大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自分がヘタに聞こえるのは、上達してきた証拠

   

週1回90分レッスンに通いながら、日々コツコツと自主トレもできる人なら、
およそ1ヶ月半、6回のレッスンで確実に結果が出ます。
それも、周囲の人がびっくりするほどのレベルで上達するのです。

MTLをスタートして16年。嘘偽りのないデータです。

期間と上達を約束できること、そして確実にその約束を果たすこと。
それこそが、私のレッスンが、クチコミで業界の方たちに広まった理由だと考えています。

 

ところが、シンガーたちは、この1ヶ月半を経て、自分のダメさ、ヘタさにどんどん気づくようになります。
いえいえ、私がこき下ろしたりするわけではありません。むしろ反対。
シンガーたちが、自分の強みを見出せるよう、その魅力をますます研ぎ澄ませるよう、とにかく徹底的に自己肯定感が上がることばを投げ掛け続けます。

本人たちだって、もちろん、上達しているという実感はある。

しかし、上達するということは、先日の記事でお話した解像度がどんどん上がるということ。
やがて、受け取る情報の解像度に、自分自身のアウトプット力が追いつかないという状態に陥ります。
解像度があがっているから、自分へのフィードバックもますますシビアになるのです。

これが、どんどん上達する人に起きることです。
だから、「やればやるほどヘタになってる気がする」「どんどんわかんなくなる」なんて、ことになるわけです。

大丈夫。
アハ体験を繰り返して、解像度に、アウトプットの精度がちょっとずつ追いつく。
すると、また解像度が上がる。
この、イタチごっここそが、上達の秘訣です。

表現したいことに表現力が追いつかない。
だから、一生進化し続けられるんです。

努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ。(リオネル・メッシ)


コアでマニアックな話や、「ここだけの話」をお届けするご購読はこちらから。もちろん、無料。バックナンバーも読めます。
ご登録いただいた方には、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼントしています。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, ある日のレッスンから, ヴォイストレーナーという仕事, 歌を極める

  関連記事

「歌の練習」って、なにしたらいいんですか?

「練習って、なにしたらいいんですか? MISUMIさんは、なにしてるんですか?」 …

「あ、あれ、まだ書いてない」

「MISUMIさんのブログって、声や歌の話、ほとんどないですよね。」 そんな風に …

耳で聞くのではない。脳で聞くのだよ、明智くん。

少し前、まずオケを聴け!歌うのはそれからだ!という記事で 歌のピッチやリズムが悪 …

「髪の毛一本」レベルで、音の長さにこだわる。~Singer’s Tips #18~

歌の印象を大きく変えるポイントのひとつに、 「音の長さ」があります。 歌い出しの …

発声メカニズムを知るだけで声がよくなる人の特徴

「まだ1回しかレッスン受けてないですし、正直、全然練習できなかったのに、なんか、 …

英語の歌詞って、どうやって覚えるの?

「歌詞を覚える」というのは、ある種の習慣です。 何を当たり前と思うか、という気構 …

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ビジュアル・チェック編〜

昨日のブログ、人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜の続編で …

「そこに愛はあるか?」

同じ音楽家の先輩として、 生徒たちを指導しながら、自分自身の過去を追体験すること …

ボイトレ七つ道具、公開(^^)

最近、講演やセミナーをするときだけでなく、通常のボイトレをするときにも、 声のし …

本気でやりたいなら、「なんか」やれ。

アーティストやタレント、声優の、 新人育成を担当させていただく機会が多々あります …