行動に理由とモチベーションが必要なのは、
何十年も経った今も変わりません。
細かい問答は覚えていないのですが、
私には、どうしても、ガウンをハンガーに掛けなければいけない理由も、
そのために、今自分が夢中になっている遊びをやめなくてはいけない理由も、
理解することができませんでした。
ガウンがしわくちゃになっても、私はかまわない。恥ずかしくなんてない。
部屋に落ちていて、それを踏みつけても、汚れても気にならないし、
なにより、しわくちゃや汚れや部屋のごちゃごちゃを気にする母じゃなくて、
な〜んにも気にならない私がしなくちゃいけない理由がみつからなかったのです。
何が何でも言うことを聞かせたい母と、
納得できないことは絶対にやろうとしない私。
結局、帰宅した父に、その采配はゆだねられました。
私のことをよく知る父は、ここで取引に出ます。
「わかった。じゃ、10回ピンされるのと(手の甲を叩かれること)、
ガウンを掛けるのと、どっちがいい?」
父にしてみれば最終取引です。
「痛い思いをしたくなければ、言うことを聞け」は、
昭和の家庭では当たり前のこと。
ましてせいぜい4〜5才のこどもです。
普通なら、当時まだ睨みのきいていた父親から、
そんな風に脅かされれば、強情を張るのをあきらめて言うことをきくものです。
ところが、私の場合は違っていました。
「ピンされたほうがいい」
と即座に答えたそうです。
意外な答えに狼狽した父は、何度も私に聞き直しました。
「いいのか?ホントにピンするぞ。痛いぞ」
それでも、「いい」と言い続けた私。
結局、言い出したからには、後には引けなくなった父は、
しかたなく、私の手の甲を10回ピンすることになったのです。
父に叩かれながら、手の甲が赤くなっても、目に涙をためて痛みに耐えても、
頑として、言うことを聞かなかった私のことを、
父は「納得しないことは絶対にやらない女」と認定し、
後年、ことあるごとに、なぜか嬉しそうに、このエピソードを話していました。
さて、今日の教訓はなんでしょう?
親の言うことは聞きなさい?
こどもに無理矢理言うことを聞かせようとしても無理?
それとも、素直じゃないこどもは可愛くない〜〜??
いえいえ。こんな出来事を思い出したのは、
今こそ、「○○はこうあるべきだ」という慣習を、
素直な気持ちで見直す必要があると思えたからです。
仕事を選ぶときも、
年齢を考えるときも、
結婚を決めるときも、
音楽を仕事として選ぶときも、
仕事のために音楽をあきらめるときも、
明日のために今我慢しようと決めるときも、
今しかない時間を思いきり生きようと思う時も、
誰かのために自分の人生を犠牲にしていると感じる時も、
自分自身のために、誰かの人生を犠牲にしてしまうときも、
社会ってこんなもんだ、政治ってこんなもんだと悟りきったことを言うときも、
これぞ歴史の必然だ、と、世間の空気に同調して熱くなるときも。
もう一回、「どうして?」と、
人の価値観でなく、自分の価値観で、物事を公平に見直す気持ちが、
必要なのではないか。
遠い日のこども部屋を思い出しながら、そんなことを思うのです。
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