ノドにいい食べ物?悪い食べ物?エピソード
2015/12/20
「ノドにいい食べ物ってなんですか?これは食べちゃいけないってありますか?」
こんな質問を受けると、お話するいくつかのエピソードがあります。
ノドに悪いものの代表といえば、タバコです。
3年ほど前に亡くなった柳ジョージさんは、
スタジオに入るなり、タバコに火をつけ、ビールをどんどん飲みながら、
レコーディングをしていたものです。
ジョージさんがある日、ニコニコしながら私に言いました。
「MISUMIちゃん、こないだ耳鼻科でノド診てもらったらさぁ、
こんな綺麗な声帯、診たことないって言われちゃったよ〜」
誤解しないでくださいね。
タバコはボーカリストにとっては、正直、かなり極悪なものです。
ニコチン、タール、煙、熱、すべてが声帯を痛めつけます。
もちろん、大量に吸えば、気管や肺にも悪影響があります。
それでも、大丈夫な人はいる、ということです。
3大テノールで有名なパバロッティもかなりの愛煙家だったそうです。
ちなみに私も10年ほど前までは吸っていたことがあります。
せいぜい一日に4〜5本というところでしたが、
それでも、吸っていない時期に比べ、痰のようなものが絡みやすく、不快でした。
私には向いていない。そう判断しました。
もうひとつ、ノドに悪いと噂される代表的なものに、辛い物があります。
しかし、ちょっと考えてみると・・・食べ物や飲み物は声帯を通過しない。
直接声帯にダメージを与えるような影響はないはずです。
実際、フィリピン出身のマリーンさんが、
晩ごはんにキムチをどんぶりで2杯平らげているのを目撃したことがあります。
マリーンさんいわく、「フィリピン人だから辛いもの食べるのは当たり前よ」。
言われてみれば、活躍しているインド人の歌手や、韓国人の歌手だって、
絶対に毎日辛い物食べているはず。
ただし、ノドに痛みや炎症のあるときは、辛い物は避けるのが無難です。
炎症部分が辛い物に刺激されて、声帯の方に広がってしまう可能性があるからですね。
同じ理由で、ノドが辛い物に過敏な人は避ける方が無難かもしれません。
カフェインがノドに悪いと指摘する人もいます。
理由は、ノドに与える刺激と、その利尿作用。
カフェインが与えるノドに与える刺激に関しては、
辛い物と同じ考え方でいいでしょう。
問題は、利尿作用。
カラダから必要な水分までも外に出してしまうため、
ノドが乾燥しやすくなるというもの。
一方で、利尿作用があるということは、
むくみを取ってくれるということでもあります。
声帯を含む、全身が浮腫んでいるとき、カフェインを取ることで、
スッキリすることもあるのです。
ケータリングに必ず、はちみつと紅茶が置いてあるスタジオもあります。
実際、某有名歌手は、
「レコーディングのお伴は、レモンとはちみつがたっぷり入った紅茶なの」
と言っていました。
利尿作用が気になるなら、カフェインの摂取量をある程度制限すると同時に、
カフェインの入った飲料をお水の代わりと思わず、
水は水でたっぷり飲むこと。
では、カラダや声帯の水分量を適度に保つためには、
毎日どのくらい水を飲めばいいのでしょうか?
一日1リットルから1.5リットルくらい飲むといいとされるのが、一般的です。
もちろん、カフェインの入った飲み物や、
粘液を濃くする甘い飲み物は、カウントされません。
アメリカのボイストレーナー、ロジャー・ラブは、
「医師たちは、『ボーカリストなら、毎日4リットルの水を飲むことを推奨する』
と言っている」と書いています。
4リットル。。。ペットボトル2本分です。
お腹ガボガボですね。
水の飲み過ぎは腎臓に負担をかける、という報告もあります。
結果、水毒で、カラダが浮腫みやすくなるともいいます。
何事も過ぎたるは及ばざるがごとしです。
もうひとつ。
やはりアメリカのボイストレーナー、マーク・バクスターは、
乳製品も、粘液を濃くして、痰に悩む原因をつくるので、
止めるべきだと言っています。
しかし、SHOW-YAの寺田恵子さんは、
ステージ中、ヨーグルトにはちみつを入れた物を食べると調子がいいからと、
舞台袖に常に用意させていました。
乳製品取りすぎ気味のアメリカ人と日本人の事情が違うのか。
それとも、個人差なのか。。。
今日の結論。
ノドにいい食べ物、悪い食べ物も、自分で選び取っていくしかない。
やはり、「正しい」は人の数だけある、ということなのですね。
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