感情も情熱も当てにならない。システムなんかじゃ、いい音楽は生まれない。
感情には波がある。
情熱もやがて冷める。
だから、何事も継続するには、
それを継続するためのシステムが必要だ、
とは、ビジネスの世界で名を馳せる猛者たちの名言です。
確かに。
激しい恋愛の末、結婚した人たちも、
5年、10年と一緒に時を過ごすうち、
少しずつ、そして確実に、
感情の波や情熱の熱量変化に気づくもの。
恋人同士なら、別れてしまうような、
冷たい関係、味気ない関係になっても、
結婚というシステムが、2人の関係性を救う。
そして、そのシステムに従って、
関係性を継続するうちに、
やがて、違った感情が芽生え、
カップルは次のステージに進む。。。
さて。
継続することが難しいという意味では、
音楽の練習もおなじです。
どんなに夢中になっても、
どんなにがんばろうと決意しても、
思うように上達しないまま、時ばかりが経てば、
「やってやるっ!」という感情を打ち消すかのように、
「どうせダメだ」という感情が湧き起こり、
心が折れ、やがて継続が難しくなってしまいます。
しかし、例えば、学校に通う、
定期的にバンドのライブがある、
などの外的要因があれば、
そう簡単に挫折はできません。
または、朝起きたら必ずギターを手にする、
というような習慣を一旦身につければ、
どんなに気が進まない朝でも、
とりあえずギターを手にして弾く。。。
システムに身を置けば、
感情によって、精度が落ちたり、
ばらつきが出たりする行動を、
極力安定化することが可能になり、
「ある程度の」結果を出すことは可能でしょう。
しかしです。
音楽においては、
この「システム」こそ、くせものであると、私は考えています。
とりあえず、自分がやらざるを得ない環境に身を置く。
つまり、誰かに、何かに、やらされている状態をつくる。
そして、そのシステムの中で、
自分がうまくやっているとか、他の子は出来が悪いとか、
自分の評価をして、いい気になったりする。
でもね。音楽はエネルギーです。
そもそも、やりたくないなら、
システムに頼らなくちゃ、継続できないなら、
やらない方がいい。
音楽はパッションで、感情で、エネルギーです。
単に楽器がそこそこ演奏できるようになりたいというのなら、
システムに身を置いて、
人に促されるまま練習に終始すればいいでしょうが、
それでは、一生、本物のプレイはできるようになりません。
感情はあてにならない。
情熱も安定しない。
システムは真の音楽家はつくらない。。。
では、私たちは何を頼ればいいのか?
それこそが、Faith、信じる力。
音楽への、自分への信念ではないか。
信じるから、続けられる。
信じるから、前進できる。
信じるから、愛情や情熱を持ち続けられる。。
結局、最後は、「信じる力」。
結婚もおなじですよね。きっと。
関連記事
-
-
「へたくそな自分」を楽しむ
一昔前までは、 『NHKのど自慢』に登場するような、 歌好きのひとたちって、 も …
-
-
「彼の演奏は完璧だ。だけど、彼の演奏はEmpty(空っぽ)なんだ。」
「この歌手は”お上手”過ぎて、面白くもなんともねーな。」 …
-
-
基準が曖昧なものほど奥が深いのだ
「おじょうちゃん、いい青に塗っといたよ。」 土建屋を営んでいた実家 …
-
-
コンサートの楽しみ方は、ホントにいろいろ
仕事柄いろんなコンサート会場に足を運んできました。 その度に、コンサートの楽しみ …
-
-
「完璧」の基準が「自分」がつくる。
何年か前まで、夏休みの宿題として、 「大好きな曲を1曲だけ選んで、徹底的に練習し …
-
-
自分らしく歌う。 自分であるために歌う。 ありのままの自分で歌う。
「ちゃんと勉強した人が綺麗な声できちんと歌う」っていう、 従来の音楽的価値観をぶ …
-
-
80sを語ったっていいと思う
少し前、学生に「最近どんなの聞いてるの?」と質問したら、 「僕、結構古い音楽が好 …
-
-
ロックはエネルギー!
先日のロック・セミナーで、 「ロックはエネルギーだ」というお話を、 繰り返し、し …
-
-
「人前で歌うとき」の理想的な状態
人前で歌うとき、パフォーマンスするときに、 重要だと考えていることは3つあります …
-
-
「オケ」じゃなくて、プレイヤーの顔のついた「音」を聞くんですよ。音楽って。
年寄り自慢をするつもりは毛頭ありませんが、 (あたりまえ) 一昔前は歌を歌いたか …
- PREV
- どんなに優れたアイディアも、 形にならなければ存在しないも同然
- NEXT
- 「やる気」の不在

