大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

感情も情熱も当てにならない。システムなんかじゃ、いい音楽は生まれない。

   

感情には波がある。
情熱もやがて冷める。

 

だから、何事も継続するには、
それを継続するためのシステムが必要だ、

とは、ビジネスの世界で名を馳せる猛者たちの名言です。

 

確かに。

激しい恋愛の末、結婚した人たちも、
5年、10年と一緒に時を過ごすうち、
少しずつ、そして確実に、
感情の波や情熱の熱量変化に気づくもの。

恋人同士なら、別れてしまうような、
冷たい関係、味気ない関係になっても、
結婚というシステムが、2人の関係性を救う。

そして、そのシステムに従って、
関係性を継続するうちに、
やがて、違った感情が芽生え、
カップルは次のステージに進む。。。

 

さて。

継続することが難しいという意味では、
音楽の練習もおなじです。

 

どんなに夢中になっても、
どんなにがんばろうと決意しても、
思うように上達しないまま、時ばかりが経てば、

「やってやるっ!」という感情を打ち消すかのように、
「どうせダメだ」という感情が湧き起こり、
心が折れ、やがて継続が難しくなってしまいます。

 

しかし、例えば、学校に通う、
定期的にバンドのライブがある、
などの外的要因があれば、
そう簡単に挫折はできません。

または、朝起きたら必ずギターを手にする、
というような習慣を一旦身につければ、

どんなに気が進まない朝でも、
とりあえずギターを手にして弾く。。。

 

システムに身を置けば、
感情によって、精度が落ちたり、
ばらつきが出たりする行動を、
極力安定化することが可能になり、
「ある程度の」結果を出すことは可能でしょう。

 

 

しかしです。

 

音楽においては、
この「システム」こそ、くせものであると、私は考えています。

 

とりあえず、自分がやらざるを得ない環境に身を置く。
つまり、誰かに、何かに、やらされている状態をつくる。

そして、そのシステムの中で、
自分がうまくやっているとか、他の子は出来が悪いとか、
自分の評価をして、いい気になったりする。

 

でもね。音楽はエネルギーです。

そもそも、やりたくないなら、
システムに頼らなくちゃ、継続できないなら、
やらない方がいい。

音楽はパッションで、感情で、エネルギーです。

単に楽器がそこそこ演奏できるようになりたいというのなら、
システムに身を置いて、
人に促されるまま練習に終始すればいいでしょうが、
それでは、一生、本物のプレイはできるようになりません。

 

感情はあてにならない。
情熱も安定しない。
システムは真の音楽家はつくらない。。。

では、私たちは何を頼ればいいのか?

 

それこそが、Faith、信じる力。
音楽への、自分への信念ではないか。

 

信じるから、続けられる。
信じるから、前進できる。
信じるから、愛情や情熱を持ち続けられる。。

 

結局、最後は、「信じる力」。

結婚もおなじですよね。きっと。

 

 

 - 音楽

  関連記事

バンド世代 vs. カラオケ世代

こどもの頃から楽器を練習している人でも、 自分の楽器以外のことはわからないという …

オリジナリティ

「オリジナリティにこだわってるんで。」 と、オリジナル曲をやっているバンドや、 …

「人前で歌うとき」の理想的な状態

人前で歌うとき、パフォーマンスするときに、 重要だと考えていることは3つあります …

音楽環境が人をつくるのか。 人が音楽環境を選ぶのか。

今はもうすっかりおとなの甥っ子が、幼稚園生だった頃の話です。 アニメ関係の仕事を …

現実が自分にフィットしないときに、 なぜ、自分を合わせに行こうとするのか?

生涯を共にできるようなメンバーになかなか巡り会えず、 日々バンドの人間関係に悩ん …

声の温度。歌の肌触り。音の匂い。

ボタンひとつで音色を自在に変えられる、 いわゆるデジタル・シンセサイザーが登場し …

音楽の価値って?

「いやぁ〜、サードに針落とすとさぁ、 『移民の歌』のイントロの前に、うっすら聞こ …

なにこれ?こんなんでいいの?

20代前半まで、 アートなんて自分とは無縁のものだと思っていた私が、 ツアーのす …

「原体験」こそが自分を動かす原動力

「どんな音楽が好きなの?」という問いに、 アイドルやV系スターの名前を言うことが …

自分にない価値観を学ぶのが学習ってもんだ

大学で2年生のアンサンブルという授業を担当しています。 用意された課題曲を、 楽 …