風邪の治りかけ。「ガラガラ声」の原因は?
2022/12/25
今年の風邪はいやらしい、とは聞いていましたが、
いやいや。まじで。
いつまでも、ぐずぐず、ねちねち、後を引いております。
今回は20年ぶりくらいの高熱に見舞われたり、
風邪をひいても滅多に落ちないはずの食欲が一切なくなったり、
鉄のノドと言われる声が、無残なほど出なくなったりと、
「鬼の霍乱」感が半端なかったわけですが、
おかげで、マスクの功罪について学んだり、
声の小さい人が日頃どんな想いで生活しているかがわかったり。
あ、ついでに、ダイエットもできちゃったり。
(やつれただけとも言う)
昔から、「転んでもただで起きないヤツだね」と言われるたびに、
「あたしは、転んだら、地面に落ちてる100円玉見つけてから立ち上がる」、
などと豪語してきましたが、
今回だって、もちろん、いろいろな方に迷惑をおかけした分、
たくさん学ばせていただいて、みなさまに還元する所存です。
さて。
風邪をひいて、ノドをすっかりやられると、
風邪の症状が治まった後、
どんなタイミングで、
どんな風に声を出し始めていいのかわからないときがあります。
声はガラガラ。ひょろひょろ。
歌ってもいいのか。
歌っちゃダメなのか。
歌った方がいいのか。
そもそも歌えるのか。。。。
声を仕事に使っている人や、
日頃から歌う機会の多い人は、
最も不安に感じる時期でしょう。
こんな時のバロメーターは「裏声」。
めっちゃちっちゃい声でも、か細くても、
高い方から低い方まで裏声を出せるなら、
声帯様はお元気です。
ピッチがあいにくかったり、
ガラガラしたりするのは、
声帯様が長いこと寝たきりだったから。
つまり、「ギブス外したばっかりの足」状態なんですね。
だから、少しずつ、声帯様を動かして、
いい状態を取り戻すのが正解。
そうでないと、いつまでも声帯様は寝たきりになってしまいます。
ただし、裏声を出しただけでノドが痛かったり、
咳き込んだりしたら、まだリハビリは早そうです。
痛みはないけど、裏声がうまく出せないなら、
出せるようになるまでは、呼吸の支えに注意して、
ゆっくり、じっくりウォーミングアップしましょう。
裏声はちゃんと出るのに、いざ歌おうと思うと、
高い声も、大きい声も全然出ない。
声もガラガラで、ピッチもさっぱりあたらない。。。
そうそう。
焦りますね。これ。焦ります。
声帯様になにかあったのか・・・と思ってしまいます。
しかし主な原因は、鼻水や痰です。
声帯様は私たちがカラダの内外で出している音を聞いて、
ピッチを微調整しています。
鼻が詰まっていると、
「いつも出しているあの音」を出す感覚がすっかり鈍ります。
特に高い音は、鼻に抜けるような感覚を感じながら、出すものなので、
抜けるべき空間が詰まっていると、
呼吸が行き場をなくして、声帯様が思わぬ圧力を感じます。
それで、つい、声帯様も、危険を感じて、
ブレーキをかけてしまうのですね。
裏声なら出せるけど、地声はガラガラで・・というのは、
粘度の高い痰が、声帯様や気道にこびりついているからです。
痰が声帯様が閉じるのを邪魔しているのです。
また、この時点で咳が出やすいのは、
こうした痰などなどをカラダの外に出そうというカラダの働きなのだとか。
痰や鼻水は、病原菌と戦ってくれた戦士たちの残骸ですから、
悪玉というわけではないのですが、
さっさとお役目を終えて、いなくなって欲しいというのが本音です。
ここで絶対にやってはいけないのは、
出にくいからと言って、力まかせに強い呼吸で声を出そうとすること。
動きにくい声帯様に無理なチカラをかければ、
故障の原因になりかねません。
せっかく風邪が治ったというのに、他の症状をつくってしまいかねません。
だから、はじめから無理に地声や大きい声を出そうとせず、
まずは裏声地声まぜまぜで、
しっかり呼吸を支えた状態で、ゆっくり歌うことです。
循環がよくなってくれば、どんどんと痰や鼻水は外に出ようとします。
粘液もだんだんと薄まって、排出しやすくなります。
かたまっていた筋肉も、だんだんとほぐれて、動いてくれます。
適度な水分を補給しながら、
そして、ビタミンやフルーツを取りながら、
焦らず騒がず、ゆっくり、ゆっくりです。
一度に、一気に調子を戻そうとせず、
少し歌っては休み、
また歌っては休み、を繰り返すのがコツ。
自分のカラダの声によ〜く耳を澄ませながら、
ちょっとずつリハビリしていきましょうね!
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