大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「本当に有名な人」は、意外なほど気づかれない。

      2016/11/07

「あら?今日はマネージャーさんの車で来たんじゃないの?」
ドラマに、CMにと、活躍中の女優さんが、
たった一人でレッスンにやってきたので、思わずそう聞いてしまいました。

「いえ。ひとりで、電車できました。」

 

はあ〜?

「大丈夫?ファンとかに追いかけられないの?」

すると彼女、ふわりと微笑みながらこう答えました。

「気づかれていないと信じたいです。」

 

その真っ直ぐな答えに、
自然体で素敵な子だなぁと、思ったものです。

 

実は、
お仕事がらみでマネージャーさんを連れている人や、
派手な服装をしたり、サングラスをかけるなどして、
有名人オーラを出したい人は別ですが、

日常的な服装で、ごく自然に普通の人に紛れこめば、
どんなに有名な人も、意外なほど気づかれないもの。
超人気ヴォーカルグループのメンバーの1人と人混みを歩いたときは、
こちらの心配をよそに、
本人はいたってカジュアルにおしゃべりを楽しんでいました。
誰かに気づかれたという気配も、結局ありませんでした。

 

面白かったのは、
某女性歌手と食事に行ったときのこと。

カウンターの料理人さんが、

「あれ?ゆうこさんでしょ?」と、いきなり彼女に聞くのです。

「いえ、私はゆうこさんじゃないです」面白そうに、答える彼女。

「いや。あ、そうか。ごめんなさい。似ているなぁって思ってさ。
っていうか、よく見る顔だと思ったもんだからさ。」

 

その後、その料理人さんは、お店の若い人に呼び寄せられて、
こしょこしょと耳打ちされていましたから、
まぁ、誰かは彼女に気づいたのでしょう。

そんなものです。
少なくとも東京くらい、
日常的に芸能人や有名人が歩いている街では、
「毎日のようにテレビに出ていて誰でも知っている」、
「若者層に大人気」
「たった1人で、目立つ様子で歩いている」
というような人でもない限り、
一般人はたいがいはスルーしてくれるようです。

 

とある人気バンドのメンバーと新宿の街を歩いていたときのこと。

すれ違いざま、若者たちの会話が耳に飛び込んで来ました。

「おい。あれ、今のって、○○のAじゃない?」

「んなわけねーじゃん。こんなとこ、歩いてるわけないだろ!?」

「そっか。だよな〜。」

それで会話終了。

思わず2人でにやりとしてしまったこともありました。

 

その後、2人でお店に入ると、店員さんに、
「わぁ〜。もしかして・・・○○のAさん・・・じゃないですよね〜!!?」
といきなり言われ、
「そうそう。よく似てるって言われるんだよ」と返していた彼にも、
さっすがだなぁと関心したものです。

 

人前に出るお仕事をしていると、
自意識が高まるのは当然のこと。

そんなに有名じゃない、
それほど騒がれない人に限って、
気づかれちゃうんじゃ?と心配してしまうものです。

 

そのくせ、気づかれないとがっかりしたり、
ちょっと目立つような行動を取ってみたり。

 

そういえば、ずいぶん昔のこと。

とある年上の歌手の方と山手線に乗ったことがあります。

その数年前、その方にはよく知られたヒット曲が1曲ありました。
あまりテレビを見なかった私でもお顔を知っていたくらいですから、
一時は結構テレビにも出演されたのでしょう。

残念ながら、その後、ヒットに恵まれず、
俗に言う、「一発屋」的な存在として、
おそらく、先生業のようなお仕事をしていたと記憶しています。

 

その方が、電車に乗って席に座ると、

「あら?みんなは私に気づかないのかしら?」

と言う目線で回りをきょろきょろとしていることに気づいて、
ちょっと悲しいような、恥ずかしいような気持ちになったものです。

 

有名になりたくて仕方ない人。

有名になれて、本当に嬉しいし、
もっともっと有名になりたいと思っている人。

有名になんかなりたくない人。

有名になりたかったわけじゃないと言う人。

有名とか無名とか全然興味ないんだよね・・・と言う人。

 

世の中にはいろんな種類の人がいて、
あぁ、本当に面白いなぁと思うのです。

芸能界あるあるでした。

38261342 - young blond star among the nosy paparazzi

 

【明日メルマガ発行!】明日お昼ころ発行予定のメルマガno.127では、夏休みに特集した「デモをつくろう!」の総まとめを、過去記事と書き下ろしでお送りします。

いいデモ音源は未来を切り開くパスポート。是非読んでくださいね。
登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - ある日のレッスンから

  関連記事

「とにかく、ゆっくり」から、はじめよう。

以前、書道家の方に自分の名前の書き方というのを習ったことがあります。 先生が繰り …

素直じゃない人

「ハイという素直な心」。 女子校時代、朝礼の訓示で、 時の校長先生が必ず唱えた『 …

国語力、お願いします!

歌を教える仕事をしていて、 最もフラストレーションを感じるのは、 生徒がなかなか …

腰が硬い人はリズムが悪い!

以前教えていた音楽学校で、 「演奏中の動きがぎこちない学生が多い」という話になっ …

「レコーディングセッション」という真剣勝負。

お仕事日記です。 トレーナーを志したその時から、自分自身がどんなプロセスで上達し …

「出せない音」「イマイチ鳴らない音」を克服する方法

何度練習しても高いところが歌えない、 全体に低くて気持ちよく鳴らせない・・・ そ …

やっぱ、最後はエネルギー。

歌の指導をしていく中で、 心がけているのが、 感覚的な説明に終始したり、 精神論 …

「最後にマイクで歌ったのも、すごく気持ちが良くて最高でした✨」(MTLワークショップ in 東京vol.3 ご感想)

MTLワークショップ in 東京vol.3の受講生からおよせいただいたご感想を紹 …

自分をつかって「人体実験」をしないこと

1964年に行われた「断眠実験」というのを 聞いたことがあるでしょうか? &nb …

「こちとら何年やってると思ってんのよ!」

「こちとら何年やってると思ってんだっ!?」 誰かに自分の専門分野を誉められた時に …